月面歩行
ぼんやり考え事などしながら京の町をぶらりぶらりと歩く。
通りの向こうから森見登美彦氏の小説に出てくるような黒髪の乙女がぽてぽてと歩いて来たりして、ちょっとした運命的な出会いとかないかなぁ、なんてことを考えながら。
・・・・・まあ、ないわな。
雨に濡れた石畳を踏み踏み、ふわふわしたことで頭の中がいっぱいな女の子、いいですねえ。
京都市内はすごくバスの便がいいので、たいていどこに行くにもバスで事足りてしまう。
しかも市内であれば220円の固定料金で、500円出すと一日乗り放題のパスが買える。
ただ、なかなか興味深いのが、いざ乗り込もうとすると
「整理券をお取りください」(取らなくていい)
「この先、料金が変わります 」(変わらない)
というよう謎の車内アナウンスが流れて慣れないうちは若干混乱してしまう。
当然ながら京都市民の乗客は知らん顔だし。
古都らしくなかなかいけずところがあって、観光都市としてどうなのかな?と思わないこともない。
日が落ちて、今度は高瀬川沿いをぶらぶらと歩く。
夜の木屋町から先斗町界隈。
木屋町のビルの上のバー、あらゆるカクテルが200円で供されるムーンウォークにて無手勝流に数杯たしなむ。
若くて気さくなお兄ちゃんがカウンターの中に。これも京都風か。
ああ、いいなあ、いいなあ。こんな風にずうっと飲んでいたいなあ。
まことに夜の街というところは不思議な世界なのである。
一杯一杯復一杯。