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エッセイ | 雨の日は理性を失う
昨夜から降り続いている雨はやむ気配がない。最近はニュースに触れていなかったため、この雨が何を原因に勢いづいているのかが分からない。
カーテンを開ければ雨の線が見えるほどだ。こんな日は外に出たくないと思ってしまう。
幸運にも、昨日中に買い物を済ませていた私の家にはたくさん食材があった。これならゆっくりと過ごせるため安心できる。
お昼頃になるとおなかが空いてくる。作り置きをしている副菜や冷凍保存のごはんを解凍すれば、すぐにでも食べられる。
しかし、こんな日に限って私は普段以上におなかが空いている。「この量で足りるだろうか? おなかが空いてしまうのではないか?」そう思うと昼食の準備ができなくなる。
私はスマートフォンを手に取ると、あのアプリを起動させる。Uber Eatsだ。使用するとかなりの金額を消費してしまうため、あまり使いたくないアプリ第1位だ。
画面上にはおいしそうな料理の写真や、有名なチェーン店のロゴマークが映し出されている。これだけでも食欲を刺激してくる。
「お昼は何を食べようかな」と、既にUber Eatsを利用する前提で考えている自分に嫌気が差す。
「そういうところ、良くないぞ。写真を見るだけだからな」と自分にくぎを刺し、画面をスクロールしていく。雨のため配達料金が高めに設定されており、私はひるんでしまう。
結局、私はおいしそうなカレーの写真にひかれてUber Eatsを利用してしまった。完敗だった。
普段なら行くことはない場所にあるカレー屋のようで、「交通費を考えればこの値段でもちょっと高いくらいだろう。もしかしたら同じくらいかもしれない」と自分を無理やり納得させていた。
配達料金も距離の割には安めだった。それも私を後押しするポイントになっていた。
「誰が悪いのではなく、なるべくしてなったのだ」私は自分の気持ちを落ち着かせる。食欲の前で人は無力なのだ。
別の日、またも私はUber Eatsを見ていた。今日も雨だった。
「どうして雨の日は自分を律せないのでしょう」と崇高な悩みであるかのように考えてみるが、馬鹿馬鹿しくなり止める。
以前食べたカレーはおいしかった。今回もおいしい料理と出会えることを願っている。
雨の日は出かけることが億劫になる。傘を差してもカバンや足元がぬれてしまうのは、自分の気持ちを暗くさせる。
それなら出かけなければいいと思うのだが、天邪鬼であるため出かけたくなってしまう。外に出て自分の家では体験できないものに触れたい。
それをUber Eatsは家にいる状態でかなえ、ついでに食欲も満たしてくれる。素晴らしいアプリなのだ。
そう思っていないと、私が負け続けていることに気付いてしまう。
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