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【読書感想#12】感涙必至。不思議な一脚の椅子が意味することとは・・・(ネタバレなし)

【概要】

作品名:ノースライト
著者:横山秀夫
発行所:新潮社
発行年:2019年
ジャンル:ミステリ、家族
頁数:543頁

【あらすじ】

一級建築士の青瀬は、信濃追分に向かっていた。たっての希望で設計した新築の家。しかし、越してきたはずの家族の姿はなく、ただ一脚の古い椅子だけが浅間山を望むように残されていた。一家はどこへ消えたのか? 伝説の建築家タウトと椅子の関係は? 事務所の命運を懸けたコンペの成り行きは? 待望の新作長編ミステリー。

【評価】

5/5

【感想】

※ネタバレは含みませんのでご安心ください

世界を魅了した「64」から6年、横山秀夫が満を持して上梓した作品。
しがない建築士である青瀬稔(あおせみのる)が、失われた居場所と時間を取り戻そうとする愛と再生の物語。

素晴らしいとしか言いようがない。
いや、そう簡単に言ってしまうのも憚られるほどに美しい小説だった。まさに芸術作品そのものだ。
文庫本で543頁と一筋縄ではいかないボリュームを誇っているが、その重量感ゆえの深みや美しさは言葉では表しきれない。

長編ミステリとしての質は言わずもがな。
多くの謎が複雑に絡み合い、それが解ける瞬間には思わず感嘆の声が漏れた。

横山秀夫作品らしからぬ「建築」をテーマにしたミステリであるが、そのイレギュラーさも新鮮で面白い。
そして、ミステリと一括りにするのももどかしいほどに、人と人のを描いた生きた小説でもあった。

ぜひ、多くの人に読んでいただき、この感動を味わっていただきたい。

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