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WEB詩誌「鷦鷯」

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#WEB詩誌

『大江戸ペニバン物語』マ・レジ

山本モナのディナーショー落選した
せっかく乙5類取ったのになぁ
今夜もサイゼで水中クンバカしなきゃ
ややっ彼処におゎしますはぃと艶かしぉじぞサマ
おててとおめめが頭部に7つ
こういうギャル系が1番抜けるんだよね
フーッ、フーッ、フーッ、
え?福井では皆こうだよ
そろそろダチの鳥葬の時間なんであっしはドロンします
それではみなさん、チャンネルはそのままで!
時東ぁみでした〜!

『金玉にとっての我々』のぞみぞウォッチャー

地球が丸いのって金玉のお蔭かな
触ると地球の温かさを感じるんだ
いくつも刻まれた皺が大地のうねり
その中で力強く根付いている陰毛たち
お前たちは何でここにいるんだ
生まれた意味すらも分からない彼らを見ると
それこそがこの地球にとっての人間だと僕は思うんだ

『新型車 』ワグニイニ

新型車
新型車
妖艶なルナチタニウムを纏いて
将来は
とびきりエッチな
クラッシュギアになあれ

『世情』ワグニイニ

田舎のでっかいイオンの辺りの
少し小さな公園で
WaTのコピバンがどっちがどっちか揉めているよ
私は向かって左がウエンツだと思うけどね

『青葉の記憶』ワグニイニ

ああ!
そのときカシオペヤは形を変えて、
掬い上げた水面が映し出す
燦爛たるポラリス!

立ち上がる輝きは
新しい約束の形に違いなく、

やがて赤色に照らし出された巨星の果ては、
なおも進み続ける波動のパレードだった

『雨読』のぞみぞウォッチャー

頁を捲ろう
セリフだけを読んで 細部は省こう
ストーリーは読んで 伏線は見過ごそう
それでも本を読んだ気になって
心に残る言葉は確かにあって
身勝手な充実感で心は満たされる

ふと外を見ると
雨はまだ振り続けていた
変わらない暗い雲に安堵して
再び本に目を落とす
場面は変わっていて 
私は頁を戻して
読書を繰り返す
そして、了の文字に満足すると
私はインクの匂いを嗅ぎながら
早すぎる時計の針に驚く

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『無題』山口祐也

心の手首に剃刀の歯を当てるように
簡単に誰かを傷つけて
痛みに無関心な僕らを
美しいと
血まみれの正常が言う
脳みその僕ら、精神の僕ら
十分すぎるほどに傷つけあった
それでも傷つけ合おうとする僕らのために
酩酊の空が割れる
割れ目から零れ落ちた虹が
夜明けの街を染めていく
虹色に染まれなかった僕ら
虹色の街を彷徨う
疎外感など無い
誰も虹色ではない事を知っているから

『52Hzの鯨』山口祐也

人間とは自己矛盾する動物である。心と裏腹な行為を繰り返す私たちは、常に多くの矛盾をその身体に抱えている。平和を願いながら核兵器を手放さない大人たちを見ながら子ども達が育っていく。明日や「私」が美しくないことを知っていながら、私たちはそれらを美化し続ける。私たちは矛盾している。

身体と心を分解し、身体だけ大きくなり、心はずっとどこかを彷徨っている。未だナニモノにも成りきれない私たちの滑稽さを、この

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『第三世界から来た水-2』山口祐也

反発しながら溶け合う西と東。汚しあう稚児。血の夜。悪夢がとめどなく来る。
全て押し流してくれ、底を知らない夢の足跡、前人未踏の川の底。ネズミはそこからやってきた。誰も知らなかったんだろう?どうして君だけが知っていることが出来ると言うのか。語りえない事には沈黙するしかないんだ、夜更かしの僕ら。

演技派の看守はカラスの夢を見るか?問いかける僕と君は泣きながら笑った。悲しむ必要などない。支配は終わった

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『温いスポンジ』 飛魚

優れつつも愚かさは残したい
クグヌとした手には砂利
大げさな言葉が好きだ
尾ひれのついでに羽もつけよう

謙虚であり尊大でもありたい
蛍光灯がタンッタタタ
ああ透けて見えてしまうな
信じていたお前も敵だったのか

反省はたくさん後悔も少しだけ
スポンジがユマユマと染まる
気が向いたらまた悔やもう
世の中楽しいことばかりだ

『滲む』 飛魚

不穏な妄想が止まらない
今日だけはピアスを外す

嫌いなやつが結婚していた
心の中では毒を吐く

チグハグな話を必死に整理する
相槌のタイミングが全て

欠席した親友への愚痴が聞こえる
どうやら俺の事は言ってない

真顔に戻る機会を伺う
そろそろ頬をほぐしたい

冗談が隣の声でかき消される
聞こえてないのか無視してるのか

近況を聞かれて答えに詰まる
自慢できることなんか一つも無い
そういえば最近

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