歯の食いしばり
歯医者に歯を見せると、「歯ぎしりの癖があるようですね」と言われる。
歯がすり減っていると言うのである。
睡眠中のことであり、自分で確認できないがどうも歯ぎしりするらしい。
しかし歯がそんなにもすり減ってしまったのには、別に覚えがある。
歯の食いしばりだ。
成育歴、成育環境に難があり、中学入学前後から、一日中緊張しっぱなしの生活を送ってきた。
歯も一日中、食いしばりっぱなしだ。
歩いている時も、座っている時も、横になっている時も、文字通り歯を食いしばっているのである。
大人になり歯医者で歯ぎしりを指摘され、ナイトガードという睡眠中に上の歯に装着するマウスピースを作ってから、意識して歯を食いしばらないようにしてきた。
普通、人は口を閉じた状態では、上の歯と下の歯の間には隙間があるのだそうだ。
私はそうではなかった。
普通の人が自然にしている、歯を含む、口周辺のポジショニングを私は一から訓練で身につけた。
まず上の歯と下の歯の間に隙間を作るにあたって、難しかったのは舌の置き場である。
歯の食いしばり期には、まず歯をぎっちり噛み締め、上の前歯の裏側に舌を押し付けていた。
私は少々出っ歯であるが、もしかするとこれが影響しているのかもしれない。
非常に悔やまれるが今となっては仕方ない。
さて、上の前歯の裏に押し付けていた舌をどこに収めたか、下の前歯の裏である。
これでは下の前歯まで出っ歯になってしまうのではないかと考えたが、なるべく歯茎より下に当てることで下前歯上部の急激な傾斜を防止することにした。
歯医者、その他誰にも、「緊張しているので歯を食いしばっています。」とは言えないできた。
たった今も緊張しているなんて、恥ずかしいからである。
こうして独学で歯のポジショニングを身につけたわけだが、最近この症状にきちんとした名前があることを知った。
クレンチング症候群である。
‟「クレンチング症候群」というものを聞いたことがあるでしょうか。これはストレスなどが原因でおこる、歯を強く食いしばってしまう癖などのことをさします。ただの食いしばり癖のことかと侮ってはいけません。人体にさまざまな悪影響をもたらすこともあると言われています。”
引用:アパガード 歯が命コラム
私だけの奇妙な癖だと恥じてきたが、同様の症状を持つ人がいるらしい。
私は大いに安心した。
しかし、同時に下記の症状の内、4つが当てはまることも知ったのである。
‟●歯の削れや欠損、亀裂、破折
●歯のグラグラ
●歯周組織にまで負担がかかり、歯周病(歯肉炎、歯槽膿漏)へ
●歯の亀裂から知覚過敏へ
●顎関節症
●肩こり
心当たりのある方、それはクレチング症候群のせいで起こったのかもしれません。”
引用:アパガード 歯が命コラム
これは安心してばかりもいられない。
人生の折り返し地点を過ぎた今、こと体に関してはなるべく正直になり、ひと様を頼っていこうと考えた次第である。
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