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48.3つの候補地からブラッチャーノに決めたワケ
シチリア女子2人の日本滞在中にローマの大家さんから連絡が来ました。
それは申し訳なそうな調子で書かれたメールだったのですが、その内容は想定外に衝撃的なものだったのです。
大家さんから来たメール
1度断られたものの、大家さんへは再び住居証明書へのサインをお願いしていたのですが、その返事として来たメールにはアパートの部屋から出ていくようにと書かれていました。
ローマへ戻ってから、1週間以内に退去するようにと書かれていたような気がします。
それを読んでショックを受けたし途方に暮れはしたものの、その一方で潮時だったのだな、とも思いました。
大家さんとの2人暮らしに窮屈さを感じていたし、私の行動への干渉にも嫌気がさして来ていたのです。
きっとこれが、引っ越しをする良いタイミングだったのだと思います。
大家さんからこうでも言われなければ、イヤだと思いつつもそのままズルズル留まっていたでしょうから。
知らない外国の町でひとりで家探しをするなんて、大変に決まっています。
できれば避けたいと思うのが普通でしょう。
候補に選んだ3つの町
引っ越しについては少し前から視野に入れていたものの、どこにするかという明確な場所はまだ決められずにいました。
ただ、引っ越すならローマ中心部ではなく、今度は少し郊外に行こうと何となくではありながらもそれだけは決めていました。
2ヵ月間住んだローマのアパートは、まるで東京にいるような騒音がいつも聞こえていたからです。
サラリア街道に面していて交通量が激しく、夜間には輸送トラックも走っていて空気の悪さも気になっていました。
せっかく東京から移住するのです。
都会ではなく、もっとのんびりとした田舎に住んでみたいと思い、その候補として漠然と3つの町を考えていました。
まず最初に思いついたのはフラスカーティ。
日本でもわりと名の知られている白ワインの産地です。
ローマ・テルミニ駅から30分で行けるローカル線も出ていて便利だし、窓から緑のブドウ畑を見ながら暮らすのも良いのではないかと妄想していました。
次に考えたのはフィウミチーノ。
ローマ国際空港のある海沿いエリアです。
私は海が好きなので空港にも近いフィウミチーノは好都合だし、少し南下したローマっ子の海水浴場として人気なオスティア辺りもいいかもと思っていました。
そして、最後にブラッチャーノ。
1度も行ったことがないばかりか、ローマに来るまで地名すら聞いたことがありませんでした。
私がブラッチャーノを知ったきっかけはローマで住んでいたアパートです。
アパートはヴィッラ・アーダ公園に面してテラスがあったのですが、天気が良いとそこからきれいな姿をしたまるで富士山のような山が遠くのほうに見えました。
大家さんにその山のことを訪ねたら、あれはロッカロマーナと呼ばれる山であそこまでがローマ県に含まれる、山の下にはブラッチャーノという湖がありそこでヨットに乗ることもある、と聞いたことがあったのです。
ローマに湖があるなんて思いもしませんでした。
そんな話を東京観光の合間にシチリア女子にしたら、彼女から意外な話を聞くことになります。
ブラッチャーノに決めたワケ
彼女は私が挙げた3つの候補地のうち、ブラッチャーノを強く推すのです。
それは、彼女の兄弟が仕事の関係で当時、ブラッチャーノに住んでいたからでした。
ローマに比べて家賃も安いこと、ヴァチカンのあるサンピエトロ駅まで40分ぐらいで行けること、フィウミチーノ空港へも同じぐらいの時間で行けること、などを教えてくれました。
とくに空港へのアクセスは、いつも混んでいるローマで渋滞に巻き込まれることを考えると、距離はあっても道の空いているブラッチャーノのほうが有利だというのです。
私はローマの学校へ通わなくてはいけないので、交通アクセスが良いことは必須条件です。
イタリア地方都市でよくあるのは主要路線の駅と町とが離れていることなのですが、ブラッチャーノは駅と旧市街とが隣接しているめずらしい町でもあります。
さらにフィウミチーノ空港へもアクセスが良いのであれば、もう言うことは何もありません。
あのアパートに住まなければブラッチャーノを知ることはなかったし、シチリア女子の東京観光に付き合わなければ3つの町のうちでもっともよく知らないブラッチャーノを選ぶこともなかったでしょう。
いろんな出来事がひとつの流れのようにつながり、まるで何かに導かれるようにして引っ越し先はブラッチャーノ、と決めました。