読書(2024/10/1):荒山徹『神を統べる者』中巻『覚醒ニルヴァーナ篇』初見実況 犬神工房 2024年10月1日 07:14 一部の方にはかなりお待たせしております。#荒山徹#神を統べる者(中)に当たる#覚醒ニルヴァーナ篇を、少しずつ読み進めます。やはりビジュアル的に「ワーオ」となるところがあると、読み進める時にテンションが違いますね。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 18, 2020 何の話かって?特撮大好き荒山徹先生、「僧侶対道士の呪術戦で、道士の法力返しで首を落とされた仏像三体が、常人には見えないが視える者にはド派手な道教の神々の襲来を、逆に三角形包囲で無量光オーラビームで蒸発させる」!(ウルトラマンか…?)#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 18, 2020 あと、友達の馬や護衛を殺害された厩戸御子が、「死者のことは忘れろ? ハーーーー仏教は冷たい教えでございますなーーーー」となって、復讐心で道術にのめり込んで行き(フィクションです)、「まあそりゃあそうだろう。気持ちは分かる」になるなど。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 18, 2020 あと、蘇我の拠点責任者が仏教から道教に乗り換えつつあり、「仏教は願いを叶えてくれないし、願いを捨てろというんだぜ。道教は願いを叶えてくれる。その方が有難味がありますがな」と言い出すの、最高にウケる。まあそりゃあそうだろうよ。ワカル。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 18, 2020 そりゃあ、ふつう動機は実現されて欲しいし、構造的に実現困難か実現不可能か、実現すると自他ともに有害な動機は、抱くだけ苦しむので捨てなきゃならん。この小説の道教は前者の話に、仏教は後者の話に力点を置くので、ふつうはそりゃあ前者に行くわな。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 18, 2020 作中の仏教の有難味は、動機は満たしてきたが、動機のせいで苦しむようになったから意味があるんだもんな。そんな進行したモードの人は、単に動機を満たしたい、満たされてない人より、どう考えたってだいぶ少ない。いや、確かにある話ではありますが…#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 18, 2020 道教が効いてくる、動機を満たしたい、満たされてない人にとっては。仏教が効いてくる、動機のせいで苦しんでる人は。まあ、「動機を満たしておいて今更何賢者モードになってんだこいつら」ではあろう。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 18, 2020 まして、動機の構造にいかがわしさを感じて距離を置くカシコのことなど、理解の外だろう。「お前は何も動機を持たんのか? そんなものはバカバカしいからどうでもいい? 火を無視すんな。こっちは火傷しとんのじゃい」とはなるわな…(続きはまた後で)#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 18, 2020 面白いのは(面白がるのも酷い話だが)、友達の馬や護衛を殺された厩戸御子その人が、「お前は何も(復讐の)動機を持たんのか? そんなものはバカバカしいからどうでもいい? 火を無視すんな。こっちは火傷しとんのじゃい」となっているところですね…#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 18, 2020 武を好まないのに、武の天賦の才をメキメキ伸ばす、猿楽師・金春七郎氏勝の才能開花物語、隆慶一郎『夜叉神の翁』に印象は似てます。ここは(上)の#厩戸御子倭国追放篇と同じ。ただ、(中)では暗黒面に落ち、光と闇が両方そなわり最強に見える(こら)#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 18, 2020 死んだ親友たる馬や護衛たちの復讐のために、自分を拉致した道士たちに稽古をつけてもらって、パワーアップとして導引(体内の気を健全に循環させる運動)に勤しむ厩戸御子。oh...#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 19, 2020 拉致されてきたもう一人の子供。優秀な仙種でもある厩戸御子ではなく、世に災いをもたらすから殺すべきとされた、少女と見紛う美少年、楊広…後の煬帝!(後にクーデターで王位に就き、過酷な治水事業で暴君と呼ばれ、聖徳太子とも外交で揉める相手だ)#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 19, 2020 生かしておいたら万人が苦しみ抜いて死ぬやつ、殺しておいた方が世のため人のためだ(柳生宗矩『兵法家伝書』にも出て来るタイプの価値観)だが、子供の厩戸御子がこれを聞いたら、まあ戸惑うには充分過ぎるわな。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 19, 2020 各地から厩戸御子を救うべく仏の声を聞いてなんかポツポツとやって来る僧侶たち。「俺 総勢1名参陣」しかも複数件だ(こら)アツい話だがシュールですね。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 19, 2020 そして、よりシュールな、お待ちかね特撮シーン。道教の神々の中には、元々は仏教由来の神々もいる訳だ。(これ、後に日本でもある話だよな)#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 19, 2020 道教に、どの辺に違和感を覚えるのかは分からないが、とにかく限界を見て取り、仏教に戻って外からの目で違和感の正体を見極めようとする(あとやはり同じ子供の楊広を助け出そうとする)厩戸御子。もちろん道士たちがこんなことを認める訳がないのだが…#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 19, 2020 そこで、呪術戦の影響で、道教の神格のうち、元々は仏教由来の神格が、仏教の神格としての本分に目覚めてしまう。行きがけの駄賃で二人を助けてくれるが、勃発する仏教由来の神格vs.道教拠点での道教の神格多数! 巨大合戦! 以前にも増して多勢に無勢!#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 19, 2020 しかし、道教の神格の中には関聖帝君と斉天大聖がいた。あっ(アカン)三国志で壮絶な戦死を遂げた関羽は、僧侶によって成仏し、その後道教の神格になったのだった。斉天大聖孫悟空? 西遊記の経緯があるから仏に逆らえない。彼ら、寝返る! 大混戦!#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 19, 2020 しかし形勢は、彼ら神格が紳士協定で禁じていたはずのところから崩れる。放火!誰が?楊広!さすが武将の御曹司。穏やかじゃないね。道士側に多数の死者! ひでえ!そして救出される二人であったが…#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 19, 2020 厩戸御子は高僧と共にインドへ向かう。しかし、高僧同士で辛い話が。今のインドの僧伽(僧侶集団)は、果たして彼らの求めるものを授けられるのか?僧伽はもう仏の真理は継げていないし、厩戸御子に仏の真理など継がせることなど不可能なのでは?暗雲…#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 19, 2020 放火で焼死した高位道士、太一(本質的存在)となりながら、楊広の放火を悟り、キレる。そして、楊広と、事件の始まりである厩戸御子への復讐を決意し、寄生する。厩戸御子の中の、圧倒的な霊性をもってしても、まだ翳りとして残る根本煩悩…<癡>の中へ!#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 19, 2020 厩戸御子、親友の馬や護衛の復讐をしたい時点で、<瞋>(怒り)はあるのは確かだったのだが、<癡>(無知)とは…知的好奇心があるからには、厩戸御子の中にはそもそも「無知だから知りたい」という機序があり、つまりは、無知でもある、ということか…?