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物語に成れなかった言葉たち。
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2019年5月の記事一覧

いつか

いつか、何もかもがうつくしいと
そう思う日がやってくる

ここにいるのは、
ほんとは僕じゃなくても良かった
偶々産み落ちた大量生産の、
隣り合わせが良かっただけ

電車で一緒に揺られているあなた
街角ですれ違うだけのあなた
ほんとは、あなたが僕だったかもしれない
だけども結果、僕は僕になった
だから今、こうしている

空を見ている 友と語らっている
仕方ないと笑っている
ふざけんなと怒っている

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遠ざかる腕を、背を、掌を。
追うことが出来なかった。

軽やかに踊り舞う、
楓の種子を君は見たことあったかい?
ゆったりゆったりと
風にのってゆくんだ。

さらばだ! 皆の衆!

あゝ。
ここを出て行った、あの日を
僕は思い出す。
君は風になって、僕を置いて行って。

そうだろう、と言って。
馬鹿だなぁ、て笑って。
そんな日々さえ。

君と飛んで行ったんだ。
#ss #散文 #雑文 #詩

肉塊の独白

『ほんとは、消えちゃいたいんだ』

君がそんなこと言うから、
僕はいなくなんないでって言うしかなかった。

これは自己中心なエゴの発露です。
ただ一人になりたくないだけの、
かあいそうな肉のカタマリ。

たまたま自我を持ったばかりに、
要らん欲まで膨れる始末。

そこらに打ち捨てられてりゃよかったんだ!
そうすりゃ、君は流星のように消えられただろうに。

関係性は建前で、相槌は惰性で。

中身のな

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