いとう安房守

50台サラリーマン。 好物は、史跡、城、歴史談義、ラーメン、ウイスキー。 歴史に関わる…

いとう安房守

50台サラリーマン。 好物は、史跡、城、歴史談義、ラーメン、ウイスキー。 歴史に関わる妄想を勝手に書いてます。

最近の記事

幕末の村上藩

越後の最北端の鄙びた辺境にも幕末の戦争がすぐそばまで迫るにあたり、村上藩は大きな岐路に立たされていた。 あくまでも奥羽越列藩同盟側に着いて薩長新政府軍に抵抗するのか(抗戦派)、薩長新政府軍に恭順するのか(恭順派)と藩は真っ二つに割れた。 村上藩の祖は徳川家康の異母弟、徳川家十七士の一人の内藤信成であり、徳川幕府に忠義を尽くす思い、薩長外様への反発は人一倍大きかった。 しかし、一方で長岡を始めとするこれまでの戦況を考えれば、貧乏小藩である村上藩(5万石)が強大な軍事力を持つ新

    • 十一人の賊軍

      先々週、新発田に行って気になっていた映画を、昨日観てきた。 「十一人の賊軍」 幕末の戊辰戦争で揺れる新発田藩が舞台である。 映画の見どころは仲野太賀の殺陣、罪人たちの活躍となろうが、阿部サダヲの家老もなかなかの存在感であった。 城下を戊辰戦争の戦火から守る、藩を残す為に家老が奥羽越列藩同盟軍、薩長新政府軍に対してのらりくらり欺瞞工作を行い、様々な狡猾、冷徹な策を講じていく。 小藩が生き残る為の苦渋の策であり知恵でもある。 映画では一見すると、新発田藩は新政府軍側の勝組の

      • JRAに厳正な対応を求む

        藤田騎手の引退は残念だが、彼女の虚偽申告はかなりの悪質性が感じられ、引退は当然だろう。 厩舎関係者の関与があるとすれば問題はより深刻であり、単に騎手の処分引退で終わるのではなく、JRAには更なる調査とファンへの詳細な説明、再発予防対策の徹底が求められる。 公営ギャンブルの胴元、ブラッドスポーツのレフェリーは厳正、中立、正確でなければならない。 今から30年前、当時大学4年生であった私は就職活動をしていた。 JRAの一次の面接で志望理由を面接官から聞かれてこう答えた。 JR

        • 道の駅和田浦WA・Oで思い出した事

          沿岸小型捕鯨基地のある千葉県南房総市和田浦。 捕鯨の町ということで道の駅には鯨の骨格標本、資料館があります。 捕鯨砲もありました。 捕鯨船に取り付けられ、火薬の爆発力で銛を鯨に打ち込み捕獲する道具ですね。 突然ですがクイズです。 あなたは捕鯨砲の砲手です。 前方にお父さん鯨、お母さん鯨、子供鯨の三頭の鯨の親子を発見しました。 どの順番で銛を撃ち込んだら良いでしょうか? まず最悪は、子供鯨を最初に撃つことでしょうね。 子供鯨を撃たれたお父さん鯨、お母さん鯨は怒り狂って

          I.W.ハーパー12年を見ると思い出す事

          最近、アメリカンウイスキー、バーボンは飲んでいない。 スコッチシングルモルト、とりわけアイラモルトの沼にはまってしまったからである。 以前はI.W.ハーパーゴールドメダルのソーダ割を毎晩愛飲していたが、ほとんど飲むことは無くなった。 だが、I.W.ハーパー12年だけは常備して、今でも大事にちびちびと飲んでいる。 何と言っても四角いお洒落なデキャンタボトルが特徴的で雰囲気があるのが気に入っているからだ。 このボトルの存在は、かなり前から、私が中学生くらいのころから知っている

          I.W.ハーパー12年を見ると思い出す事

          サントリーローヤルを見ると思い出す事

          私が小学生のころ、今から40年以上も前の話である。 私の親父はいわゆる呑兵衛でウイスキーを毎日常飲していた。 好みのウイスキーは、サントリーホワイト。 価格が安く気軽に飲め、自作のアジのなめろうやイワシの煮付け、鯨のタレなど地元の房総の魚介をあてに飲んだいたので、食中酒としてホワイトのサッパリとした比較的軽めのテーストを好んでいたのだろうと思う。 ホワイトが切れた時は、よく、近くの酒屋に買いに行かされたものだった。 私が社会人になり帰省した時、ホワイトより高級なローヤルを

