展覧会レポ:京都国際写真祭2024 八竹庵から誉田屋源兵衛の伝統と革新
【約1,600文字、写真23枚】
2013年から始まった「京都国際写真祭」。カメラに興味はあるのだが、生来の腰の重さが災いして気づけば閉幕しているのが常であった。今年こそはと覗いてきた。「うっす」
インフォメーション「八竹庵(はちくあん)」
右手の赤い暖簾から入ってみると、冷んやりとした玄関。「ほー、金持ちのご自宅って感じですなあ」
などと幼稚な感想を抱き、他のお客さんの様子をうかがう。
カメラ機器を覗き込まれている紳士
「これだとエッジがシャープなんだよね」と言い残して去ってゆかれた。
紳士が口にしたエッジがシャープという難しい単語に感心しつつ、物色をつづける。
エッジが効いて緊張する会場、敷かれた畳の偉大さよ。
「日本の実家って感じがするわい、縁側でスイカ食べたいなあ」と、座り込む。
床の間を拝見すると、お花の写真だ。
モンドリアンっぽいラインがあって、ガラスの花瓶がなんとも涼やか。
「なるへそ、これだと毎回活けなくてもいいから、長い目でみればリーズナブルですな」
などと庶民全開でくつろがせて頂く。
のぼってよい階段があれば、行ってみたくなる。
二階。磨かれた廊下が反射して、影さえも美しい。大きな窓からは、緑の香りを含んだ心地のよい風が流れ込んでくる。下からはイーモン・ドイルによるサウンド・インスタレーションが聞こえていた¹。
誉田屋源兵衛「竹院の間」
八竹庵から徒歩3分で次の会場である。(さすがにここは迷わない)
京都に長く住んでいると忘れがちだが、なるほど観光したくなる街並みだ。入口に狩野派の絵が飾られているのかと錯覚してしまう。
靴を脱いでお邪魔する。板の間をゆっくり歩けば、足の裏がなんとも気持ち良い。
「この床、イイ音させますなあ」などと掃除をしてくれた方に感謝しつつ、作品を鑑賞。関係の無い三枚の写真が連続することで、一枚の絵画として成立している。
お庭も作品の一部のようだ。バラバラなのに、全てつながっている。分かったような気がしつつ、スッキリはしない。
「うーむ。何だろう……?」ぼんやりと考えあぐねて次へ。
数分観てもよく分からないので、説明をよむ。
「〜鑑賞者はグリッドをまたがり広がる弧や接線をたどりながら、アーティストの意図を探ると同時に、自分自身の新たな発想を導くように促されます。~」³
使われている言葉にシビれ、今度はグリッドと言いたくなる。
右手から外へ降りる。次の会場は同じ敷地内にある。
誉田屋源兵衛「黒蔵」
純和風の建物の奥には、黒塗りの塔が建つ。蔵を改築したという。
「俺の家、奥に黒い塔があるねん」と一度でいいから言ってみたいものだ。
真っ暗な室内に、風車の光。写真展というより、お化け屋敷だ(いい意味で)。
斬新な展示空間デザインとインスタレーション²。なんと衣紋掛けに写真作品。
見上げると、上に人がいて、まだ先へ行けるらしい。左手に本来の蔵がみえる。なんだか、少年に戻ったような心地になる。
上に上がって、円形の通路に並び、さらに先へ。少し待たされて、塔の先端まで登る。
土壁でできた細い螺旋階段をのぼっていくと、10人ほど入れば息が詰まりそうな空間にでる。
天井のカバーは、日食だろうか。今年のテーマは「SOURCE(源)」。原点であり、起源であり、分岐点でもあり、衝突が起こるのもここだ¹。畏れにちかい、神聖な気持ちになる(全然ちがうかもしれない…)。
降りてゆく途中にあるオブジェ。右手にゴールが見えてきた。
「生還したー、バンザーイ」
〈おまけ〉
誉田屋さんの会場から10分ほど歩くと、評判のパン屋さんがあります。ネットでは「京都一美味しいと噂のパン屋」なんだとか?!
予想より、こぢんまりしてます(すいません)。
以前、TBSテレビ「マツコの知らない世界」で紹介され、デニッシュを食べたマツコさんは「めちゃくちゃうまいな!」と仰ったそうですが、我が家でも同じ言葉が飛び交ってました。
そういえば
近所のノースフェイスさんにも、京都国際写真祭の黄色い旗がありました。「KG+」は、京都国際写真祭出典作品展らしく、サテライトイベントだそうです。なんと、101ものプログラムがあるんだとか。
予期できない作品体験や偶然の出会いに、一見バラバラな無数の点と点が絡まり合い、共振していました²。
ソース;
¹:リーフレット「京都国際写真祭『SOURCE』」2024.04.13ー05.12
²:新聞型冊子「KG+EXTRA」SPECIAL EDITION 2024
³:会場内説明書き「Matrix」誉田屋源兵衛「竹院の間」
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