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クレーマーになってしまった私

※お食事中の方は、食事が済んでからお読みください。




なんだかうまくいかない日ってたまにある。

この前の水曜日はまさにそんな日だった。

この日は朝から病院へ行くことになっていた。

潰瘍性大腸炎でお世話になっている総合病院。



前回の診察時に初めて、

「○月○日までに便を採って消化器内科の窓口に持ってきてください」

と言われた。

手渡されたのは、私の名前となにやら番号が書かれているシャーレ。

そして採便用の木製サジ(アイスを食べる時の木のスプーンのようなもの)。

シャ、シャーレか……。

健康診断の時に渡されるような検便キットじゃないんだ……。

これじゃ、便がモロ見えじゃん……。

ちょっとした衝撃だった。



そんなわけで水曜の朝、私は便の入ったシャーレを持って消化器内科の受付へ行った。

受付の前に立ったが、受付職員AさんとBさんはなにやら仕事の話をしていて私に声をかけてくれない。

しばらく様子を見ていたが、私に声をかける気はなさそうだったので、

「すみません」

と声をかけた。

この時点で、私はほんの少しイヤな気持ちになっていた。

自分なら話を中断して目の前のお客さんの用件を伺うのに。

しかもこっちは便を届けるのは今回が初めてで、どうしたら良いかわからず少しドキドキしてるのに。

「便を持ってくるように言われていたので、持ってきたのですが」

と言うと、当たり前のように、

「受付票はありますか?」

と。

再来週の診察日の受付票のことかな?

「すみません、持ってません」

「じゃ、診察券は?」

診察券なんて10年近く通ってるけど、そもそも持ってないぞ……。

「いえ、持ってません」

「保険証は?」

これならいつも財布に入ってるから、

「持ってます」

と答え、渡した。

すると受付職員Aさんに、

「診察券とか何か身分を証明するものを持ってきていただけるとありがたいです」

と言われ、また少しイラッとした。

文字だけ見ると丁寧だが、伝え方がなーんか気に入らなかった。

「私、診察券持ってません」

と少し抵抗した。

すると、

「総合受付で作れますから」

と少し小馬鹿にしたような言われ方をしたので、またイラッとバロメーターが上がった。

ここに紹介状を書いてもらって10年近く経ちますけど、診察券作りなさいなんて言われたことないんですが?

というか、そもそも前回の診察の時に「便を持ってきてください」としか言われてないんですけど?

そんなのがいるんだったら前回教えてよ。

「そうですか……」

イラっとを抑えてそう答えると、

「そちらにかけてお待ちください」

と言われたので、シャーレの入った袋を握りしめ待合の椅子に腰かけた。

しばらくすると、看護師さんに名前を呼ばれ、

「ちょうどこの上あたりに受付があるので、そこに出してください」

と。

「なんていう受付ですか?」

総合病院って、たくさん受付あるじゃん。

わかんないよ。

「この真上くらいです」

だから真上のなんていう受付よ。

イライラしているからこんなことでもまた、イラッとバロメータが上がる。

私が首を傾げていると、

「血液検査のところの」

と言ってくれたので、

「あー!わかりました」

「そこに出してもらったら今日は帰ってもらっていいので」

と言われ、紙を渡された。

私はその紙とシャーレを持って、その2階の受付へ行った。

紙とシャーレを手渡すと、

「じゃ、次は会計に行ってくださいね」

と言われた。

ん?会計?

今日、お金いんの?

私は今日はシャーレを置きに来るだけ、と思ってたんだけど。

てか、そう言ってたよ?前回。

私はここで「さっき1階では置いたら帰っていいですよ、と言われたんですが?」とその人に言えばよかったのに、イラッとバロメータが反応してしまい、気持ちを抑え込むことにいっぱいいっぱいでそこまで頭が回らず、

「会計ですか?」

と尋ねていた。

するとその人は紙を確認して、

「会計へ、と書いてありますので、はい。会計へお願いできますか」

と一生懸命な感じで教えてくれたので、

「わかりました」と会計へ向かった。

この時私は「とはいえ今日は置きに来るだけのはずだから、実際今日はお金はかからず、再来週の診察時に上乗せされるんだろうなぁ」と思いながら会計に紙を出すと、いつものごとく、

「保険証お願いします」

と言われたので、

「今日ってお金かかるんです?便を預けるだけって聞いてたので(指定難病)受給者証持ってきてないんですけど」

と言うと、

「計算してみないとわからないのでお待ちください」

と事務的に言われ、会計受付票を渡された。

なんか今日は行く先々でイライラさせられる。

まあ、とはいえ会計受付のこのお姉さんは事情わからないしな。

しばらくして会計窓口に呼ばれると、

「600円です」

とフツーに請求された。

は?今日支払うの?

そんなの聞いてませんけど。

またイラっとバロメータが上がる。

「あ、お金かかるんですね。今日は便を預けたら帰っていいって言われたり会計に行けって言われたり、行く先々で言われることが違って。まあ、払いますけど」

と、イラっとはできるだけ隠したつもりだったけど言ってしまった。

レジ担当のこの人に言ってもしょうがないんだけど、もう言わずにはいられなかった。

その人は穏やかに、

「600円です」

とだけ言った。

あー、嫌な患者になってしまったと思った。

お金を支払い、領収書と仮管理票を受け取った。

「あ、会計受付のお姉さん、私が管理票(指定難病で病院にかかった場合に医療費を記入してもらう用紙)を持ってきていないことを計算する人にきちんと伝えてくれたんだな」と気づき、そこはありがたかった。



それでも。

ふつふつふつふつとイライラはまったく収まらなかった。

どうしてこうもイライラしたのか。


【私の認識】
今日は便を預けるだけだと聞いていた。
(だから、便以外は必要ないと認識)

【実際】
便を預けるだけでなく、
・次回の診察予約票もしくは診察券
・指定難病受給者証と管理票
・お金
が必要だった。


イライラの原因は、私の認識と実際との間に乖離があったからだ。

それだけではなく、いや、むしろ最初の消化器内科受付職員Aさんの対応が冷たかったのがかなり大きかったと思う。

「そんなの聞いてないよ〜初めてだしわかんないよ〜」

と思っているのに対し、

「は?そのくらい常識でしょうよ」

な態度をされたからイラッとしたのだ。

おそらく、受付職員Aさんの対応が良ければ、私もあそこまでイライラはしなかったと思う。

「あ、そうか。病院に行くんだもんな。一応いつもの通院グッズ(保険証、予約票、指定難病受給者証、管理票)は持ってこないとね」

と素直に思ったかもしれない。



人間がイラっとする原因って、起こった事実より、その事実に人が自分がどう対応するかだなーと思った。

受付職員Aさんの対応のおかげで、自分も接客する時気をつけなきゃな、と改めて思った。

それと同時に、

「この一連の出来事はネタになる!」

とも思っていた私は、やっぱり「趣味:物書き」だなぁと、少し笑えた。




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