          サントリーローヤルを見ると思い出す事

          大河雑感 第32回「小牧長久手の激闘」

          久しぶりに大河ドラマを見たので雑感。 ドラマ内での松潤家康の台詞 「弱く臆病であったこのわしが何故ここまでやってこられたのか?今川義元に学び織田信長に鍛えられ武田信玄から兵法を学び取ったからじゃ。何より良き家臣に恵まれたに他ならない。礼を申す。」 この台詞、今回のドラマの大きなテーマの一つであろうと思う。 家康は、忠勇、自己犠牲の家臣、周りの者に支えられ、護られ、成長してきた。 三方原の夏目、本多忠真、三河一向一揆での長吉、さらには穴山も伊賀越えで家康の身代わりで死んだと

          大河雑感 第32回「小牧長久手の激闘」

          大河ドラマ「どうする家康」第24回雑感 ~慈愛による東国連合とは?~

          慈愛による東国連合。 唐突と出てきた壮大な夢、この世から戦争を無くす瀬名のお花畑全開の策である。 歴史フィクションであるドラマの世界なのでどう描くのかは自由であると始めに断っておく。 お花畑全開と評したが、考え方自体は実に素晴らしいとは思う。 しかし、違和感というか、唐突感というか、考えが浅すぎというか、残念な感情しか起きず、瀬名への共感どころが何の感情も起きなかった。 こういう残念な感情を抱かせてしまったという意味においては、脚本が稚拙過ぎたと個人的には思う。 も

          大河ドラマ「どうする家康」第24回雑感 ~慈愛による東国連合とは?~

          大河ドラマ「どうする家康」第22回雑感 ~勝頼、決戦への決断の理由~

          設楽原に激しく降っていた雨も上がり、空に虹が現れた。 虹を指さし、武田四郎勝頼は「吉兆なり!」と叫び兵を鼓舞し、織田、徳川連合軍との決戦をいよいよとした。 しかし、この虹は決して吉兆などではない。 雨が止むということは、武田軍にとっては圧倒的不利である。 なぜなら、織田、徳川連合軍の大量配備された鉄砲の使用が可能になったということだからである。 勝頼はそのことに気付いていない。 おそらくこの時点では、勝頼には鉄砲の凄まじい威力に気付いていなかったのだろうし、また、気付い

          大河ドラマ「どうする家康」第22回雑感 ~勝頼、決戦への決断の理由~

          大河ドラマ「どうする家康」第21回雑感 ~絶望の籠城戦の中の希望~

          籠城戦を続ける長篠城。 ここが武田方に落ちれば、岡崎、浜松を分断する上でも、また織田領の東美濃への攻略拠点としての楔ともなり、織田、徳川の分断をいよいよ招きかねない。 これは徳川家の存亡に関わる事態となろう。 徳川家康にとっては何がなんでも長篠城を死守しなければならない。 僅かな手勢で、大軍の武田軍相手に籠城戦を続け何とか持ちこたえているのは奥平勢である。 それにしても、籠城戦というのは非情というか実に厳しい戦いである。 特に守城側にとっては、まず大軍を相手にしないと

          大河ドラマ「どうする家康」第21回雑感 ~絶望の籠城戦の中の希望~

          大河ドラマ「どうする家康」第20回雑感 ~寝返りとは自分をいかに高く売るか?ということ~

          元亀以来の武田の遠江三河侵攻により、徳川は領国の三分の一以上を失ったという。 徳川にとっては非常に危機的な状況であり、こうなるとお決まりの内部分裂の動きが出てくる。 こんな危機的状況であっても、前回ストーリー同様、「どうする家康」と言いながら、松本家康は全く何もしないという、家康の活躍を期待する人にとっては安定のクソつまらないストーリーであった。 まあ、ドラマへの文句はさておき、信玄死後も戦いで勢いに乗る武田は、動揺する徳川家中、配下国衆、家臣に調略をかける。 武田に

