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【詩】一匹狼

「どうか私のことを見て」
その鋭い眼光は
私のことを一瞥さえしてくれない

「どうか私の声を聞いて」
高く立ち上がった耳があるはずなのに
この声がどうしても届いてくれない

「どうか私の存在を感じて」
立派に伸びた鼻先は自らの
流れ出る血の臭いを捉えてはくれない


その手を使って何を掴もうというの
勢いよく空を切るその手は
伸びた爪で自らを傷つけるだけ

その脚を使って一体どこへ向かおうというの
力強く踏み締めていく砂利道は
あなたの足を傷つけるだけ

その身を切って向かう先に何があるというの
あなたを突き動かす情動は決して私のもとへ届きはしない


月の引力に逆らえないでいるあなた
冷たい雪原の上を今日も必死に駆けていく

遠吠えとともに
私もそばで叫んでいるというのに

揺れる立髪がキラキラと輝いている
眩しいばかりの月明かりに照らされて


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