はじめてのルーブルは
はじめに
こんにちは。大学3年生の絶賛就活中(2023/09)にヨーロッパ旅行にぶっ飛んだ高等遊民です。
(フィレンツェに滞在していた際に、ありがたいことに外資系企業から1社内定をいただき、ひとまず旅行で人生が終わることは避けられました。)
今回はルーブル美術館についてではなく、個人的にヨーロッパ(特にギリシャ🇬🇷イタリア🇮🇹フランス🇫🇷)を巡る中で、真に訪れる価値のある美術館について、私の意見を皆さんに共有したいと思います。
はじめてのルーブルは
この記事をタップして読み始めてくれる人の属性は大まか3つに分かれると思ってます。
①高等遊民のいいねラッシュに耐えかねて温情で読んでくださる人(私はそれを神と呼びます)
②ルーブル(パリ)に行く可能性がある人
③ヒッキーのファン
そして察しの良いヒッキーファンの方ならば、「初めてのルーブルは…」の後に続く言葉を知っているでしょう。初めてのルーブルは…
なんてことはなかったわ
なんてことはありませんでした。
👦「いやちょとまて高等遊民、お前世界一の美術館ルーブルぞ?なんてことない、なんてことないだろ💢」
👩🦰「お前の価値観を押し付けるな💢」
みなさまのお怒りが画面越しに伝わってきますが、今しばらくこの詭弁にお付き合いください.
はじめに
ルーブル美術館には古今東西30万点の展示物があり、そのどれもが極めて学際的価値が高いものであるとされています。私も実際に行って感じたのですが、ルーブルは日本国内の美術館とは比較のしようがないほどに大きく、壁には所狭しと絵画が並べられており、視界に入る情報量に圧倒されます。
その中でも各国の旅行者がこぞって見にくる作品が4つあります。
①モナリザ
レオナルドダヴィンチが描いた世界的名画であるモナリザはルーブルを代表する作品の一つです。先述の通り、ルーブル美術館は規格外の大きさなので観光客は往々にして館内を彷徨いますが、どの道にも常にモナリザへ繋がる目印が掲載されているので、右も左もわからなくなった僕たちを抱きしめるようにゴール地点(?)に鎮座しています。
ルーブルを訪れておいて目玉のモナリザを無視するような人はまずいないので、モナリザ付近は常に混んでいます。そのため他の絵画とは違い並んで観覧する形式になっているのですが、私はこれが本当に気に食いませんでした。
整理券を配るなり、一人の持ち時間を決めて一列に並ばせるならばよいのですが、現実には先頭10列くらいに適当に横並びにさせて訪れてきた人をその人流の中にぶちこむ形式になっていたのです。こうなるとおしくらまんじゅうが始まります。妖艶なモナリザの微笑みの先でセコセコ押し合う観光客たち。正直、絵画鑑賞ができるレベルの環境ではなかったです。それにこんなことを言ってしまうと身も蓋もないですが、モナリザってあまりに有名すぎるんですよね。だから本物を見ても絵に対する感動ってあんまり生まれなくて(既視感しかない)「モナリザをみた」という実績のためにただ並んだような、そんな打算的な自分を顧みてやや自己嫌悪に陥りました。
もしも、もう一度私がルーブルに行くことがあったとしても私はもうモナリザは見ないと思います。
②民衆を導く自由の女神
ドラクロワによる名画です。私が行ったときには修理?をしていたみたいで見れなかったのですが、モナリザと双璧をなすルーブルの目玉だと思います。尤もこちらの絵はかなりの大きさがあるのでモナリザのようにセコセコ並んで見るようなこともないと思いますが。
ちなみに私は自由の女神のマグカップを自分用に買って帰りました。(後日自宅を訪れてきた友人に目をつけられ仕方なくプレゼントしてしまいました)観たかったなぁ・・
③ニケ&ヴィーナス
サモトラケのニケやアンティオキアのヴィーナスもまた、世界的に有名な彫刻です。安置されている位置が階段部で、かなり広々としたところにあるのでゆっくり鑑賞できます。また入口からそこそこ近い位置にあるので一番最初にテンションが上がる展示物かも知れません。
ただし、私は後述する石像が無限にあったヤバイ美術館にルーブル前に訪れており、そこで世界最高の石像群を永遠に見せ続けられ無量空処されていたので感動が起こりませんでした。これはルーブルが悪いのではなくてアクロポリス美術館が悪いです。あそこはやばすぎる。