          大河ドラマ「どうする家康」第20回雑感 ~寝返りとは自分をいかに高く売るか?ということ~

          大河ドラマ「どうする家康」第19回雑感 ~信玄死後の世界をどうする家康~

          タイトルは「お手付きしてどうする」だが、結果から言えば、家康はどうすることもできず、結局何もしなかった。 なんだかな~である。 瀬名の登場で、次回の事件への楽しみを振りまいたのだろうが、そもそも瀬名のこれまでのキャラクターの描き方が中途半端で、何だかモヤーッとしている。 悪女なのか、徳川家の良妻賢母なのか、家康を支える同志なのか、単なる可愛いだけの奥方か? まあ、ドラマを見続ければ解るのだろうか。 女子が政をすれば、戦はなくなると言うお万の方、うーん、そんな単純な話かね

          大河ドラマ「どうする家康」第19回雑感 ~信玄死後の世界をどうする家康~

          大河ドラマ「どうする家康」第18回雑感 ~武田軍の陣形から見た三方原の戦い~

          元亀3年12月22日、武田、徳川の両軍は三方原台地で激突。 武田軍は「魚鱗の陣」を敷き、一方徳川軍は「鶴翼の陣」を敷いたという。 一般に敵よりも兵力が劣っている時、戦力を集中させ前方中央の突破を図るとき「魚鱗の陣」を敷き、逆に戦力が敵を圧倒する場合は敵を包囲するよう「鶴翼の陣」を敷くことが陣形の常道とされる。 にもかかわらず、本合戦では、武田軍が兵力的に圧倒する戦況において、武田軍は「魚鱗の陣」、徳川軍は「鶴翼の陣」と、常道に反する形で両軍が陣形を敷き激戦が繰り広げられ

          大河ドラマ「どうする家康」第18回雑感 ~武田軍の陣形から見た三方原の戦い~

          大河ドラマ「どうする家康」第17回雑感 ~物事は段取り9分~

          元亀2年、武田軍は遠江徳川領に侵攻。 信玄生涯最後の戦い、いわゆる西上作戦である。 この作戦の武田信玄の意図は何であったか? 三河遠江の攻略か?、信長を討って上洛か? 諸説あるが、信玄の慎重な性格からすると、まずは、小生意気な家康を葬り、三河遠江の足場を固めると考えていたのでは?と思う。 まあ、「三カ年の鬱憤」を晴らすであるが、あまり徳川、織田どちらを攻略目標に置いていたかはどうでも良いのかもしれない。 徳川相手とは言え、作戦立案には織田軍本隊の援軍を考慮しないといけな

          大河ドラマ「どうする家康」第17回雑感 ~物事は段取り9分~

          大河ドラマ「どうする家康」第16回雑感 ~武田軍の強さとは?~

          久しぶりに大河ドラマ(録画)を見たので今更ながら、第16回の雑感をアップ。 赤地に堂々と描かれた百足の旗指物は、恐怖と不気味さを感じさせ、武田家の底知れぬ強さを我々にイメージさせる。 武田家の強さとは、一体何か? 人質として武田家に送られた久松松平源三郎は、甲斐で武田家の強さの秘密を「体感」する。 武田家の兵は、監獄のような修練場で厳しい鍛錬をし、兵の戦闘力を強化をしていた。 その中には信玄の息子四郎勝頼の姿もあった。 風雪に耐え、粗食に耐え、猛訓練のシゴキにも耐え、

          大河ドラマ「どうする家康」第16回雑感 ~武田軍の強さとは?~

          大河ドラマ「どうする家康」第15回雑感 ~家康と長政の関係~

          タイトル「姉川でどうする」って、単に戦うだけかと思ったら、まさか戦場で信長を裏切るかどうかとは… しかも、30年後の関ヶ原で家康自らが、金吾中納言の裏切りを促すため行ったとされる「問い鉄砲」を信長にされちゃうというオマケ付きであった。 あの局面で信長を裏切るなんて、どう考えても??である。 例え信長を討ち取ったとしても北近江姉川から、美濃、尾張を通って本国三河まで無事に帰れるとでも。 2秒で解る結論ではある。 ドラマ内では、家康は浅井長政に好感を持っていた。 これはあなが

          大河ドラマ「どうする家康」第15回雑感 ~家康と長政の関係~