![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/152063367/rectangle_large_type_2_f32be4d97287b434785be2d77c416853.jpeg?width=1200)
読書(2024/9/11):半村良『太陽の世界』17巻『飛翔する帝国』初見実況
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
読み始めます。
ラ・ムー東山の仮想現実物象化念力僧、クメル。
王宮は彼に2つの命を下した。
当時新たに知られた鉄を上回る人造鉄の量産。
ラ・ムーの外の宝石市場に備えた、人造宝石の量産。
軍事の武器と、交易の威信財における、ラ・ムーの優位性の確保だ。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
さて、その軍事と交易に強い、ラ・ムーの新興貴族、バスラ家は、不満を抱えていた。
三男バスク将軍は、先日の鉄冶金覇権主義的アピ族からのラ・ムー防衛戦争で武勲を立てた。
当然、それによる報酬めいた利益があるべきだと思っていた。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
が、ラ・ムー王宮は今後のため外交部門を設立し、バスラ家はそこに一口噛めなかった。ビッグビジネスなのに…
もちろん王宮は今後シビアになりうる外交を私物化されたくなかった。じゃあ当たり前だ。
が、バスラ家にとっては「報われてない」という感覚であろう。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
さて、次男にして新興貴族バスラ家当主のバスラ財務庁長官は、宰相になるために見苦しく頑張り、旧来二大対立貴族トマピ家・ピロロ家らに妨げられ、宰相になれず、死にかけていた。
三男バスク将軍は、老いて見窄らしくなっていく兄を哀れんでいたが…
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
バスラ長官も一廉の人物だ。
宰相になりたい、という願いは、自分一世代で成せるものではない、と冷酷に見極めていた。
数世代かけてやるんだぞ。そのためにお前も息子を盛り立ててくれ。そう遺言を残す。
兄にもまだ威厳があった。弟バスク将軍、身が引き締まる。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
さて、旧来二大貴族は、バスラ家を舐めていたところがある。
新興貴族バスラは出世欲が強い意地汚いやつだったが、その息子である新当主ドムはもう少し洗練された、与し易い御し易いやつに見える。
バスラの右腕のバスク将軍も、宮廷政治に興味がない。
なら安心。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
しかし、旧来二大貴族はバスク将軍をあまりにも見誤っていた。
バスク将軍は宮廷政治に興味がない。
しかしそれは無欲だからではない。
せせこましい宮廷政治などに大した利権の旨味はない、と見限ったからだ。ラ・ムーの外との交易利権こそ本命!
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
そしてもう一人、バスラ長官とバスク将軍の夭逝した長兄の子、バルダ武装隊商隊長。
バスラ家交易利権の最前線にある身だ。
16-17巻の主人公、カゲルの真価を見抜いた、かつての上司でもある。
彼は様々な外国の知見を以て、バスラ家の野望の一味として一枚噛む。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
バルダは部下のカゲルが、牧畜民ハラトのトラブルの際に待機せず、長河一帯でブイブイ言わしていることも当然承知だ。
それを咎め立てもしないし、なんなら自分たちバスラ家の利益だと考えている。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
まあ、バルダもバルダで勝手にやってるんだもんな。
本来は超特大外交問題当事者である、牧畜民ハラトの、ラ・ムーの血と強大な念力と歪んだ信仰を持つ悪王クヌピを撃退して捕えた後、ラ・ムーに報告せず廃人にして飼い殺しにしたのだから。
バレたら超ヤバいが…
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
さて、バルダの知見、他所の国や民族の話。
大陸の文明の爛熟は、長河一帯にある。これに比べたらラ・ムーは、念力に依存する軍事力は超強いが、たかが片田舎に過ぎない。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
また、バルダ武装隊商隊長は、海洋河川交易民ネプトの話もする。
特に、異民族を雇用して食わせながら働かせて自分たちはその上がりで食っている、という話をする。
叔父のバスク将軍は何かビジネスを閃いたようだ。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
ラ・ムー北方属領マテロ国は元は狩猟民カザトの領域だ。
カザトはラ・ムーにやってきた念力持ちのアム族(バスラ家もそうだ)に戦争で負け、今では弱い立場だ。
そのカザトを隊商として「雇用」して上がりを吸うというのがバスク将軍のプランだ。儲かるだろうな…
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
バスクはこの手を使って、いつか領土拡張を巡って衝突するはずの農耕民ムートとの間に、お互い納得のいきやすい国境を設けたい。
つまり?
