展覧会レポ:京都の瑞雲庵でエコとアートが融合「遍在、不死、メタモルフォーゼ」
【約2,000文字、写真16枚】
「偏在、不死、メタモルフォーゼ」は注目のアートイベントだ。日仏6名のアーティストがエコロジーをテーマに、どんな世界をみせてくれるのか。不死? メタモルフォーゼ???
作品を踏みつける!?
騒がしい京都市内を自転車で20分もこぐと、空気が変わる。会場は京都市の北部、上賀茂にある瑞雲庵(ずいうんあん)だ。民家と蔵で構成されたイベントスペースらしい。
いきなり、このお出迎え!
この作品、踏んづけてOKらしい。ホントにいいんですか、と会場の方に直接確認したから大丈夫。
「おじゃまします(フミフミ フミフミ♪)」
模様が滲み、数歩で全く違う表情をしてくる。即興演奏のような作品を足で楽しむ。作者の古市氏は「思い通りにならなさ」との対話を追究してきた²という。
金魚を飼うと世話が大変だし、ビデオだとエコだよってことかな。ふーん、と解説をよむ。全然ちがうっ!
金魚はそもそも野生のフナだから、戻す…もどす? 開放する??
金魚は、愛玩を目的に1700年もの間、品種改良され、デザインされた生命だそうだ。現代の自然環境の中では生きられないんだとか。
床の間をみて和める??
ふー、とんでもないものを見せてもらったから、ちょっと休憩だ。立派な床の間ですなあ。
お軸は仏像ですか? ん? なんか、フィギュアみたい? 後ろの絵、色が薄くない?
摩利支天なんだー、へー。摩利支天ダスト?
「消しゴムのカスによる精巧な彫刻作品~」²
消しカスで作ったの??!!
「消しゴムでイメージを消して、でた消しカスを練り上げて彫像する~」
ああー、だから後ろの絵が薄いのかぁ…って、何やってんっすかあぁぁぁ???
こっちも消しカス入りかいっ!
ん? 解説を読むと、消しカスだけでなく、デパートの紙袋やお菓子の紙箱なども素材にしているらしい。
「消費行動がまさに精神活動としての側面を担っている」として、祈りの原始的な造形として土偶などのイメージに立ち戻ったらしい²。
屋根裏部屋
次の展示室へとつづく階段をのぼり、暗幕の隙間から入ってみると…
なんっすか? 鉄道模型? ピタゴラスイッチ的な??
おおぉ、鉄塔だー。屋根裏から車窓を楽しませてもらうとは!
なんだか懐かしいなあ。こういうタンク、見たことあった気がする。ガス屋さんかな。
えっと、運行中、わたし独り占めですけど、いいのかな? 贅沢だなー。
最後まで、一人で作品を体験させて頂く。この感覚は、この瞬間だけのものだろう。光と記憶に包まれていく。
蔵で育つもの
奥の蔵にも展示があった。
よく見ると、この世界、どこか奇妙だ。
受け入れてしまうと、なんだか愉快な心地がする。他者と共存するとは、どういうことなんだろう。
母屋に戻る途中、庭のつくばいも作品に見えてくる。
作品は終わらない
母屋の廊下から、掘りごたつがみえた。植物の鉢植えが並んでいる。
なんて美しいんだろう。生きている姿に、記憶の力をみせてくれる²。
地球環境に配慮するとは、何をすることだろう。経済思想家・斎藤幸平氏は「SDGsは『大衆のアヘン』である!」と提言していた。企業が「SDGs」を宣伝文句とした結果、ゴミの量は増えたという。もっと根本的な何かを共有する必要があるのだろうか。
メタモルフォーゼが可能にするのは「共感」だという。地球のあらゆる生はメタモルフォーゼでつながれる。だから偏在であり、不死なのだ、と。²
帰り際、どこにでも生えそう草に、なんだか感動しちゃって、撮らせてもらった。
ソース;
¹:フライヤー「遍在、不死、メタモルフォーゼ」キュレータ大久保美紀、瑞雲庵
²:アーティストステートメント「キュレーターと作家による展覧会と作品についての言葉」遍在、不死、メタモルフォーゼ 2024.4.27 - 5.26 瑞雲庵
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