「サシ氏との対話」(フォンテーヌ/サシ/パスカル)覚え書き

テクストの性質と内容

ルイ=イザク・ルメートル・ド・サシ(通称サシ)の秘書、ニコラ・フォンテーヌが書いた『ポール・ロワイヤルの隠士列伝あるいは覚書』の中にある文章。
サシとパスカルの対話が描かれる。
パスカルの原稿とサシの引用集(聖アウグスティヌスが主)を基に書かれた。
エピクテトス、モンテーニュ(デカルトを援用)についての言及。評価と批判。

テクストの要約

エピクテトスについて

・評価:義務を説くことによる怠惰打破。
・批判:人間の力についての誤解による傲慢さ。

モンテーニュ(+デカルト)について

・評価:徹底的な懐疑による傲慢打ち砕き。
・批判:人間の弱さについての誤解による絶望・無気力。

パスカルの結論

したがって以上のような不完全な知識の結果として、一方[エピクテトス]は、人間の義務は知ってもその無能力はしらないために高慢のうちに陥り、他方[モンテーニュ]は、無能力は知っても義務は知らないため無気力に堕してしまいます

岩波文庫『小品と手紙』,p180

かといって、双方の考えを結合させようとしても対立と争いを生むだけである。

どうするか?
キリスト教信仰による双方の矛盾対立の一致。
・弱さ:すべては自然本性に属す
・力:すべては恩寵に属す

これらは(神にして人である【神人】[Homme-Dieu])イエス・キリストの唯一の位格の内の二つの本性の結合の象りと結果。


メモ

本文……『小品と手紙』,p148~
解題……『小品と手紙』,p206~

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