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コントな文学『心が泣いている』

コントな文学『心が泣いている』
 

この店の大盛りって、こんなに大盛りなのか…  
  

特盛りを頼まなかったのは不幸中の幸いだった。

俺は、つけ麺の大盛りを頼んで、大盛り分を丸々残してしまった。 

だってこんなに大盛りなんて思わなかったからさ。

悔しいなぁ…

恥ずかしいなぁ…

何で、こんな事になっちゃったのかなぁ?

そっかぁ…

こんなに大盛りだなんて思わなかったからだ。

そもそも並盛りの量が大盛り位あるよなぁ…

麺も思ってたより、太かったなぁ…

これは仮説だが、お金が無い学生さんや夢を追って上京してきた若者に、お腹いっぱい食べさせてあげたいという店主の親心とサービス精神で相場よりも多くの麺を提供してくれているのかもしれない。

もし、そうだとしたら大盛りの量が多くて残した事をお店のせいにしようとした自分が情けない。

ぽかぽか暖かくて南風が気持ちいい休日の昼間。
自分の意思で大盛りを注文したんだから、残しちゃいけないって限界まで頑張って食べた。

それでも大盛り分を残してしまって、こんなに惨めで申し訳ない気持ちで店を後にするなんて、お腹ペコペコだった入店前は想像できなかった。

きっと店員は『大盛り頼んどいて大盛り分を残したバカ野郎』って思ってるだろうなぁ…

だってさ、大盛り注文した時に店員さんはちゃんと「当店の大盛りは、かなり量が多いですけど大丈夫ですか?」って確認してくれてたんだもん…

俺、調子に乗ってたのかなぁ?

何だか俺という存在が、ちっぽけに感じる。

そんな俺なんかにも、優しく抱きしめてくれるように南風が暖かくて、また泣けてくる。


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