#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) December 19, 2020 2021/5/5 7:30から、ここしばらく読めてなかった#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇第四章『ナーランダ』の初見実況を行います。折角のゴールデンウィーク最終日、締めくくりに相応しいことをしよう、ということです。かなり長いので、最初の2割くらいしか行けてねえ。oh...— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 海路でインドへ向かう一行。主に虎杖視点。柚蔓は元来、軍事警察刑罰を司る物部の聖地、男子禁制の石上斎宮を守る、巫女剣士団員だった。そんなこったろうと思ったよ。やっぱり、なんか、こう、これぞ荒山節って感じだ!#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 あと虎杖が亜熱帯海洋沿岸動植物に目を輝かせたり、海から現れた大蛸を八岐大蛇めいて斬って船乗りを救出して一躍評価が上がったりする。冒険小説だ! ベタだが、だからこそ読んでて楽しいところだ。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 インド語の勉強に熱心でなかった虎杖だが、「いい加減な言語知識だと、異国で相手が安全か否かも識別できない」という柚蔓の警告と、船乗りたち相手に熱い決め台詞をかっこよく決められなかった羞恥が、彼をインド語の勉強に向かわせることとなった。立派。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 虎杖、船乗りからのインド語の勉強を介して、「仏教僧侶ヴァルディタムの喋り方は古く、現在のインド現地での喋り言葉に適さない」という重要な情報を得ていた。あー。史料や伝承を守る伝統的な寺院の場合、言い回しとか振る舞いとか、古色蒼然としてそう…#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 そして、虎杖、インドの言語に勝るとも劣らない重要な情報を得たりした。インドの宗教の話だ。ああ、柚蔓が警告した、身の安全において大きな意義を持つ情報としても、ここは大事なところだよな。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 なんと、インドで支配的な宗教は、仏教ではない! 日本の神道や中華圏の道教のような、土着の宗教、バラモンたちの司る、ヴィシュヌ信仰やシヴァ信仰だ! (まだこの時点ではヒンドゥー教としての再編はなされていないはず)#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 確かにここは、特に当時の日本人の認識上は、完全に盲点であっただろう。「仏教はインドで生まれたのだから、今の時点のインドで支配的な宗教は、仏教であろう」という、安直な理解だったはずだ。もちろん極めて有害で危険な誤解だ。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 虎杖に救われて良くしてくれるようになった船乗りは、ヴィシュヌ信仰者で、仏教に負の印象を抱いていた。「仏教寺院の拠点に行くの? マジで? やめたら? やめないか。そうだろうな。あそこに行く連中は決心が固いからな」云々。oh...#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 船乗りはさらに重要な情報を語る。虎杖がこんなにも強いのなら、傭兵になったらどうだ。今インドは群雄割拠状態なのだし、引く手数多であろう…そう! 今、インドの治安は、軍事レベルで見た場合、実は悪い! oh…まさかこんなとは…#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 さて。厩戸御子はかつて、大別王の書庫で、昔の中華圏の僧侶、法顕が悲願のインド訪問を果たした旅行記『法顕伝』(『仏国伝』)も読んでおり、経典とは別の面白さを感じ取ってもいた。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 どうやら『法顕伝』、シルクロードと南国の話があるようだ。法顕はその時代における、いわゆる三蔵法師であるため、これはハードモードリアル西遊記と言っても過言ではない(過言だよバカ)#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 そんな当事者の法顕の苦難はともかく、読者の厩戸御子としては、シルクロード旅情と南国旅情が芽生えても、不思議ではないところだ。厩戸御子、才気煥発天才少年であると同時に、異国情緒ロマン少年でもあった訳だ。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 そして、厩戸御子は、今近づいている港町、ヤーバドゥイーパが、『法顕伝』に書いてある耶婆提であることを知る。『法顕伝』で垣間見た異郷に今、こうして自分も足を踏み入れたということだ! 感慨深い。超テンション上がってきた! (ウォーッ)#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 そんな訳で、ヤーバドゥイーバに降りる一行。船から降りられて久々に地面を踏みしめたので、生き生きとしている虎杖と柚蔓。港町風情にテンションの上がっている厩戸御子。あんまり遠くに行ったら危ないですよ。特にここは外国なんだし。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 バラモンの栄えていた『法顕伝』の頃と異なり、今は仏教もかなりの支持を受けているようだ。そんな中で、反動復古急進派新興仏教宗派、ヒーナヤーナ(いわゆる小乗。あまり良い呼び名ではない)に勧誘されんとする厩戸御子。危ねえ! 大学でよく見る光景!#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 異国人ながら基礎的なインド文化を身につけており、仏教一般に関心の高い、将来有望そうな金の卵。そりゃあ目立つし、仏教系新興宗教団体としてはオルグしたくもなるわな。インド語の語学や仏教の所作は必須だったが、こういう裏目にも出ちゃう訳だ。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 ヴィシュヌ信仰者の船乗りは、怪しげな異教徒である、仏教系新興宗教団体の若僧を、罵詈雑言で一蹴する。まあそらそうよね…残念そうな厩戸御子には申し訳ないながらも、この場合はこれが最適な処置だったと言わざるを得ない。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 そもそも仏教内部に、緊張関係にある複数の派閥があること自体、厩戸御子にはいまいちまだピンと来てないようだ。えげつない話でもあるからな。だが、大事な話ではある。小乗仏教の一派、トライローキヤム教団に、目をつけられてしまったからな。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 それにしても、優秀な厩戸御子、いろんな宗教勢力に、指導者たりうる希望の星としてチュルッと吸われそうになっているな。「才能がありすぎる若者は、属人的な理由で、組織に狙われ、取り込まれる」というの、この小説の大きなテーマだよな。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 ガンジス河大三角州、商人連合の支配する港町、タームラリプティ。平野耕太『ドリフターズ』でいうとグ=ビンネン通商ギルド連合みたいなイメージですね(そのたとえ分かんねえよ)。遂にインドの地を踏み締めた一行! (ウォーッてなるよな)#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 ヴァルディタムはマハーヤーナ(大乗仏教)の僧侶だ。雇ったガイドの青年、ナルガシルシャも大乗仏教の敬虔な信徒だ。インド語が流暢に喋れる厩戸御子に仰天する。この優秀な異国の少年が大乗仏教修行しに来たということも理解したようだった。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 4, 2021 インドの特に都市部は、煩悩渦巻く爛熟した文明の地であり、修行にとっては誘惑の多い魔都だ。ヴァルディタムは「文明の進歩と退廃に抗うために、仏教は特に在るのだ」と説く。含蓄に富む見解だ(虎杖や柚蔓には何のことやらサッパリだが)#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 随伴していた物部の下半身商人たちは妓楼に行ってしまった。厩戸御子は耳がいいので、そのえげつない話を聞いてしまってはいたが、意味はいまいち理解できていないようだ。