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コントな文学『ニューヨークへ行く理由』

コントな文学『ニューヨークへ行く理由』

地元を離れて人生を変えるという強い想いを燃料に努力を重ね、東京の一流大学に合格し俺は上京した。

大学卒業後は日本で5大総合商社に数えられる大手商社に就職した。

上京してから10年経った。
一度も地元には帰っていない。

俺は同僚の女性と結婚した。
そして妻のお腹の中に新たな生命を授かった。

平日はバリバリ働いて週末は妻とカフェや食事、映画や散歩などを楽しみ穏やかな時間を過ごしている。

仕事もプライベートも充実していた。
間違いなく今が人生で一番幸せな時を迎えている。

週末、近所に新しくOPENしたカフェに妻と向かう道中、反対方向から歩いてきた男がすれ違いざまに声を掛けてきた。

「あれ?ウンコ漏らし?

お前、ウンコ漏らしだよな? 

久しぶりじゃん。

東京に居たのか。

そっちは彼女か? 

え?奥さん?

ウンコ漏らし結婚してたのか、おめでとう。 

はじめまして、奥さん。
ウンコ漏らしと同じ高校の杉山です、よろしく。

ウンコ漏らしさぁ、成人式も同窓会も来てなかっただろ?

連絡先交換しようぜ。高校の上京組に声掛けるから久しぶりにみんなで集まろうぜ」・・・

週明け、俺は上司にニューヨーク支社への異動を願い出た。
もう日本には二度と戻らない覚悟を決めている。

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