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その先に何が あるのか あるべき なのか 闘いの果てのハンモック

 どこからかアゲハチョウがやってきて、またベランダにある、鉢植えの檸檬の葉に卵を産んだ。秋なのに。ちょっと前、今年の8月の後半、檸檬の葉についたアゲハチョウの幼虫を見つけ、飼育ケースに入れて飼って、孵化させたばかりだ。またか。卵を捨てるのは忍びない。といって、檸檬の葉を食い荒らされるのも困る(やつらは本当によく食べるのだ)
 とりあえず、飼育ケースに入れ、飼うことにした。檸檬の葉を切って与えるので、結局は檸檬の葉を切るのだけれど。
 直接関係はないが、名前に虫が付いている詩人を思い出した。

「染色体」 蜂飼耳   

草木密生
五穀成熟

おとこはすべておんなから出てくるのに
おんなを踏みつけるおとこがいて
(彼は おとこをあいするおとこ だったが)
ある日 はなやかな喧嘩になった
いっぱつかましてやんなきゃわかんないんだよ
このあま

と叫び 彼はほとんどすべてのおんなを
がっかりさせた
子宮感覚、などというものは幻想に
過ぎない としても わたしたちは
おんななので 配管のようすなども
気に掛かる
してみると

おんなははたと気が付きしっぽのように
からだを切り離しからだを棄てて
おとこが食べるのを見届ける

その間 まだ咲かぬ米の花のことや
新発売の入浴剤の安売りが
どこのドラッグストアだったとか
など  考えたり

XでありYである わたしたちの
その先に何が あるのか あるべき なのか
闘いの果てのハンモック
おとこが寝静まると おんなたちは
秘密の唄を皮膚の下から無事飛び立たせる
交わらない線を拒んで
わたしたちのための数式をひらいていく
そこにいつも

草木密生
五穀成熟 

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