エッセイ | 好かれづらく嫌われにくい私は、熱しやすく冷めやすい
「なんで付き合えないんだろうね」食事に行くたびに友人はこう言ってくる。
一足先をいく友人は地に足をつけた生活を送っているため、浮いた話を提供してほしいのだろう。しかし、私に浮いた話などないため友人の発言は迷宮入りしてしまう。
そもそも交際できない理由がわかっているのであれば、どうにかして対応している。
「こっちはずっと考えているんだよ。既婚者の視点で俯瞰して見たときの意見をちょうだいよ」私は少しだけ友人にあたる。
「人に無関心なところがダメなんじゃない? もっと能動的になりなよ」そう言う友達に私は異議を唱えたい。
「別に無関心なわけじゃないよ。それは私を『無関心な人間』だと見ているだけ」
私は冷静で人付き合いを好まない人間のように思われていることがある。
口数も少なければあまり笑顔になることもない。そんな私を周囲の人は「真面目で静かな人」だと思っている。
それは逆なのだ。
私は一度話し出したら止まらなくなる。どうでもいい内容の会話を延々と続け、「まるでラジオのようだ」と恐れられるほどだ。
ただ、ずっとどうでもいい話をしていると周りから人が離れていくことを知ったため、私はあまり話さないようになった。
その結果、あまり面識のない人にとってはとっつきにくい人と思われ、ある程度話をする間柄の人からはよく話す人だと思われている。
続いて友達はこうも言ってくる。
「もっと人を好きになったらどう?」
なんて失礼なことを言うのだと驚いていると、慌てて友達が付け加える。「長期的な視点で見たときにだよ?」
そう言われると「なるほど」と納得してしまう。
確かに、私は人をすぐ好きになる。話している時に「この人はいい人だ!」と直感で分かると犬のようについて回る。普段は猫のような振る舞いしかしないにもかかわらず、急に行動が変わるのだ。
ただそれが長続きはしない。大抵の場合は1週間で終わる。それを友達は知っているのだ。
「長いスパンで接していないと良いところが伝わらないんだからさ」と釘を刺される。
「冷めないように意識していれば良いことがあるかな?」と私は友人に尋ねる。
友人は少しだけ考えて「あとはうぬぼれないことかな」と言った。「結局は相手ありきだから分からないや」
その言葉を聞いた私は「もしかして飽きてる?」と友人に言うと、「冷めた」と口だけ動かしていた。
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