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12/3【D】「ドキドキしますね」は汎用性が高い - 4日目

文章を書く習慣を取り戻したくて、ABCを頭文字にしたエッセイを11/30から毎日書いています。(予約投稿の場合もあります)

#26文字のアドベントカレンダー

「ドキドキしますねぇ」
私の中で困った時にとりあえず言う言葉の代表格だ。

何しろこの言葉は汎用性が高い。
そもそもドキドキというのは鼓動が速くなることを表す擬音語だ。
動物にとって、「鼓動が速くなる」のは不随意で起こる反射なので「ドキドキしている」といえば頭で考えたのではなく、身体が勝手にそうなってしまっているのだと伝えられる。
だからよく考えずに相槌のように使ってもそんなに変じゃないところがいい。

しかも、「ドキドキ」はネガティブもポジティブも内包する。
以下にドキドキとともにある、感情を書き出してみる

痛い、哀しい、辛い、焦り、困惑、不安、驚き、喜び、楽しみ、緊張、やる気

良くも悪くも、とにかくなにか大きく気持ちを動かされているのだと伝えられるのがわかる。

「これについてどう思う?」
自分が「これ」についてなんとも思っていないとき。相手がどう評価しているかわからないと、どう答えたら角が立たないか悩むことがある。そんな時はすかさずこれだ。

「あードキドキしますね」

このあと相手が良い評価をしても悪い評価をしても合わせやすい。悪い評価なら「そうですよね、いつもちょっと不安を感じます」と言えばいいし良い評価なら「やっぱり、これを見ると嬉しくなりますよね」と言えばいい。

あとは「ちょっと聞いて!」と相手が話したことにどうリアクションしたら良いのかさっぱりわからないときも役に立つ。

「それはドキドキしましたね」

と言っておけばいい。
相手がとても悲しかったとしてもとても嬉しかったとしても何かの感情はあるはずだから何かには当たる。最悪、もしなんの感情もなかったとしても生きてさえいれば心臓はドキドキはしているのでなんとかなる。

心臓はドキドキしているのでなんとかなる

こんなテキトーな私だが、10歳くらいの頃にこの「ドキドキ」に大変悩まされていた時期があった。
夜眠ろうと横になると、耳の奥で「ドキドキ」が聞こえて眠れなくなってしまったのだ。ちょうど小学校の人間関係が複雑になってきた時期で、今思えば心理的なストレスか第二次性徴のホルモンバランスの変化による不眠症だったのではないかと思う。

眠れないけれど、当時家族一緒の寝室だったので横になっていなくてはならず、他の家族の寝息やいびきがうるさくてイライラが募り、親からは「横になっていればそのうち眠くなるから」と言われるが、じっとしていても一向に眠気はやってこず。
じっとしているのが辛くて辛くて。
眠れないのは体調にも影響して、もともと頭痛持ちだったのがより酷く、月に数日休むようになってしまった。

最終的に子ども部屋に2段ベッドが置かれて、家族バラバラで眠るようになってから眠れるようになった。
というか、夜中に1人だけ起きてしまってもコッソリ起きて本でも読んで時間を潰せばよいと気がついたら、眠れるようになっていた。
部屋の明かりをつけるとバレるので、勉強机の小さな明かりで本を読んだり絵を描いたり。

バレなきゃいい


寝なきゃいけないと思わなければ案外眠くなるのだった。夜は孤独で怖かったけれど、開き直れば静かで落ち着く。三人姉弟の真ん中の子だったので、いつもうるさい家だったから、静かな夜は意外と嫌いじゃなくなった。

が、それでめでたしめでたしとなるわけでもなく、視力がどんどん悪くなり、1.0あったのがあれよあれよと近視になり乱視も入り、今では眼鏡がなければ生活できないレベルになってしまった。

と、いいつつ、実は眼鏡がある自分の顔の方が気に入っているので、それはそれで結果オーライなのだった。

「ドキドキする」にたくさんの意味があるのは、人が鼓動の高鳴りを感じる時、その感情は一意ではないからだと思う。
不眠症も、目が悪くなったことも、良いことも悪いこともそうでないことも色々感じた。
いろんな事を内包して毎日心臓は鼓動を続ける。
ほら今も、あなたの心臓もドキドキしてるでしょう?
だから「ドキドキしますね」は汎用性が高いのだと思う。


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