ちなみに彫刻に興味があるならばアクロポリス(ギリシャ)やロダン美術館(パリ)もおすすめですが、バチカンへ行くことをお勧めします。バチカンのドゥオーモ(聖ペトロ大聖堂)にはミケランジェロの最高傑作と言われるピエタがあるのですが、個人的には見てきた全彫刻の中で1,2を争う素晴らしさでした。
総括
ここまで読まれてお気づきかも知れませんが、実はルーブル美術館って美術的教養のない一般人でも楽しめるような「誰でも知っている展示物」が上記の4つくらいしかありません。もちろんルーブルに行かれる方はお勉強なさってから行く方も多いでしょうから実際そこは問題にならないかも知れませんし、大量のエジプト木棺みたいな絵画を知らなくても楽しめるものもあるので一概にルーブルが知らないものだらけと断じてしまうのもおかしな話かも知れません。ただ、"ルーブル"の名や"モナリザ"だけが特別目立って知名度と評判がひとり歩きをしてしまっているように感じました。単刀直入に言えば下馬票ほど面白くなかったというのが私の率直な感想です。
高等遊民セレクト:本当に面白い美術館紹介
ここからは個人的に面白かった美術館をいくつか紹介していきます。ルーブルから始まった本稿ですが、パリ市内からは2カ所ノミネートしました。またフランス外の美術館・博物館も紹介させていただきます。
(i)オルセー美術館(パリ🇫🇷)
パリにはルーブル・オルセー・ポンピドゥセンター(近代美術館)の、いわゆる三大美術館がありますが、個人的にまずお勧めしたいのはオルセーです。
オルセーには印象派の画家の有名な絵が多く収められています。中でも個人的な注目作品はモネの「日傘をさす女」です。これはモネの奥さんを描いたものとされています。3枚あるうちの2枚がオルセーに収められており、印象派が好きな方なら一度は見たことがあるでしょう。諸説ありますが、モネは奥さんを亡くしたショックで顔が描けなくなってしまったそうで、この絵もよくみると顔はぼやけています。明るい色彩の裏側に見えるモネの寂しさと季節の涼しさが非常に美しい一枚です。
またミレーの「落穂拾い」やドガの「踊り子」も展示されており、数多の有名絵画を一度に見れるという点を評価してノミネートしました。(ミーハーですみません)
所要時間は2h~です。
(ii)ロダン美術館(パリ🇫🇷)
次におすすめするのはロダン美術館です。オーギュスト=ロダンといえば「考える人」や「地獄の門」で有名な彫刻家で、日本の国立西洋美術館の入口付近にも鋳造版の地獄の門が展示されています。
ロダン美術館をおすすめする理由は2つあります。
第1にとてもユニークな美術館という点です。写真のようにロダン美術館は門をくぐるといきなり彫刻(のレプリカ)が床に倒れています。転がっているのです。こんなふうに彫刻に歓迎されると、堅苦しいイメージもある美術作品鑑賞も肩の力を抜いてすることができます。
第2に屋外展示型の美術館であるという点です。断っておくと一応屋内展示もあるのですが、ロダンの彫刻はサイズが大きいものも多いので基本的には屋外に雨曝しの状態で置いてあります。パリの風に吹かれながら、美しく面白い彫刻を鑑賞するのは非常に気持ちが良いです。また所々ベンチが用意されており、寝そべることができるタイプのものも置いてあります。休憩を挟みながらリラックスして庭園を歩くことができる点も非常に魅力的です。
所要時間は見るだけなら1h~ですが無限に滞在できる居心地の良さがあるので長めにとったほうがいいです。
(iii)ウフィツィ美術館(フィレンツェ🇮🇹)
3つ目はイタリアのウフィツィ美術館です。ここは一言で言えば「サイゼリアLv.10000」の美術館です。ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」やミケランジェロの「トンドドーニ」、そしてダヴィンチによる「受胎告知」が飾られています。他にもラファエロやレンブラントが残した中世の傑作を一度に観ることができる点を高く評価してノミネートしました。
ちなみにフィレンツェにはアカデミア美術館もあり、私もいきましたがアカデミア美術館は宗教絵画ばかりで個人的にはあまり面白くありませんでした。宗教絵画は構図が決まっているのでどの絵も同じようなものなんですよね(極論)
ただしダヴィデの本物が観れるので、仮にフィレンツェに行ったならば必ず行くべきでしょう。順番的にはアカデミア→ウフィツィで鑑賞することがおすすめです。