キレる柚蔓。まあなあ。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 ナルガシルシャは便宜のために、商人連合の有力者、ムレーサエール侯爵と接触していた。侯爵はヴァルディタムと厩戸御子に強い関心を持ち、接触を図ってきた。ヴァルディタムもこれを檀越(パトロン)のチャンスとして快諾する。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 これは要するに奉納であり、例えば柚蔓も剣をもって物部石上斎宮に奉納していた。だが、そんな奉納をしたことのない虎杖には、どうもこの感覚が引っかかる。檀越! 急に生臭い話になってきたぞ。何だか抵抗があるなあ。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 首長制社会以降の宗教では、僧侶はそういう専門職で、専門職は自活できない立場なので、食糧を作る農民や、生活を支える雑用係や、資源を管理する有力者によるお布施は必要である。そこはしゃーないよ。でも、スッとは入って来ないよな。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 女色や金目の話を、さも他人事のように語るヴァルディタムの言い様が、虎杖の耳に欺瞞に聞こえるのも、まあ無理はない。そして厩戸御子は、女色や金目の話がピンと来ておらず、ふつうにヴァルディタムに信頼の目を向けているだけだ。ゲンナリする虎杖。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 しかし、そんな虎杖の心情とは関係なく…ジェットコースター並みに手早い侯爵、迎えを寄越して来た。象! 楽隊! 大歓迎だ! 生まれて初めて象の背中に揺られて、眩惑と異国情緒と心細さに達する虎杖。まあそれはそうだろうね。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 柚蔓は目を閉じて平静を保っていた。自分もそうしようとする虎杖。出来ない。亜熱帯海洋沿岸動植物にワクワクする虎杖の感受性が、極彩色の都市に圧倒されている。つくづく思うが、若者、若ェな…#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 濃厚な甘いマスクとインド風カイゼルヒゲの肉弾系インド俳優めいた侯爵。アショーカ王めいて諸宗の庇護者の立ち位置にある。とはいえ、侯爵本人は単に「どの宗教が信じるに値するか、カタログめいて比較検証している」だけだが…#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 そんな侯爵を、ヴァルディタムは軽蔑しない。「そういう迷う時期、ありますよね」的な余裕の態度だ(そういうところが虎杖に高踏的不誠実として見られているのだが)#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 侯爵は宗教に興味があり、西方世界の宗教にも詳しいが、東方世界の宗教について是非ヴァルディタムに訊きたいようなのだ。侯爵も素人なりに聡明で博学なので(この辺は厩戸御子に似ている)、専門的な話題のラリーになる。スリリング。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 ポイントいくつか。(世界宗教のポテンシャルを持つ)仏教も、風土による特殊化と変容が避けられない。漢訳仏法の決定的な変容。それは、ほんものの仏教が否定すべきものとして前提した、ヴェーダ的輪廻転生の発想が、そもそもないことだ。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 ヴァルディタムが見るに、漢訳仏法は、現世からの解脱しか目指していない。宗教マニアの侯爵、呆れる。おい、じゃあまた輪廻転生して苦しむだけじゃねーか。意味ねー。そんな中で、ほんものの仏教を撒くために粘ったヴァルディタム、さぞ大変だったろうな…#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 しかし侯爵は、貴種の出家志願者、厩戸御子を見て、なるほどな、と納得する。そして、ヴァルディタム、倭の話になる。倭は島なので、中華文明の影響は間接的だ。土着宗教もある。このままでは漢訳仏法はスムーズには入って行かないだろう。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 で、そんな中で、漢訳仏法でなく、なんとほんものの仏法を導入したい有力者の眷属が、この厩戸御子(現地名アシュヴァ公子)だ。ヴァルディタムとしても、実は彼は希望の星だったということだ。oh...ヴァルディタム、お前もか…(でもそりゃあそうだわな)#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 あと、ヴァルディタム、ざっくりとは正しいが、微妙なところを伏せた説明ではある。まあ、物部守屋の「仏法を勉強させてその問題点を暴いて退ける」動機は分かってはいるが、なおもそれを利用して、「乗って」、ここに運んでもらっているんだもんな…#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 その後話題は中華圏の道教に入るが、虎杖はもう何が何やら分からない。まあそりゃあそうだろうね。それよりも饗応している美女たちにどぎまぎしている。(虎杖、若ェ…)柚蔓もイケメンに饗応してもらっているが、こちらは冷淡なものだ。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 侯爵は侯爵なので、世俗の饗応も心得たものだ。だが、ヴァルディタムは釘を刺す。「仏法の者には仏法の饗応があり、それは世俗の饗応とは違う。護衛であるこの二人も仏法の従者であり、仏法の饗応に準じて戴きたい」#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 侯爵は賢いので、己の饗応が結果的に非礼になっていたことに気付き、即座に詫びる。こういうところも大人物だ。だが、厩戸御子(アシュヴァ公子)に対する視線に、何か邪悪な気配がある。こいつも厩戸御子(アシュヴァ公子)に何らかの利用価値を見たのか?#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 侯爵は言う。厩戸御子(アシュヴァ公子)が僧侶になったら、その後虎杖と柚蔓はどうする? 出家するのか? 出家しなくとも護衛を続けることは可能だが、僧侶となった公子を襲う輩はまずいまい。事実上御役御免になってしまう。その虚無に、耐えられるか?#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 侯爵は、ヴァルディタムや厩戸御子(アシュヴァ公子)や護衛たちや物部船団のパトロンとなることを申し出る。有難い。饗応、お開き。虎杖も宿を与えられた。一人で憩っているが、饗応していた美女たちのことを思い出して、悶々とした夜を過ごし…#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 そして、柚蔓の宿から、柚蔓を饗応したイケメンたちが出て来るのを見た。狼藉者! しかしイケメンたちは窓に手を振る。虎杖、混乱。まさか、柚蔓、合意で受け入れたのか…? (もちろんこれがイケメンたちのごまかしであり、手籠めであった可能性は高い)#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 食の進まない虎杖。一見平然としている柚蔓。柚蔓の内心は虎杖には伺い知れない。(伺い知れない以上、確認するかしないかのいずれかしかありえないのであって、後者なら勝手に決めつけてどうこうということもすべきではないが…)#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 ああ、読者の立場から、傍目から見ていても、薄々感づいてはいた。虎杖、柚蔓のことを「意識」してるよな(若ェ…)そしてこれだ。まあ、ここで上手い立ち振る舞いが出来る、練り上がった奴とも思えん。じゃあ、単に、ツライだけでしょうね(ヒデエよお前)#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 さて、下半身商人たち。6Pとかなんとか、えげつない話を聞かされる。虎杖、メチャクチャ不機嫌になる(当たり前だ)挙句、下半身商人の一人が、「俺はあの娘にぞっこん惚れた。あの娘と共に在る。任務はこれまでだ」と言い出す。い、色恋!#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 柚蔓のビンタを受けても、色恋に狂った下半身商人は止まらない。