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記憶は好き嫌いすらも曖昧にする
※この記事は速読の練習用として使えるように、太字部分を読めば1分程度で読めるように書かれています。ぜひやってみてね!
‟記憶はあてにならない”
皆さんも一度は聞いたこと、思ったことがあるだろう。
また、友達同士の間での話で話が食い違ったり、経験したことのないことをあたかも経験したことがあるように思い込んでしまっていたことなどの経験もあるだろう。前者は記憶のバイアスの問題が大きいと思うが、今回は後者についての面白い実験を紹介する。
後者のような現象を虚偽記憶という。その虚偽記憶の研究の第一人者にアメリカの認知心理学者エリザベス・ロフタスがいる。そしてそのロフタスとバーンズタインらによって行われたある実験がある。これは2005年に「ソーシャル・コグニション」という学術誌に掲載された。
操られる思考
その実験の内容は、被験者である大学生に虚偽記憶を生じさせる、というものだった。
どうやって故意的に虚偽記憶を生じさせるかというと、こういった具合である。まず被験者に食べ物の好き嫌いを評定させたり、食べ物についてのアンケートを取る。その後、別の全く関係のない課題を与え、アンケートにどう答えたかを忘れさせた。次に被験者に「子供の頃に卵を食べて気持ち悪くなったことがあるから、卵は好きではない、と君は答えた」という嘘を教える。といったものだ。
普通はそんな自分が言ってもないことを信じるはずがない、と思うだろう。しかし、被験者のうちの数パーセントは、そういった回答をしたと思い込んでしまったのだ。
その後、全く別の実験ということにして、被験者には仮想のパーティに参加しているという想像をしてもらった。そのパーティには37項目の食品が用意されていて、被験者にその37項目をどれくらい食べたいか、といった評定してもらうというものだ。
その結果、卵を食べて気持ち悪くなったことがあるという虚偽記憶を抱かせた被験者では、卵を食べたいという反応が大きく阻害された。
もちろん卵以外の食品を用いた場合にも、同様の結果が得られることが同時に確認されている。つまりは、虚偽記憶を植え付けることによって食べ物の好き嫌いを実験者が意図した方向に歪めることができるのだ。これは自分たちが知らないところで自分の好みを操作される可能性がある、ということでもある。
そして暇人は、これを知った後に友人に「昔は田中って飲み会で吐きちらかしてゲロ魔人って呼ばれてたよなぁwww」のような作り話してみた。
すると、その後田中君は何の疑いもなくゲロ魔人(仮名)と呼ばれることとなってしまった。
やはり、人の記憶というものはあてにならないものである。
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参考文献
「おどろきの心理学~人生を成功に導く「無意識を整える」技術~」光文社新書 著 妹尾武治
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