ラ・ムー属領マテロ国の国境を引きたい。
そしてその中を商圏として、バスラ家は大儲けだ!
…ラ・ムー本土が許すかなあ。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
バスク将軍とバルダ武装隊商隊長の、バスラ家のビジネスの野望の話。
バルダは長河の他民族に優位性を持つべく、念力で悪王を懲罰し、善王に味方する、ということをやることで、各王を味方につけて儲けようと考えている。
だが、1つ大きな問題がある。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
この手はラ・ムーが念力の血を独占しているから可能な手だ。
流出したらそこから即破綻する。
というかこれに近いことはラ・ムーは何度か経験している。
最近はバスラ家も牧畜民ハラト悪王クヌピ案件に直面し、超ヤバいのでラ・ムー本国に報告せず握り潰している。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
バスク将軍は、だからこそラ・ムー全土を聖域にするのだ、と言う。
何の話か?
ラ・ムーに移住したい異民族は今後増える。
だが、それは血の流出のリスクの元だ。
だからこそマテロ国を緩衝地帯として、ここにだけ異民族を住まわせ、ラ・ムーには立ち入らせない!
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 14, 2024
こうすれば念力の血の流出は防げるかもしれない。
それ以上に、バスラ家は移民を雇用して商圏のマテロ国で上がりを吸って大儲けできるだろう。
リスクがなくはないが、バスク将軍は「まあその頃には自分は寿命で死に逃げだしな」と平然たるものだ。うわーヒデー。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 15, 2024
さて、ラ・ムーの外の宝石市場の話。
ラ・ムーの真珠がなぜかつてラ・ムーの外の狩猟民カザトらに搾取的に徴収されようとしていたのか?
それは、ラ・ムーの真珠が通用する、威信財としての宝石に関する市場が、ラ・ムーの外に既に存在していたからだ。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 15, 2024
で、火山地帯の鉄器冶金民族アピ族もそうだったように、鉱山採掘技術は大陸に既にある。
宝石を探す山師たちは、たいてい社会に溶け込めず、一攫千金を狙い、徒党を組み、しかも食料を麓の村より先に他の徒党から奪う、だいぶたちの悪い破落戸たちであった。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 15, 2024
さて、そんな宝石鉱山に、謎の4人組がやってくる。
ゴロツキ山師を乱雑にぶっ殺して食料や宝石を奪いまくる。
この辺はあたかもそういう西部劇や時代劇の如き趣だ(ここはアメリカ西部でも日本でもなく、いわゆるムー大陸なのだが)。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 15, 2024
やがて、この4人組がゴロツキ山師ども相手に無法無双できる理由が明らかになる。
彼らを襲うゴロツキ山師どもは、全員スローモーションになるのだ。そこを無造作に殺す!
なぜそんなことが可能なのか?
ラ・ムーにしかないはずの、念力があるからだ!
つまり…?
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 15, 2024
3人のしもべは、反ラ・ムー勢力デギルの、討伐から逃げ切った悪童たちだったのだ。
そして、美青年頭目は…
拉致された赤子。
逞しくも悍ましく育った、ラ・ムー王子カヤンだった!
…ラ・ムーの警戒する念力の血の流出。
まさかこんな形で…!?
(最悪やんけ)
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 17, 2024
カヤンらはゴロツキ山師たちの鉱山を制圧し、奇妙なことを始めた。膨大な量の甲冑を発注し始めたのだ。
何のためか?
山師たちを兵隊として、麓の商人の町を制圧するためだ。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 17, 2024
山師たちにとっては、麓の商人の町で値段の上乗せされた食料を買い付けるより、山師同士で奪い合う方が安いから奪い合っていたのだ。
カヤンは山師たちに「あいつらが暴利を貪っているの、ムカつくよな」と焚きつけたのかもしれない。
麓の商人の町、秒殺!
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 17, 2024
カヤンは別のことを考えていた。
カヤンの出自、遊動採集民だったラ・ムーのアムが持たなかった文物。地図。
これで、この辺の地理を見る。
河の分岐合流地点を巡り、三つの国がある。これらを国盗り!