「私はこれと共に生き、共に死す! 今更何のためらいがあろうか!」そして妓楼へ去っていく。ウワー! メチャクチャ厄介なトラブル! 勘弁してくれ。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 どうします? 残念ながら、そろそろ出発しなきゃならん。ここでこういうトラブルのせいで厩戸御子に迷惑をかけるようではお話にならない。後のことはここの有力者である侯爵が何とかしてくれるだろう。行くぞ! (ムゴイが、まあそうなるわな)#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 一行、ガンジス河を遡上していく。海ではなく河の船旅。密林、退屈。夕焼け、綺麗。そして…釈迦本人と親交があり、帰依した王がいたことで有名な、マガダ国の一時期の首都、パータリプトラに到着する。しかし、そこは、廃墟と化していた。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 そう。中華や百済や倭に向かう前、希望を胸に抱いて旅立つヴァルディタムが、かつて見たパータリプトラ。それを統治するマガダ国の、当時の政権たるグプタ朝は、その後滅んだのだ。動揺するヴァルディタム。だが、これも無常というものであろう。#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 やがて…ヴァルディタムの所属する、ナーランダ僧院に着く。厩戸御子、遂に到達したのだ! 倭から、華南から、海路を、ガンジス河を経て、遂に、ほんものの仏法の地へ! おお…! さあ、ここからが本番だが…(今回の初見実況は、ここまでとします)#荒山徹#神を統べる者#覚醒ニルヴァーナ篇— 犬神工房 (@nokkaranoumu) May 5, 2021 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇久々に少しずつ進めます。インドのナーランダ寺院に到達した厩戸御子。さて、厩戸御子はここで仏教の勉強をしに来たのだ。厩戸御子、小坊主になる!蘇我家付護衛剣士、虎杖、愕然!(当時は日本人は仏教に詳しくないから、予測できなかったかー…)— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇小坊主厩戸御子、文字としてのサンスクリット語と、現場の仏教の教義を、スポンジで水を吸うように己がものにしていく。途中で気付いたことがある。中国で読んだ経典がない。インドのナーランダ寺院の僧侶は言う。それ、偽経だ。厩戸御子、唖然とする。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇仏教に偽経つけて増やす不届き者がいるんですか!?ショックだし、厩戸御子としては当然こうも警戒する。インドの方の経典は本当に偽経抜きの信頼できるものなんですか!?気持ちは分かるが、ずいぶんと訊きにくいことを訊くなあ。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇僧侶は当然、そんなことあるはずがない、と確信している。これは直伝の言葉か、そうでないとしても仏教の研究の結果、こうであったと思われる内容が書いてあるのだ。偽経の混じる余地はない。あっ。史料の正確性の話に踏み込んでる…— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇さて、虎杖はお役御免になり、ナーランダ寺院の賛助機関で肉体労働で過ごす。ターバンがないと汗だくだが、巻くと自分が本当にインドに溶け込んでしまう。虚無の心に、米の安酒が沁みる。妓楼まであるが、女遊びをする気にはなれない。柚蔓のことを思う…— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇柚蔓は尼僧の賛助機関で働く。一緒に移動している尼僧に、剣士仲間の虎杖との関係を問われるが、柚蔓は否定する。当たり前で、要は虎杖は柚蔓に何のアプローチもしなかったのだ。そりゃあ柚蔓としては、他人、としか思いようがないんだよな。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇さて、暴漢に襲われている若い尼僧がいる。柚蔓、木刀で、下半身丸出しの暴漢たちの下半身を粉砕する。やったーカッコイイー! さすが剣士!— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇尼僧寺院は妙な依頼をする。私たちに剣の稽古をつけてくれ。尼僧が剣というのもとんでもないことなのだが、最近政変で治安が悪いから、おちおち托鉢もできないのだ。何なら今回のように暴漢に襲われることすらある。大変だ…結局、柚蔓、剣術師範になる。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇さて、柚蔓に異変。妊娠!虎杖、大ショック!相手は例のムレーサエール侯爵の従業員たちだ。襲われたのか!? (バカ! なんちゅう訊き方してんだ虎杖!)柚蔓は否定する。好みの子は受け入れ、そうでない子は返した。最年長で14歳の子供だってさ。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇柚蔓は厩戸御子に面会する。厩戸御子は柚蔓の妊娠を素直に喜ぶ。おめでとう!父親は虎杖じゃないの?違います。柚蔓にとってはマジで他人だし…虎杖が憤慨していたことについても、護衛仲間の柚蔓が護衛を果たせなくなったためだと勘違いしてる。あー…— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇その虎杖は、失恋のショックで安酒に溺れて滅茶苦茶になっていた。とうとう妓楼で女色に溺れるようになった。あー…— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇厩戸御子は修業を重ねている。元々、経典をたくさん記憶しているのだ。学べば学ぶほど新たな問が増えていく。いい論者にはなれる。が、悟りはまた別のことだ。素晴らしい覚者になって欲しいものだが…— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇柚蔓には男子が生まれた。しかし。赤子の生存率は、特に昔は低い。すぐに亡くなってしまった。哀しみに暮れ、狂気に囚われ始める柚蔓。尼僧は説く。蘇らせる方法がある。ええ…?— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇子を蘇らせる秘術。「死者の出たことのない家を探す」。…『キサーゴータミーの白い芥子の実』…!この仏教説話は、「そんな家はなく、人は死ぬし、それを受け入れざるを得ない」というのが要諦だ。柚蔓もそうなる。子は荼毘に付された。柚蔓…出家!— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇一方。虎杖の行きつけの妓楼の遊女が妊娠した。出産の日、虎杖は別の男を見る。赤子の肌は、完全にインド人のそれだった。この子は別の馴染の男の子だった。虎杖は彼女にとって、代替可能な男の何人かの一人に過ぎなかった。虎杖、打ちひしがれる…— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇仏教の問題意識、人生の苦しみの話を、柚蔓も虎杖も経験したことになる。厩戸御子は?滅茶苦茶賢いが、人生経験がない。ここをナーランダ寺院は懸念する。とはいえ、いずれ子供の厩戸御子は、性欲に目覚める日が来る。その時が一つの契機になるだろう。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇今まで経典に塗れてきた厩戸御子だが、当面の間、瞑想の修業をつけてもらう。自分の中に国を離れた哀しみと、国から離れざるを得なくなった理由である敏達天皇への怒りがあることに気付かされる。雑念だらけだ。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇そのうち、「なぜ自分は哀しいんだろう」「何で自分は怒ってるんだろう」と思うようになる。そうすると、哀しみや怒りが深まるのではなく、穏やかになってくる。そういうのが、瞑想の一つの目的、一つのあり方だ。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇心が安定してくると、厩戸御子に、他人を気遣う気持ちが生まれてくる。特に柚蔓と虎杖だ。自分の都合のため、はるばるインドまでついてきてもらって、数奇な運命に巻き込んでいる。柚蔓は尼僧と剣術師範をやっている。