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Ⅰ ヴァラーノの名誉
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ヴァレンティーノ及びロマーニャ公爵チェーザレ・ボルジアは、ゆっくりと椅子から立ち上がると、悠然とした足どりでイーモラの城塞内にある広々とした部屋の窓に向け歩んでいった。秋の日差しの中で窓辺に立ち、天幕が張られた草原とその向こうの川、そして、かの一筋の長い道、いにしえのヴィア・アエミリア(エミーリア街道)を見下ろす。それは遠くに幾つかの建物がかすんで見えるファエンツァの町へと消えるまで、完
Ⅱ フェランテの試罪
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チェーザレ・ボルジアの軍中に若いシチリア人士官がいた。その名はフェランテ・ダ・イゾラ、その軍事的才能と作戦会議で示した知力、そして用兵術における狡猾さによって、彼は急速に公爵の最も信頼する傭兵隊長のひとりとなった。
フェランテはイゾラ【註1】貴族の庶子だった。しかし父の数多い嫡出子を考慮すれば、生まれ故郷のシチリア島で己の大いなる野心を遂げる可能性は極めて少ないと考えた。彼の持ち物は
Ⅲ フェランテの悪戯
ⅰ
フェランテ・ダ・イゾラの生涯――とりわけ、彼の活躍にかかわる記録全ての唐突な停止――は、歴史を学ぶ多くの者にとって興味を惹かれるテーマであろう。彼は華々しい軍功と共に史書に登場し、彗星のごとく輝きながら頁を横断し、炎の尾を引くように功績を残し、そして登場した時と全く同じように、突如として掻き消えてしまったのである。
その終焉の物語、そして、その結末へと導いた悪戯、それこそが筆者が以下
Ⅳ ジスモンディの報酬
ⅰ
盗人にしてならず者のベンベヌート・ジスモンディは、盗んだ馬にまたがりエミーリア古街道に沿ってゆっくりと北上していた。周囲の地面は降り注ぐ陽光を照り返す雪で白く輝いている。目の前に長く一直線に伸びた道は未踏の白雪がこれまでより少なく、遠く――四里ほど先――にフォルリンポーポリの尖塔がかすんで見えていた。
寒さと空っぽの胃袋を呪いながらベンベヌートはゆっくりと馬を歩かせ、かじかんだ両手の
Ⅶ パスクイーノは詠う
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緑と金の服を着た金髪の若者の指先がリュートをかき鳴らした。彼の若々しい声が歌うのはフランチェスコ・ペトラルカのマドリガーレであった。
『ノン・アル・スオ・アマンテ・ピウ・ディアナ・ピアケ、クアンド・ペル・タル・ヴェンチュラ・ツッタ・イグヌダ・ラ・ヴィデ・イン・メッツォ・デル・レ・ゲリデ・アケ(彼はディアナに心奪われた、思いがけず一糸まとわぬ乙女を、冷たき水間に見つけし時に【註1】)』
イタリアを舞台にしたサバチニ作品
長編:
Love-At-Arms (1907)
ウルビーノ公グイドバルド・ダ・モンテフェルトロの姪であるヴァレンティーナは政略結婚を拒否した結果、居城を大軍に包囲されてしまう。
The Shame of Motley (1908)
いわゆる「白い結婚」でルクレチア・ボルジアがジョヴァンニ・スフォルツァに嫁していた頃のペーザロ宮廷を舞台にしたジュブナイル長編活劇。
The Strolling S