…腐ってもラ・ムー王子のカヤン。覇王の気風だ。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 17, 2024
カヤンは、鉱山最大の勢力、ブリンゴを乗っ取り、それを国名とした。
ブリンゴとはピアス付き耳飾りの意味でもある。これをつけさせることで、山師兵の識別とする。
身内には識別を容易にし、敵には自分たちの正体をただの思い上がった山師だと偽る。うまい手だ。
※誤り。ここからしばらく「ブリンゴ」は「ブリンコ」と読み替えて下さい。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 17, 2024
そして、カヤンらは、三つの国の一つに、侵略を開始した。
山師の小集団は、部下の統制は厳しくても、他集団への統制は全くしない。そんな状況も知見も動機もなかったのだから。
直ちに、「男は殺せ女は犯せ」方式の凄まじい掠奪が始まる。えらいことになった。
※合流点(ベルテム)周辺三国は、チタベルテム(北合流点の意味)、サリベルテム(西合流点)、ベルテムヌク(合流点南)と呼ばれます。今攻撃されている第一の国はチタベルテム国です。結局、合流点周辺三国のうち、襲撃されたのはここだけで、ブリンコ軍は差し当たりその他の国々の襲撃を優先します。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 17, 2024
カヤンは悪辣で、
「逆らわないなら殺しはしない」
という使者を各地に出している。
もちろんこれは、掠奪はする。嵐が過ぎるのを待つが如く耐えろ。ということでしかない。
とはいえ、これが各地の動向に影響を与え、足並みが揃わないようになっている。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 17, 2024
残り二国の片方は賢王と賢宰相の治める国で、情報収集の結果、事態をかなり正確に把握していた。
河を挟んで交戦。
カヤンとしては実践経験を積ませて、戦勝の快楽を覚えさせたい。最低限の河における戦い方を指導して(よう知っとるな)、後は自力でやれ、だ。
※誤り。「第一国チタベルテムの」賢王と賢宰相です。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 17, 2024
戦いは互角であったが、天候の悪化が勝敗を決めた。
防衛軍は普通の軍の感覚で
「豪雨と泥濘で、まともに戦える状態ではない。今日の戦いはここまで」
と引き下がった訳だ。
が、山師軍は山師、鉱員だ。泥濘には慣れている。
攻撃の手を止めない!
突破!
戦勝!
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 17, 2024
賢宰相は交渉の場で即刺殺され、賢王は城壁から首を吊られ、二国目も滅びた。嗚呼…
※誤り。繰り返しますが、「第一国チタベルテムの」賢王と賢宰相です。だから滅びたのは一国目です。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 17, 2024
芸術を重んじる文化的な三国目。
戦う覇気のない文弱の徒の王たちは、しかし彼らなりに考え、奇妙な行動に出た。
首都と金品を放棄し、都民ごと脱出したのだ。
人とその文化の存続が最重要!
言ってることは分かる。
これも一つの選択肢ではあろう。
が、辛いな…
※誤り。長河諸国の一つ、美術工芸の盛んな「タグル国」は、チタベルテムの隣国ですが、合流点周辺三国ではありません。なんかもうこの辺の実況メチャクチャだな。ちなみにタグル国も後で出てきます。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
さて、ネプト黄金船団。
カゲルの息子が誕生した。
命名カナル。
カゲル、ルシア姫、ミナル総督、おめでとうございます!
とはいうものの、風雲は急を告げてきていた。
伝え聞く長河合流三国の情勢は悪化しつつある。
そして、ある一報が事態を急変させる。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
なんと、長河合流三国簒奪者は、鳥人だという。
この報告はカゲルにとってはショックだった。念力使いのアム族は、同時に高い倫理性でこれを管理している。なぜこんなことが…
とはいえ、思い当たる節はある。デギルの神話と、それにまつわる最近の事件だ。
※アム族の念力使いは、念力で船を飛ばして移動し、あたかも鳥のように見えるため、タンガト(鳥人)という異称を持ちます。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
デギル残党は王子を拉致した。その王子が長河合流三国簒奪者、悪王として育っただと考えるのが最も自然だ。
だとしたら…
カゲルはラ・ムー本国に報告せねばならない。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
その間ここは危険だ。特に、金髪の赤子、カナルが。拉致、洗脳、大いにあり得る。
カゲルはルシア姫とカナルを別室に保護してほしい、と言う。
奇妙な注文をつける。室内を黄金で包んでくれ。
ネプト黄金船団には言わないが、黄金には念力を防ぐ効果があるのだ。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
家来のルアロが言う。最短ルートは故郷たる牧畜民ハラトの領域を通過するものになる。自分の案内が役に立つ。案内人として、役に立たせてくれ。
カザト、飛ぶ。
そして…ハラト領域も風雲急を告げていた!