赤子の死の苦しみは、吹っ切った。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇虎杖は大変なことになっていった。気が塞いで自暴自棄になっている。働ける状態ではない。ある意味、自分が彼を引きずったせいで、この惨状をもたらしたのだ。厩戸御子、責任を感じる。そして、言う。暇をやる。お前は自由だ。…そう来たか。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇虎杖、逃げるように、しかし自由意志により、旅立つ。ここまで来る間に顔見知りになった船乗りの伝手を頼る。ところが、とんでもないことになった。彼は金持ちの言いなりでしかない船乗りを廃業して…金持ちから分捕る海賊になるというのだ!— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇ここらの大海賊の子分になると言い出す相棒。ついていく虎杖。大海賊は、今、官憲の大捕物の真っ最中であった。ええー…しかし。虎杖、官憲を撫で斬りにする!やったーカッコイイー!採用面接!?合格!!!(俺は一体何を読まされているんだ)— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 27, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇厩戸御子は経典に疑問を持つ。男女平等と男女差別が入り混じっている。なぜ?師は言う。経典の中には男性僧侶が書いたものがあり、彼らは女色に苦しみ、女を憎む。それらは偽経として退けていく他ない。厩戸御子は問う。僕もそうなるの?うー答え辛い…— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 28, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇そう。女色に悩んで出家する男性僧侶は多い。(男性関係に悩まされて出家する女性僧侶が多いことは既に見た)厩戸御子は仏教を獲得してから女色に悩まされることになる。その時、仏教を学んでもなお苦しむ女色を前に、仏教への不信を抱くのではないか?— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 28, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇さて、厩戸御子をインドに連れてきたヴァルディタム・ダッタ師は、人生最後の修行として、お釈迦様の歩んだ道を追体験する旅に出ようと志す。厩戸御子も連れて行く。予定だったが、ヴァルディタム・ダッタ師は、ナーランダ寺院で亡くなった。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 28, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇今の師シーラバドラは言う。哀しみに囚われるな。厩戸御子は言う。哀しい心は自分自身だ。そうではない。仏教を思い出せ。自分は心ではない。心の主であるのだ。メタ自分だ。…厩戸御子の仏教の知識。それが遂に理解として追いついて来る時が来た。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 28, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇ヴァルディタム・ダッタ師の旅は、厩戸御子に人生経験を積ませるため、ということも目的としては含まれていた。故に、シーラバドラ師が引き継いで、厩戸御子と共に、旅に出ることとなった。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 28, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇初めての托鉢に混乱しながらも、「自分一人で飯を食っているのではない」と説かれて受け入れたり。ヒマラヤで、美しさによる自然崇拝への戒めを受けたり。お釈迦様出生の地で、お釈迦様が母の脇から生まれた逸話を通じて、人の神格化への戒めを受けたり。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 28, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇それにしても、厩戸御子は思う。お釈迦様は王子だったが、よくその立場をなげうって出家できたな。自分は傍流とはいえ王子だ。お釈迦様は嫡子だ。想像を絶する。とはいえ、彼の祖国も、当時の強国も、全て滅んだ。仏法は残っている。そこが大事なのだ。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 28, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇バラモン教の神々に対し、仏教は彼らを、仏法に仕えるもの、天として包摂した。包摂とはいえ、バラモン教としては「二の次扱いとは何事だ」という反感の源になっている。厩戸御子は倭の八百万の神々を思う。やはりそういうトラブルが生じないだろうか…?— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 29, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇お釈迦様が悟った地、ブッダガヤーで、厩戸御子は修行に励む。シーラバドラ師は周囲から乞われて説法をすることが多く、厩戸御子は一人になることがあった。周囲は仏教の修行僧だらけだ。何の心配もないはずだった。十二歳、性欲の目覚めが来るまでは。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 29, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇托鉢の際に、厩戸御子は女性から好意的に迎えられた。厩戸御子は、彼女たちから誘惑される夢を見る。かつて自分を攫って焼け死んだ、中国の悪意ある道士の顔と共に。なぜこんな夢を見る?自分の心のありようが変わりつつある。動揺する厩戸御子。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 29, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇次の托鉢の際に、厩戸御子は、自分に好意を抱くおばさんに、本当に誘惑を受ける。厩戸御子は異国の、今や小坊主だ。こらこらこら。何やってんだよおばさん! 邪恋と言われても割としょうがないレベルのやつじゃねーか。オイ!— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 29, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇厩戸御子は、訳も分からず、それでもおばさんと己の肉体に引きずられるように…女犯を。してしまう。あーーーーいけません。いけませんよこれは。エロティックであることは認めるが…小坊主としては、これは…ヤバいのでは…?— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 29, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇帰ってきたシーラバドラ師に、厩戸御子は正直に言う。厩戸御子はショックを受けている。シーラバドラ師もショックを受けている。予想されて然るべきことだった。対策どころか、説法のために一人にしておいた己を悔やむ。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 29, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇シーラバドラ師も、昔は色欲に苦しめられていた。彼の敬愛する師とは、しかしその後、男色関係になってしまった。師は自分を男色に溺れさせたシーラバドラと心中を図り(相手のせいにするな。そういうところだぞ)、そんな自分を恥じて、自害したのだ。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 29, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇シーラバドラ師は慄く。自分がこの、素晴らしいが、性欲に目覚めてしまった厩戸御子と、かつての師との間のように、男色関係に溺れるようなことがあったら…ヤバいヤバいヤバい!ならばこそ。より一層修行せよ。肉欲に勝つために!厩戸御子、修行!— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 29, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇…もちろん、うまくいかない。性欲は自分の中の第二の自分の心などというものではなく、自分の体から来ている恐るべき力だ。自慰に苦しみ、またしてもスジャータおばさんとの女犯をしてしまう厩戸御子。シーラバドラ師、どんどんよそよそしくなる…— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 30, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇ナーランダ寺院に戻っても、シーラバドラ師のよそよそしさは変わらなかった。シーラバドラ師としては、性欲に苦しむ厩戸御子を、通り一遍にしか説得できない自分の無力さに苛まれているのだが、よそよそしいことには何ら変わりはない。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 30, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇ある日、厩戸御子は、夢の中で、いつもの淫夢ではなく、啓示めいたものを受ける。ナーランダ寺院を出よ。それが出家だ。極めて奇妙な啓示だが、それに従う。シーラバドラ師はむしろホッとしている。アカンことではあるが…— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 30, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇厩戸御子は一人で托鉢遊行する。アカンことであるが、性欲を監督する立場にあるシーラバドラ師はもういない。足が自然と、初めての女、スジャータおばさんのところに向く。…今、スジャータおばさんの家は、えらいことになっていた。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇スジャータおばさんの家は焼け跡となっめいた。スジャータおばさんは、厩戸御子がいなくなり、辛くなり、男を咥え込みまくって、夫に斧で頭をかち割られて死んでしまったのだという。そして絶望した夫は家に火をつけ…oh...(最悪すぎる…)— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇スジャータおばさんを死なせた罪悪感と、スジャータおばさんを失った哀しみと、惜しみと、スジャータおばさんを殺した夫への怒りが、グルグルと心の中に浮かぶ。そして、それをメタ的に見ている自分の心のありようにも気付く。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇今までの仏教の教えが、知識でなく実践として効いてきている。仏教という結果、解決方法だけ学んで、仏教が生じた原因、問題意識を学ばなかった厩戸御子だが、今、こうして原因と直面している。即ち、世俗の苦しみを。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇大人の理屈が、子供には分からないことがある。仏教の教理も、高邁すぎて、日本の豪族たちや中国の道士たちには理解に苦しむものがある。賢さの問題ではない。聡明な厩戸御子も、「なって」みないと分からない境地があった。今、それを体験している。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇天の星を見る学者が、地の穴に落ちることがある。厩戸御子も、そうなりつつあった。もう一つ、まずいことが起きる。今、インドの治安は悪くなりつつあった。尼僧が托鉢するのは危険だという話も出た。小坊主が托鉢するのも、実は危険なのであった。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇厩戸御子、不幸にも黒づくめの一団に遭遇してしまう。山賊!小坊主の厩戸御子、拉致されてしまう!山賊団頭目は女だ。小坊主ながらもなよなよせず屹立する厩戸御子は、気に入られて、ファックスされてしまう!oh...(俺は一体何を読んでいるんだ?)— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇学習能力の高い厩戸御子は、山賊団頭領に仕込まれ、性豪と化していく。彼女は元々小国の王女で、山賊団に拉致され、前頭領の性奴隷となったが、王女の才覚で下剋上したのだという。その彼女が、厩戸御子に溺れ、言う。おまえも副頭領にならないか。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇山賊団にとっては、厩戸御子はあくまで人身売買の商品として攫ったやつだ。何が副頭領だ。山賊団頭領も焼きが回ったとしか思えない。そんなやつを頭領に据える訳にはいかない。ある種の嫉妬と、そして権勢欲の話だ。信望を失った頭領は殺害されてしまう。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇そして、もう一つ、恐ろしい話があった。山賊団は人身売買を業としていた。頭領の殺害が決定された時点で、愛人であり副頭領にされかけている、危険な厩戸御子も、テキパキと売り飛ばすことで決定されたのだろう。買い手がついた。厩戸御子、人身売買!— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇厩戸御子を「買った」のは、なんと、以前お世話になった、逞しく甘いマスクのインド男優っぽい、博学多才で怪しげなところのある大貴族、ムレーサエール侯爵だった。なぜ?— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇警告。私が君を「買った」理由、訊かない方がいいぞ。ナーランダ寺院に帰してやってもいい。それとも君は、ここしばらくの性欲による心身と地位の翻弄も、人妻に篭絡されたことも、女盗賊に凌辱されたことも、修行のうちだと呑み込んでいくのかね。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇厩戸御子、頷く。ムレーサエール侯爵、溜息を吐く。もう後戻りはできないぞ。ムレーサエール侯爵は大貴族にして、商人連合の実力者、諸宗の庇護者でもある。そして、変態趣味とビジネス上の実益を兼ねて、売春宿を経営していたのだ。…そう来たか。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇もちろん、売春宿の主な客は男性だが、一部女性がいる。たいていは少年愛好者だ。つまり?君は商品だ。売春宿で、少年愛好者の女性たちと交わり、働いてもらう!…あーあーあー。そういうことかよ。だいぶ最悪度が高いぞ。侯爵よう。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇金を払えば女性も性欲を満たすことができる。これはある種の素晴らしいことではある。だが、客は己の快楽と、奇怪な嗜好や趣向の満足と、そして支払った金の元を取るために、従業員の肉体を蹂躙する。そういうものだ。売春宿経営者特有の発想と知見だ。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇…それを、厩戸御子にさせるというのだ。十二歳の子供に。鬼畜生か。そして、ムレーサエール侯爵は予想を超えてさらに鬼畜生だった。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇私は八歳の君を見初めた。君をわがものにしたかった。まさか、今日、こうなるとは。否。私達はこうなる運命にあったのだ。意外そうな厩戸御子に、ムレーサエール侯爵は教える。同性愛は自然界でもあることなのだよ。…俺は一体何を読んでいるのだ?— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇厩戸御子の中に、彼を攫って焼け死んだ中国の道士の呪いが眠っていた。それは本来、厩戸御子の中の三毒の癡、彼の「愚かさ」を肥大化させ、やがて自己破壊させるための罠だった。今やそれが、未知の男色への「好奇心」をもたらしている。…そう来たか。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇貪欲で見境なく嗜虐的攻撃的な性欲。しかし、背中がガラ空きの、滑稽なほどの無防備感を伴う性欲。恐ろしくも哀しくおかしい性欲。人妻や女盗賊と同種のそれを、ムレーサエール侯爵に見る厩戸御子。未知の男色に、好奇心で応じる。マジか!?— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇ムレーサエール侯爵は性豪であり、数多くの少年を導いてきた。しかし、厩戸御子は女盗賊に呵責のない性の捌け口にされ、しかも本人は学習能力が高く、そして若かった。ムレーサエール侯爵が、厩戸御子に、吞まれていく。唖然とするムレーサエール侯爵。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇快楽に溺れつつあるムレーサエール侯爵、愕然とする。自分には性豪としての沽券がある。(熟練と経験に立脚した自尊心と大人の余裕、分かるが、沽券とか言い出したら人としてダメ)遂に、己に禁じていた行為を行う。貫く!先に逝ってしまう。負け。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇目覚める厩戸御子。性欲について考える。性の時は、相手ではなく、自分の、否、性のことしか考えられない。性の自分と性でない自分が行き来する。性の自分でなくなるのは簡単だ。逝ったら戻る。性の自分になるのはどういう時か。そこが謎なんだよな…— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇ムレーサエール侯爵が、赤子のように寝ている。起きた。征服者の自分が、被征服者のように気絶していたことを愧じて、取り繕って大人の余裕めいたことを言う。みっともねえ。そういうのでないと楽しめないの、そういう類型の不幸せだと思いますよ。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇しかし、ムレーサエール侯爵、次の厩戸御子の言葉に、愕然とする。じゃ、もう一度。もう一度!?長い夜伽は、朝まで及び、昼まで及び、夕刻まで及び。ムレーサエール侯爵、厩戸御子をお披露目する。方針が変わった。私の上客(あいじん)である!— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇あの、すみません。俺は何を読んでいるのですか?この小説は全年齢ですよね?人妻との濡れた情事と、女盗賊に貪られる凌辱と、大人の余裕のある男性が余裕をなくす男色が、全年齢で?濃密な蓮華と菩提樹と蜂蜜の香りで、鼻の粘膜が焦げ付きそうだぜ…— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇あと男性器と括約筋と前立腺がシクシクと痛くなってきた(何の感想?)— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇愛人を囲うと、その愛人が浮気をしないかどうか気にするのは、囲った側のあるある話だ。ということで、ムレーサエール侯爵は厩戸御子に信頼できる家庭教師をたくさんつけた。これで浮気を防ぐという方針だ。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇厩戸御子は賢く、また未知の知識への関心も高い。仏教以外への宗教への関心もだ。博聞強記の十三歳に育った。もちろん夜はムレーサエール侯爵の相手をしている訳だが…— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇ムレーサエール侯爵は掘る側だけでなく、掘られる側まで始めた。そのうちバテてきて、愛妾たちに任せるようになった。昼の仕事に差しさわりが出て来た。愛妾たちも同じ有様だ。えらいことになってきた。もちろん厩戸御子を手放すつもりはさらさらない。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇本来、ムレーサエール侯爵の経営する売春宿の商品として考えていた厩戸御子を、客として連れて行く。これで厩戸御子の秘密は守れるし、彼の強すぎる好奇心と、それに支えられた超人的な性欲も、受け止められる。と、ムレーサエール侯爵は思っていた。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇…想像を絶することが起きた。ムレーサエール侯爵の経営する売春宿には、グレードがある。グレードについて知りたいという厩戸御子のために、一番低いグレードに連れて行った。醜怪な男娼も、老婆の如き娼婦も、全員、厩戸御子にドハマリしたのだ。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇さらに想像を絶することが起きた。今、好奇心の塊の厩戸御子は、「いろんな性を体験するために」自分が男娼となると言い出したのだ。…そう来たか。そう来るとはふつう思わんよ。マジかよ?!— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇安い売春宿は、たちの悪い客、かなり多いぞ。そして拒めない。ムレーサエール侯爵はやめさせたいが、厩戸御子は言う。そもそも侯爵は男娼として働かせるために少年を買って、それが自分だったのでは?…返す言葉がない。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇ムレーサエール侯爵、厩戸御子の売春宿での従業を認める。オイオイオイオイナアナアナアナアマ・ジ・か・よ(何度目かの「マジかよ」だ)— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇厩戸御子は、若すぎるのと、肌が白いという、デメリットともなりうる点を超え、研鑽を欠かさぬ技術で、男女問わず大人気となった。嫌な客もいたが、厩戸御子にとっては好奇心と快楽が勝った。中国の悪い道士の撒いた悪しき種が、妙な形で役に立っている…— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇厩戸御子の関心は、引き続き「性の快楽とは何か」だ。八正道の一、正見は、「予断なくちゃんと見る」だ。厩戸御子の観察眼は極めて鋭かった。性欲の核心はともかく、ある程度のパターンは掴めてきた。性に対する余裕が出てきた。…スゲーな十三歳。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇そのうち、逝った客の愚痴を聞くようになっていた。厩戸御子はびっくりした。ここ、仏典(しんけんぜみ)でやったところだ! 対処法まで書いてあった!仏典、スゲー! (そこでそういう感想になる厩戸御子も大概スゲーよ)— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇結果的に、厩戸御子は、悩み相談室みたいなことをやるようになっていた。確かにその目的だったら、仏教は極めて適している。だがなあ。ここは売春宿で、売春宿には悩み相談室みたいな側面は確かにあるが、売春をしなさい。宿の女主人は説教しに行くが…— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇売春宿の女主人、厩戸御子の性により骨抜きになる。上手い。上手すぎる。自分の身の上話を始め、厩戸御子に絆され、完全に帰依してしまう始末だ。このままではセックスカルト教祖だが、厩戸御子にはもちろんそんなつもりはない。これは修行だ。自分の。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇十四歳、性を膨大に体験し、客観視できるようになった厩戸御子は、ある結論に達した。性欲は人間の生き物としてのメカニズムである。取り外したり破壊したりできない。元から無理なことをしようとしていた、というべきだった。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇さらに、厩戸御子はこう思う。性欲がまずいのではなく、その結果、副作用として、性欲に溺れて転落するのがまずいのだ。客はそういう人達ばかりだった。だから。性欲に溺れず、制御する方法をやればいいのだ。それは取り外したり破壊したりとは違う。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇性欲は生き物の力であり、心の働きだ。性欲からシラフに返る修行は可能だ。自分の性欲のメカニズムは分かって来たからだ。逆に、シラフから性欲に返るのが難しい。どうしたもんかな。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇さて、久々に大旦那のムレーサエール侯爵が、客としてやってくる。お前、男娼ブッダって呼ばれているぞ。不思議な取り合わせだな。厩戸御子は言う。そうでもないですよ。ムレーサエール侯爵はぎょっとする。えー、お釈迦様と男娼って、だいぶ違くない?— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇ムレーサエール侯爵は、性において「選ぶ立場か選ばれる立場か、する立場かされる立場か」を重視する。