『雨読』のぞみぞウォッチャー


頁を捲ろう
セリフだけを読んで 細部は省こう
ストーリーは読んで 伏線は見過ごそう
それでも本を読んだ気になって
心に残る言葉は確かにあって
身勝手な充実感で心は満たされる

ふと外を見ると
雨はまだ振り続けていた
変わらない暗い雲に安堵して
再び本に目を落とす
場面は変わっていて 
私は頁を戻して
読書を繰り返す
そして、了の文字に満足すると
私はインクの匂いを嗅ぎながら
早すぎる時計の針に驚くのだ

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