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内田美由紀
2023年5月6日 21:08
昔、男がいた。人の娘を盗んで、武蔵野に連れて行くうちに (男は)盗人だったので、国守(今でいえば県知事)に捕らえられてしまった。(その時、男は)女を草むらの中に置いて、逃げてしまった。やってくる人が「野には盗人がいるという」と言って火を付けようとする。女はわびしく思って 武蔵野はけふはな焼きそ 若草のつまもこもれり我もこもれり (武蔵野は今日は焼かないで!若い夫も隠れています私も隠れて
2024年11月19日 00:29
昔、男が初冠(元服)して、奈良の都、春日の里に所領がある関係で狩りに出かけた。その里にとても優美な姉妹が住んでいた。この男は垣根越しに覗き見てしまった。意外にも(その姉妹が現代風で)昔の都に不似合いな様子でいたので、気持ちが惑ってしまった。男は着ていた狩衣の裾を切って、歌を書いて贈る。その男は信夫摺りの狩衣をなあ、着ていたということだ。 春日野の若紫の摺衣 しのぶの乱れ限り知られず