所要時間は2h~です。アカデミアと合わせると最低でも3.5hくらいはみておいたほうがいいです。
(iv)アクロポリス美術館(アテネ🇬🇷)
4つ目はアテネのアクロポリスです。少し話題がそれますが、アテネは本当にいい場所なので絶対に人生で一度は行ったほうがいいです。ご飯も美味しいし(オリーブ・チーズ・ヨーグルト・トマト・タコも食べれます。ケッパーがきいててどの料理も本当に美味しい)物価もEU圏にしては安いし、パルテノン神殿は圧巻だし(高台にあって見晴らしが最高に良い)、地中海性気候で風が涼しいし。悪いところを挙げるとすれば夜の治安が若干怪しくて女性は火が沈んだらホテルにいたほうがいいことくらいでしょうか。あとはグラフィティが多いことかな?でもそれを差し引いても最高の場所です。
話を戻しますがアクロポリスは信じられない量の石像が展示されています。有名な作品という文脈ならば、アテナイのアクロポリスの柱の彫刻(説明あってる?)が展示されてます。真作6体のうちの4体が展示されていて、残りの2体はルーブルと大英博物館に貯蔵されています。私は大英博物館には行ったことがないので5体は観たことになりますね。
彫刻は絵画と違ってあまり知識がなくとも楽しめるものが多いので「でけー」とか「うまー」とかそういう感情さえ湧けば誰でも楽しめる美術館だと思います。私はここで一生分の石像を見てしまったので、今後石像を見てももう何も思えなくなりました。それくらいの異常な量があるので是非行ってみてください。
所要時間は3h~です
おまけ(1)アテネ考古学博物館(アテネ🇬🇷)
この博物館も信じられない量の石像があるのですが、私は閉館時間の1.5h前くらいに入館したので見切れませんでした。もっと正確に言えば入口付近に小物がたくさん展示されていて、変な形の壺や金ピカのナイフなどをみてニヤニヤしていたら、その後ろに永遠に広がっていた石像群にたどり着く前に閉館時間になってしまいました。この博物館(美術館)はとても広く、適当に歩いていると迷子になります。私は最後の10分で頑張って早歩きで館内を巡ろうとしましたが同じところをぐるぐる回ってしまいました。かりに読者の中で考古学博物館を訪れる方がいらっしゃれば、絶対に2.5h以上は準備しておいたほうがいいです。あとは最初の小物の展示をスキップしてしまうのもありだと思います。
すごい場所だったのですが如何せん評価するほど巡れてないので対象外にしました。
おまけ(2)ダヴィンチ記念国立科学技術博物館(ミラノ🇮🇹)
私は最後の晩餐のチケットを取らずに場当たり的にミラノへ行ったので、メインの最後の晩餐を教会で見ることはできなかったのですが、近くにダヴィンチの博物館があるらしかったのでリベンジを兼ねて行ってみました。
ダヴィンチは画家としても有名ですが、他にも数学や物理、建築や音楽など全ての分野に精通していました。そのためこの博物館には船の模型やロケットから絵画や物理的発見を体感できるものまで幅広い分野のものが展示されていました。
とても面白い場所なのですが、子どもを対象にしたものが多く、実際訪れていた人たちも子連れが多かったので大学生がポツンといるのは少々違和感がありました。お子さんがいる読者でミラノへ行く予定がある方は是非行くといいと思います。
また、博物館の性質上、説明が非常に多いので英語が苦手な方は辛いかもしれません。幸いなことに難しすぎる単語は避けられているように感じたので一定の語学力があれば問題はないと思います。語学力と言えばTOEICの記事を書いているので是非。
おわりに
ここまで読んでいただきありがとうございました。ヨーロッパには多くの美術館があり、旅行に行った際には美術館巡りをされる方も多いかと思います。そういった方向けの参考になればいいなと思います。また最初にルーブルをいまいちであるといったものの、それは私が上記に記した全ての美術館に訪れたあと最後にルーブルへ行ったからという側面も強いと思います。端的に言えば至高の作品を見過ぎて飽きてしまったということです。みなさんも美術館に行きすぎて無量空処されないようにくれぐれもご注意ください。ではありがとうございました。
高等遊民
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