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12/18【S】 シシャモがみつからない -19日目

我が家の朝ごはんは毎日同じメニューにしている。用意するのが楽なのとストックの管理がしやすいからだ。毎日同じではあるのだが、子どもたちがそれぞれ好みが違うのでメニューは何種類かある。

夫は朝ごはんをほとんど食べない人だ。
朝はギリギリまで寝ているのと、朝からあまりたくさん食べたい方ではないらしい。私もあまり朝はがっつり食べる方ではなく、お粥状にしたオートミールとコーヒーという簡単なもので済ませている。
オートミールとコーヒーの組み合わせにしてからお通じがよくなったのでなかなか他のものにはできなくなってしまった。

とはいえ子どもたちはそうはいかない。
保育園に通っている長女と次女には、朝ごはんはしっかり食べさせたい。(特に次女は乳児クラスということもあり、朝ごはんを連絡帳に書かなくてはならないのでおろそかにはできない)
メニューとしては、牛乳、パン、スクランブルエッグ、ポークビッツをベースにして、果物かヨーグルトを付けるようにしている。
この組み合わせは栄養も偏らないし、子どもたちも気に入っているので定番化している。

しかし、問題児(?)は長男だ。
以前は長女と次女と同じメニューを食べていたのだが、ある時期から卵を嫌がるようになった。スクランブルエッグを嫌そうに見つめ、「これいらない」と言う。その後もベーコンやハム、ソーセージを出してみて最初は食べるもののいつしか口をつけなくなった。そしてついには、朝ごはん自体を食べずに学校へ行こうとするようになり、困り果てた。

「じゃあ、なんなら食べるのよ?」 そう尋ねると、彼はしばらく考えた後、意外なことを口にした。

「俺、パンと魚がいい。」

「パンと魚...!?」

一瞬、耳を疑った。パンと魚という組み合わせが想像できなかったからだ。
ごはんじゃないんだ…。

しかし、よくよく考えてみると、確かに長男は以前から肉よりも魚派だった。焼き魚や刺身には目がない子だ。
ただ、最近の物価高や漁獲量の減少で、朝ごはんの定番であるアジの開きや鮭の切り身もなかなか手頃な値段では手に入らない。

どうしたものかと悩みながら、近所のスーパーを巡っていると、とあるローカルスーパーで冷凍カラフトシシャモ10尾入り198円という商品を見つけた。

「安い!!!」

心の中で叫び、即座に2パックを購入。その翌日、長男に焼いたシシャモを出してみると、「うまい!」と言ってあっという間に2尾を平らげた。その姿にホッとすると同時に、新しい朝食メニューが決まった瞬間だった。

それ以来、長男の朝ごはんは牛乳、パン、そしてシシャモ2、3尾が定番になった。これなら手間がかからず経済的だと胸をなでおろしていた。

ところがだ。

年末が近づくにつれ、いつものスーパーの売り場が変わった。

これまで冷凍シシャモが置いてあった場所が、冷凍カニに占拠されてしまったのだ!

お正月シーズンに向けた商品展開なのだろうが、これには参った。
仕方なく他のスーパーをいくつか回ってみたものの、どこもシシャモの価格が高い。子持ちシシャモで6尾しか入ってないのに300円強など、毎日の朝食には使うにはちょっと高い。

「困ったなぁ。」

冷凍シシャモのストックが残りわずかになり、シシャモに似た違うものでいいからお手頃価格で買えないものかと、今日になっていつものスーパーを訪れた。
するとどうだろう。
冷凍カニ売り場から少し離れた場所に、ひっそりとシシャモが置かれていたのだ!

「シシャモ!」

思わず声が出た。
こんなに冷凍シシャモに興奮したのは初めてだ。

そもそも私が小さい頃は、シシャモはあまり嬉しいご飯のおかずではなかった。骨が多いし、小さいし、正直言って地味な存在だった。
しかし、今の私はシシャモのありがたみを痛感している。
長男の「パンと魚」のリクエストに応えるために、これ以上ない救世主なのだ。

2パックを迷わずカゴに入れ、家に帰って冷凍庫にしまった。

明日の朝も長男はシシャモを喜んで食べてくれるだろう。その姿を思い浮かべながら、私はシシャモに感謝しつつ、静かに朝を待つのだった。


文章を書く習慣を取り戻したくて、11/30からABCを頭文字にしたエッセイを毎日書いています。(予約投稿の場合もあります)

#26文字のアドベントカレンダー


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