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【読書記録】生命式/村田沙耶香
irokaです。
今日は読書記録を更新します。
生命式/村田沙耶香著
読書記録
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久しぶりの小説。
とっても考えさせられる内容でした。
表題になっている生命式は、現代より30年ほどたった日本が舞台になったお話。
亡くなった人は火葬されるのではなく故人と親しかったひとたちで煮込んで食べ、その場で「受精」するパートナーを見つけてもらうという「生命式」になっている、という世界観でした。
ぎょっとして、気味が悪い。倫理観どうなってんのよ。
読み始めの第一印象はそんな感想でしたが、故人は生きている人の血肉となり、新しい生命が生まれるきっかけになる。
それは尊いことで、焼いて終わる式より理にかなっている。
物語の登場人物のこんな考え方に触れるうちに、私の考え方自体が凝り固まってるのかな?と思わされます。
これはかなり極端な例ではあるけれど、今の常識が未来の常識であるという確証はどこにもないといういい学びになりました。
他のお話の舞台も、食べ物や生活習慣が「普通」と違ったり、「一般的に」否定されるべきものだったりするのですが、「普通ってなんだろう。一般的に正しい、正しくない」ってなんだろう。と深く考えるきっかけになりました。
多様化が叫ばれるいま。
これが正解だなんてものはなくて、あれもこれもあってよい。
自分と違う他人も当たり前で、押し付け合うことなく生きていけばいい。
フィクションの作品としてとても面白く、かつ学びも多かった一冊でした。
また振り返って読みたいと思える作品に出会えてよかったです。
iroka.