ラ・ムー飛舟部隊と、悪王クヌピ残党、交戦中!
何…!?
※「カザト」は「カゲル」の誤りです。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
悪王クヌピはラ・ムー武装隊商隊長バルダらバスラ家に飼い殺しにされ、残党はバスラ家に駆逐されつつある。
敵の大物たちも死んだ。後はラ・ムー同盟勢力、ルアロの義父、豹族長カペラスコが王になるだろう。実質的に戦勝と言える。
さて…
※ここで、前々巻で後宮の少女たちに袋叩きにされて死んだはずの王弟ハリトは、実は生きていたのですが、敗戦後発狂して無力化します。前々巻で死んだことが、作者に忘れ去られていて、設定に矛盾が生じたのかもしれませんが、本当のところはどうなんだろうなあ。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
カゲル、バルダ隊長、バスク将軍、合流。
カゲルの報告。
拉致された王子の顛末。
ネプト黄金船団の庇護と婿入りと妻子の存在。
黄金が念力を遮断する性質を持つこと。
バスク将軍は黄金の性質を味方への優位性に使おうと考える。
カゲル、後悔。マズかったかな…
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
ともあれ、カゲルはラ・ムー本土に戻る前に、ラ・ムー最強部隊と合流できた。即ネプト黄金船団の元に戻る。
アム族とネプト族の考え方は微妙に違い、カゲルは究極的にはネプトに心を開いていないところがある。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
しかし、ネプト黄金船団は、少なくともカゲルやバスラ家等、アム族を信頼しようとしている。
なぜか。
アム族は自分たちのしでかしに対して、他所が迷惑したなら、尻は拭いに来るやつらだ。そういうやつは責任感がある。信頼できる。
…確かにそれはそうだよなあ。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
黄金はただの威信財ではなく、念力を、より正確には念波を抑制する力があった。
テレパシーによる会話が出来なくなる。
逆に言えば、念波による精神面での働きかけができなくなる。
敵が念力使いなら、少なくとも精神攻撃が防げたら、だいぶ助かる。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
カゲルは今回の作戦でもやはり囮役をやる。
負けた国々を鼓舞し、悪逆のブリンゴ王一味を誅する。
そうしながら、決戦地を吟味する。
…全く予想していなかったものが見つかった。
大いなる墓が。
誰の?
それは…
※長河諸国「スンガリ国」聖地「テメト・ジャロ(黄色い墓地)」。後で重要な土地として出て来ます。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
アム族の同胞、牧畜民ハラト族の王子。
念力を失い、修行の果てに、通常の念力とは異なる癒しの力を得て、人々を救い、ラ・ムー東山宗教勢力初代イハムが肉体を越えて聖霊になる大いなる行に貢献し、その後人々を救って回った大偉人。
アマリスコ。
その墓である!
※アマリスコ(黄色の御方)ことコルは、悪王クヌピと王弟ハリトより数世代前の人物です。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
アマリスコはアム族にとっては大事な同胞、大偉人だ。
その墓は巨大な岩だった。側面にラ・ムーの象徴、十字の標識と、神薬カハの葉が刻まれている。
必勝を祈るカゲル。
彼の祈りが、天空に通じ、返って来る。
…己の中に、途方もない力が宿っている。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
妻のルシア姫からもらった、龍神ネプトの瞳にも見立てられる、赤い宝石。
それは今、念波攻撃対策のカゲルの黄金の冠に装飾されている。
念力の源は額にある。黄金は念波を防ぐが、宝石は念力を増強させるようなのだ。
とんだところで加護だ。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
さて、カヤンらは念者とアマリスコの墓の存在を知る。
アム族にとっては大偉人だ。東山宗教勢力の命を受け、アマリスコの墓を探しに来たのかもしれない(違う)
とにかくカヤンは困る。そのうち東山の僧たちが派遣される。討伐される! 口封じにさっさと殺そう!
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
カヤンは自分が、東山宗教勢力き討伐された、反ラ・ムー勢力デギル二代目当主トマの子と信じている。
東山の尖兵(正解)カゲルをさっさと殺そう!
兵らに命じる。皆殺しだ! 逃がしたら命はないぞ!
掠奪より前に、皆殺しをしないと自分が死ぬ。真剣になる兵ら。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
抵抗軍は、皆の仇、ブリンコ軍を前にして、士気が極めて高い。
念力による支援もあり、ブリンコ軍は劣勢に陥る。
そのうち、4人組が現れる。逃げる者を罰するために。
カゲルvs.4人組! 空中戦!
