私は緑の湖畔にひとり立って、 屈折した肉体を忘れる。 濁っていて見えないから、 花でも砂でもよろしいでしょう。 あなたと見つめあっても、 時は止まらなかった。 もう帰らないと、私たち、 うっかり永遠なんて手にしないように、 必然の中に生まれてきたりしないように。
ねむりにおちる瞬間の あのしんとした すてきな気持ち 濁りのない沼の底の底を 掻きまわして踊っているんだ (あたしは待っている) あたしはよわくてちっぽけ 大きくて キバがあって 毛皮があればいいのにな そしたらでっかい身体をまるめてねむるよ 鐘が鳴るように歌って 木の実をかじって生きるのに 朝だ ひかりがやってくる (それはあまりにもまばゆすぎて) あたしの肌をすべり 毛穴に流れ込んで あたしの体内(なか)をめぐってゆく そして はじけて・はじけて・はじ
君の前では今すら過去なんだ 昼をもてあまして 夜はうずくまって 四肢を投げ出して じっと幕が降りるのを待とう 悲しみがぬるい風になるそのときを 脚がいいな 祈りよりもはやいその脚が 盲いその目が 耳が 鼻が 砂できらめくたてがみが 僕の中に もしすこしでも ともる光があるとするならば それを君にかざしてみたいのだ そうして照らされた君がゆっくりとまばたいて おまえのほかにはなにもいらないと そう言ってくれるだけで ほかになんにも望まないのだ
欲しいものなんでも手に入れたい。いくらお金があっても足りない。この前ヘッドフォンが壊れちゃったから、新しいものを買いたいし、最新型のカメラも欲しいし、大好きなマクドナルドで限界までお腹を満たしたい。コンビニに行って、値段なんか気にせずスナックをカゴに放り込みたい。いっぱい食べたいけど、太りたくもない。エステに行きたい。小顔矯正したい。鼻もちょっと高くしたいし、髪質改善もやりたい。全身プラダで着飾りたい。 私がスマホをスクロールしながらそんなことをぶつぶつ呟いていると、先輩
恋人がハムスター投げた、怒って、まるで遠投みたいな構えで、小さなふわふわをわしづかみして、そして大きく振りかぶった。 ハムスターはきれいな放物線をえがいて空を飛んだ、わたしは空飛ぶハムスターを見るのは初めてで、目が離せなかった、だけど結局部屋の壁にぶつかって床に落ちてしまった。 わたしはあわててハムスターに駆け寄り、手でひろいあげたけど、背中が変な方向に折れ曲がっていて、目を閉じていたから、もう死んでいるとすぐにわかった。 数時間ずっと手のひらで包んでいたけど、
膿んでぐずぐずになってる君は ベンチから立ち上がることもできないまま そこで終わらない夢を見てる ぼくは遠くからそれを眺めてる ぼくたちはゆっくりと死んでいく途中みたいだ…… 箱の中で身動きひとつとれやしない でもそんなちいさな箱の中身なんて だれも気に留めたりはしないんだよ 君の望むものなんでもあげる でもそれはどれだけのお札があっても足りないんだ せめてすべてが砕けてぼろぼろに散っていく時みたいに 君を気持ちよくしてあげたい だって空はいまにも崩れ落ちそうで 君は泣いて