もちろんふつうはそう。厩戸御子は違う見解だ。客の中には「したい」やつも「されたい」やつもいて、それぞれやりようがあったからだ。うおープロだ…— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇お釈迦様は王子の頃、やりまくっていた立場だ。男娼だってやりまくってる。「男娼はしたくてしてるわけじゃない」と言われるかも知れないが、外形的には区別できまい。ムレーサエール侯爵は、納得は行ってないが、反論しない。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇今回、厩戸御子が言いたいポイントはこうだ。性は相手が必要なことで、当然希少価値のある行為だ。上手く行かないことも多く、金で買ったり、力ずくで犯したりする。そこから得られる快楽も大きい。様々な意味で価値が高い。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇シッダールタ王子も男娼も、立場が大きく異なる。彼らにとって性は日常であった。だから、飽きる。とはいえ、体から来るものだ。飽きようにも飽きることは難しい。そういう代物だ。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇シッダールタ王子は四門出遊の際に、下々の者を見た。老いを、病を、死を見た。(きっと、残りの四苦八苦も見たのではないだろうか。愛別離苦も、求不得苦もだ。突き詰めると生苦、生き物としてのどうにもならなさ、ということになるだろう)— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇シッダールタは自分の性欲を、生き物としてのどうにもならなさを、「満たされつつも、嫌気も感じており、離れてメタ的に見ている」からこそ、「どうにかしよう」と思えた。どうにかするする方法を得るために、出家した。そういうことなのではないか。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇己の生き物としてのどうにもならなさをどうにかする方法に、一般論などない。個人の方法論は個人のものだ。個人の方法論として、各々が修行するしかないのだ。そして、己の生き物としてのどうにもならなさを、自らどうにかできたら、ブッダになれる…!— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇そして、厩戸御子は達していた。己の性をシラフにするのと同じように、己のシラフを性にすることに、ついに成功したのだ。それは、己の生き物としてのどうにもならなさを、自らどうにかできているのと、ほぼ同じことだ。それはすごい。本当にすごいよ…— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇お釈迦様個人は男性だ。己の生き物としてのどうにもならなさは、男性の性欲に関するところが大きかった。教義は男女共に汎用的だったが、「男性の性欲のどうにもならなさをどうにかする」方法は、男性にしか効果がない。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇女性の知りようがない部分についてもし論じたら、それはいんちきである。だからお釈迦様の方法論でそこが手薄なのは当たり前だ。(俺は詳しくないが、女性で、己のどうにもならなさについてどうにかした人はいたはずで、だとしたらその人は当然ブッダだ)— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇お釈迦様は、己の生き物としてのどうにもならなさをどうにかする方法論を、他人にも説明したかったはずだ。だが、そもそも上記の問題意識は万人が持つものだから一般化できるが、個人の方法論については当然ながら一般化できるものではない。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇だが、厩戸御子は出来た。お釈迦様と立場が同じだったからだ。性に明け暮れ、飽き、離れられないことも分かり、客観視し、よく見てきた。だから、悟った。そうだ。厩戸御子は、今やブッダとなったのだ!おおお。今までの話が、ここにつながるか…!— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇あの、本当に俺は一体何を読んでいるんだ?天才少年の成長物語から始まり、追放物になり、冒険物になり、ものすごい官能小説になり、『哀れなるものたち』になり、宗教小説になるの、何…!?すごい旅についてきちゃった、という得難い体験をしています。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇…んで、単なる宗教小説では終わらなかったんだな。己の生き物としてのどうにもならなさをどうにかした、ある意味"Fate"シリーズの殺生院キアラよりおっかない、マジのブッダになった厩戸御子に、ある者が近づく。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇厩戸御子が昔見たことのある、復古主義的小乗仏教セクト、トライローキヤム教団の僧、カウストゥバ。彼は、あの天才児の噂を聞き付け、会いに来たのだ。見て分かる。天才児はブッダとなったのだ。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇何しに来たのかって?トライローキヤム教団に参加して下さい!教団の強化と、真の仏教の復興のために!…久々にこれだよ。どいつもこいつも、その「野良天才児をチュルッと吸って大人たちの組織の養分にしたい」発想をやめろ。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇親族である崇仏派の蘇我も、排仏派の物部も、仏教が「本当は」どういうものなのか知りたがっている。だからこそ呉越同舟で自分をインドに送り込んだのだ。ブッダとなった、つまり仏教を体得した厩戸御子は、これを持ち帰るつもりだ。倭へ、帰るんですよ。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇トライローキヤム教団は厄介なやつらで、あちこちで軋轢を起こしている。復古主義的改革系新興宗教団体だからある意味当たり前だ。が、どうも妙な話がある。宗祖イタカ長老は「魔導師」と呼ばれているのだ。バラモン教徒ではないのに? 仏教徒なのに?— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇ムレーサエール侯爵は警備を増やすことを検討する。従者だった柚蔓は召集中、虎杖も捜索中だ。厩戸御子を、無事に倭に帰さねばならない。そう言って帰る。— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 #荒山徹 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇しかし、その夜。カウストゥバらが、売春宿に襲撃!従業員らを剣で殺生して回る!…マジかこの仏教僧侶。そして。厩戸御子、拉致!またか!下巻、『上宮聖徳法王誕生篇』へ続く!…風雲急を告げすぎる。俺は一体何を読んでいるんだ…(何度目だ)— 犬神工房 (@nokkaranoumu) August 31, 2024 荒山徹『神を統べる者』、今更だが、自ら望んで男娼となった厩戸御子、性病とか大丈夫だったのか?明らかな性病持ちは低グレード売春宿でもオーナーのムレーサエール侯爵の方針でふつうに出入り禁止になってたから感染の確率はやや低かったとかそういう?(妙なことに思い当たっていた)— 犬神工房 (@nokkaranoumu) September 18, 2024 あと、「今の自分のテーマが性なので男娼になる少年」、おそらくかなり珍しい動機だよな。「やれるからやってて乗り切れる」じゃなく「やったるで」というノリだ。俺、IT土方の昔も公僕の今も、なってからは真面目にやってたけど、なりたくてなった訳じゃない。厩戸御子、なんか…こう…スゲエな…— 犬神工房 (@nokkaranoumu) September 18, 2024 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! 応援下さいまして、誠に有難うございます! 皆様のご厚志・ご祝儀は、新しい記事や自作wikiや自作小説用のための、科学啓蒙書などの資料を購入する際に、大事に使わせて頂きます。 チップで応援する この記事が参加している募集 #読書感想文 219,858件 #小説 #読書 #読書感想文 #読書感想 #聖徳太子 #伝奇小説 #荒山徹 #時代伝奇小説 #神を統べる者 #覚醒ニルヴァーナ篇