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記憶装置としての消費

僕らは基本的には空腹を満たすためというよりも、心を満たすために食事をしています。「スイーツは別腹」なんて言葉がありますが、情報にも似たような効果があり、人は新しいコトにふれる機会を見逃すことができません。

たとえ満腹の時であっても「あの滅多に買えないお店の○○だよ」と言われて差し出された料理やお菓子なら、ついついて手が伸びてしまうのはアドレナリンの影響なのでしょうか。(アドレナリンにあるのは興奮作用ではなく、期待を伴う行動の促進作用だそうです。)

スイスの有名な時計メーカーの方が「製品とは記憶装置である。人々は喜びや嬉しさといった好ましい感情や、思い出といった経験をかたちに変えて残そうとするから、写真を撮り、お土産を買うのだ。」と話していました。

1999年に出版され「経験×経済×ブランディング」の教科書みたいになっているのがこの本。ちょっと事例が古い面はありますが、まだネットカルチャーが現在のように普及する前の本ながら、すでにコモディティからの脱却について鋭い指摘が詰まっています。

2005年の新訳・再版も部数が限定されていたのか、実売価格の数倍のプレミアム価格になってますが・・ブランディングに関わる方なら、読むだけの価値ある一冊です。

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経験経済(2005年、ダイヤモンド社、B・J・パインⅡ&J・H・ギルモア)


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