「江戸川乱歩トリック論集」を読んだわけです。
実は先日の文学フリマin福岡の帰りに本屋に寄りまして。そしたらたまたまこれが置いてあるのがパッと視界に入ってきて、「あー、視界に入ってきたってことは買わないかんやつやなコレ」と思ったので、本屋の神(紙?)様の啓示に従い買って帰ってきたのでした。
こういう「何やらいやに視界アピールしてきてんな?」な出会い方をした本は後に有用なことが多いので、基本的に買うと決めているのです。
そしてここ最近、ちょいミステリー要素ありな感じの小説を書いてて詰まっている部分もありまして。「ぴええ、助けて下さい、乱歩てんてー!」的な気分で昨日じたばた手を伸ばして読ませていただいたのでした。
溺れるミステリー初心者、乱歩先生をも掴む、の状況です。
こんな感じで、わりと「いずれ頼るもの」を事前にしれっと買っていることが多く、積んでおいて迷った時に「アッ、そんな時にはコレや!買ってたわこの本!」なることがたびたびあります。
私の無意識が思い悩む数日後のためにと自発的に先回りしてくれているのか、それともガチの本屋の神様の采配か…それは神のみぞ知る話…。
どのミステリーの書き方本見てても毎度「乱歩先生のトリック分類で~」って話に出てくるやん?
普段ミステリーは好きで読んでいても書くのは全くの初心者のため、分かりやすい参考書らしきものを求めた結果、この世にある「ミステリーの書き方」関連の本を毎度フラフラと買い集めてしまうわけですが。
大体、そういう本では「乱歩先生のトリック分類あるじゃないですか、それのこの件なんですけどもね!」みたいに、もうそれを知っていること前提で話が進むんですね。
いや、一応、トリック論から引用した内容がしっかり書いてあって、それについての説明という状況なので「話の中身が全然分からない」とかはないんですよ。何を論じているかは分かる。「ああ、かつて乱歩先生そういうこと仰ってたんですね。それに対してこの本の作者の先生はこういうことを考えていて…」と分かりはするんです。
が、原典を読んでいないことで、何となし「ミステリーやる人なら読んでて向き合ってて当然!な前提条件にさえ目を通してないくせに、甘っちょろくも書き方の本だけでミステリーの本髄に触れようとしている、ふてぇ輩の私」みたいな気持ちになってしまってですね。
一度くらいはちゃんとしっかり読まなあかんやろて…。というわけで、やっと噂の原典が手に入ったぜ!やったーー!!!!
こう、「あなたがかの有名な乱歩先生のトリック論…お噂はかねがね…(深々とお辞儀)」みたいな気分です。
既に私が生まれる前から、ミステリー畑の先人の皆様、そのあたりのトリックの話でバチバチに論考してはったわ(マジか)。
ミステリー初心者がトリック分類についてぼんやり思うこと。
私は本当に初心者レベルのため、ミステリーというジャンルの読み込みも全くできていないし、一応ミステリーも好きではあるけど、三度の飯よりトリックについて考えるのが大好きだし睡眠中でも考えてます!みたいな「本格ものについて考えるためにこの世に生まれてそればっか書いてる」みたいなタイプの人間でもないため、 ミステリーについて語っていいものか・その資格はあるのかもよく分からないんですが。
あの分類見ていると、とにかくいい感じにネタが思い付きますね…。しゅごい。
ミステリーじゃなくて恋愛とか他のジャンルの場合でも、ミステリアスなキャラが登場したり状況に謎があって…という展開で話を引っ張ったりするじゃないですか。そういう他のこと考えている時にもいい感じにネタを提供してくれますね!