4人組の必殺技、念力金縛り…
効かない!
黄金による念波無力化!
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
カゲルはカヤンに説く。
あなたは実はラ・ムーの王子、幼名ドワタだ。
カヤン、3人のしもべ、動揺。
動揺している場合ではなかった。
黄金による念波の無力化には、もう一つ大きな派生的効果があった。
念力を察知させず、奇襲ができる!
バスク将軍、強襲!
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
3人のしもべはクメル人造鉄剣でまっぷたつになって死んだ。
カヤンは恐慌を来し、滅茶苦茶に飛び、叫ぶ。
デギルもアムの子だ。
罪あるものはラ・ムーには住めん。
罪あればアムの子ではなくなるのだ。
デギルもアムの子なのに、アムは子として認めん。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
…それはその通りだ。
昔から解決されなかった、ラ・ムーのアム族がデギルにもたらした、大きな呪いだ。
アムよ、デギルを生んだおのれを考えよ。
デギルの恥を思え。
アムは落とし前を付けに来たのだ。
しかし、デギルの側としては、そう言いたくもなるだろう。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
カヤンは叫ぶ。
デギルの道はとまることが許されんのだ。
カゲルは言う。
母者にお会いなされ。弟君がお待ちですぞ。
カヤンは、そうなればどうなるか、おそらく理解している。今更ろくなことにならん。
会えば地獄だ。
俺はデギルとして生きる。
その先は…
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
アマリスコの墓。
ラ・ムーの十字の標識。
激突!
カヤン、死す!
カゲル、バルダ隊長、バスク将軍、検分。
カゲルは哀しむ。
王子ドワタはラ・ムーへ戻ったのだ。これよりほかに帰りようがなかったのだ。
アマリスコの霊が王子ドワタをラ・ムーへ導いたのだ。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
バルダ隊長も憐れむ。
王子ドワタは死によってデギルの穢れを潔めたのだ。
バスク将軍も憐れむ。
肉はデギルに穢されたが、最後に安息を得たと思いたいものだ。
穢れた肉はここで焼き、遺骨はラ・ムーへ帰そう。
父王に、母王妃に、弟王子に、会わせてあげよう…
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
アム族にとってはそれでいいが、長河の滅ぼされた各国はそうはいかない。
落とし前をつけねばならない。
が、意外な決着を見た。
まず、黄金の実用的な価値が、ネプト黄金船団にほぼ正確に見抜かれた。
そこはそうだろう。ここだけアム族の挙動が不自然だったし…
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
長河の敗戦国らは、なんとカゲルに王になってくれと言い出した。
…そう来たか。
ネプト黄金船団はもちろんこれを婿の大出世と見るが、同時にラ・ムーの政治的介入を懸念してもいる。
まあ、当然の警戒だ。
が、バスラ家は別の話を持ち出す。
元覇権国家「タナ国」、敗戦国「タリム国」、決戦地「スンガリ国」の三国は、こうして信託統治王カゲルによる新統一再建国家「マール国」となります。チタベルテム国やタグル国はここから地理的に遠いから、今回の話に噛むことがなかったのかも知れません。
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
牧畜民ハラトの内紛を自分たちは統合させた。そこは自分たちの商圏である。
そこで、ハラトの河の拠点で交易をする。
ネプト黄金船団はラ・ムーに、今や絶大な戦略価値を持つ黄金を売りつけることができる。
バスラ家はネプト黄金船団との交易を独占できる!
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
アムから出せる商品は、宝石の中でも貴重な真珠と…
長河も知らない鉄の武器!
こんなものをアムは作れるのか!?
これは欲しい。だが、売ったら、戦争が激化した時に困らないか? 懸念するネプト黄金船団。
え? アムが戦争を鎮圧するから大丈夫? そうか…?
#半村良 #太陽の世界 #飛翔する帝国
— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 18, 2024
カゲル、ルシア、カナル、久々に家族水入らずで過ごす。
新しい王国の王になってしまった。
だからこそ、愛する家族は、本当に何物にも替え難い、心の安らぎだ。
新天地での、妻子の安住の地は、もう決めてある。
アマリスコ最期の聖地へ…
(この巻ここで終わり)
いいなと思ったら応援しよう!
![犬神工房](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/14978223/profile_d3bb7da40906074da027a7aae4df1286.png?width=600&crop=1:1,smart)