そもそもこんなふうにトリックで分類しながらミステリー小説を読むこと自体が実感としてなかったので、その時点でなるほど…!みたいな。
あと、今軽い「ポエムで宝探し系ミステリー」風味の小説に取りかかっているので、主に「暗号」について語る章でめちゃくちゃ知見を得た感じです。とはいえ、どうせそんな難しい暗号ものなんて私には書けないんですがね!仕組みは何となく理解した…活用できるかは置いておいて。
直近の手元の小説のための知見を得たのもよかったんですが、おそらく「プロット考えてるんだけどトリック何も思い付かない時」とかに今後めちゃくちゃ重宝しそうだなと。あと、「ミステリーについて考えなきゃなのにミステリー以外のことから頭がなかなか切り替わらない時」や「ミステリー以外のジャンルを書いてるけど+でミステリー要素を加えたい時」にある種のスイッチとして見るのも良さそうですね、この本。
私は「本格のミステリー」を書けるタイプじゃないかもしれないけども。
読んでいると、本当に乱歩先生の心のうちの謎解き=本格ミステリーへの愛、そしてそれを担うであろう未来の書き手への愛が詰まっているなと。
うん…本当に初心者過ぎて乱歩先生の求めるレベルに至れそうにない私の目線でも、痛いほどの愛がほとばしっている…。
期待値が高すぎて、初心者としては「はわ…」とか呟きながら少し遠巻きに眺めていますね…。未熟者ですみません、乱歩先生…(逃げ腰)。
本題の謎解きよりも小説としての文学的表現がメインにきてしまって、ミステリーのミステリーたる特徴部分が薄れてしまう問題とかね…。本当はどっちも欲しい欲張りな乱歩先生…。
小説としての表現さえ上手ければ謎関連の処理がグダグダでも許せるんか?俺はそれはちょっと嫌かな。みたいなやつ…。
あれだよ、謎で引っ張る展開はどんなジャンルの小説でも必須なんだと思うんだけど、よく出てくる「粉塵爆発」とか「色盲ネタ」とか「双子入れ替わり」みたいなミステリーあるあるネタみたいなものはみんな大好きなんだけど、それを利用したライトノベルみたいなものはわりとウケがいいんだけど、重めの謎本体をぶっかけられると難易度の高さについ脳味噌硬直してしまう感じ、私もありますので、本当スミマセンみたいな…。
私はわりとそういう「本格には至ってない、至りたいけど未熟かもしれない、ミステリーあるある的なネタものライトノベル」も作風として好きな方なんですが、それも書きたいとも思っているのですが、これは乱歩先生のような本格好き視点では軟派幼稚過ぎてめちゃくちゃ怒られるやつだろうか…。
あと、乱歩先生以降の時代の「新本格」を少しではあるけど知ってしまった私が思うのは、この新本格の流れは乱歩先生の感覚ではどんな感じの印象になったんだろか…乱歩先生の中の「本格ものへの渇望」的なものは新本格で少しでも癒されたんだろうか、みたいなこと考えたり。
いや、乱歩先生その前に亡くなってるからちっとも分かんないんですがね。ただ、当然、新本格の書き手の先生方はきっとこの乱歩先生の嘆きをリアルで見ていて、それを受けて奮起しての新本格ブームで、そして今だと思うのです。分からないからこそめちゃくちゃ頑張ってる…!みたいな。
きっと今の新本格の先生方も当時の乱歩先生のごとく、「次だよ…次の未来の世代だよ…来いよ次世代本格New wave…」みたいに内心思っていらっしゃるんだろうな、みたいなことはまぁ、何となし予測できるわけで。大変なの分かってるから強引にやれよ!とは仰らない気もするけども。いつかそういう才能に出会えたら…というのは確実にあるんだろうなと。
で、新本格見て育った方からここ最近の新人さんがどんどん生まれて、その方々も当然、乱歩先生→新本格の先生という流れを受けての創作をされているわけで、そうやって時代は繋いでいくもんなんだろうなと。
いや、私はその能力にまだ全く満たない人間なので基準に見合いそうな書き手の方を応援しながらも、まずはモソモソと初心者のお勉強をしようと考えているわけですが…ハハハ。
そんなミステリー書きの末席の末席に将来的に加われたらいいなぁ~レベルの人間の、さしてどこに届くわけでもない、しょうもない戯れ言独り言なのでした。
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