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【ここ数年を振り返ってみた】仕入れのはなし

みなさん、こんにちは。
日々スペインから書籍を輸入して仕入れている私たちですが、今年の入荷はすべて無事に終わりました。
今後は年明け以降、一月下旬頃からまた入荷が始まる予定です。

綺麗な状態で届いた荷物

ところで、私が仕入れを担当するようになったのは2019年の夏前頃からですが、振り返ると、大変なことやハプニング、不思議なことや面白いこと、本当にいろいろなことがありました。ということで、真面目に(たまにおもしろく?)振り返ってみたいと思います。

最後には、おまけとして【仕入れで使うスペイン語】もまとめてみました。仕入れ担当になる前は知らなかった語彙がたくさんありましたね…日々仕事をしながら新しいスペイン語を勉強中です。


わたしの仕入れ年表

ではまず、私が仕入れを担当するようになってからの主な出来事を簡単にまとめてみました。

2019年夏~: たまにひどいダメージ品が来るがおおむね順調
2020年初頭: コロナウイルスの世界的流行
2021年初頭: 引き続きのコロナ禍
2022年初頭: ウクライナ紛争
2023年初頭: コロナ禍の名残+ウクライナ情勢で輸送コスト高止まり

あれ、落ち着いていた年って、もしかして2019年の夏から年明け過ぎまでの約半年だけ…?というのが上のまとめを見た感想です。

最も混乱した2020年

2020年初頭から始まったコロナ禍ですが、初期の頃の世界的な混乱によって、物流は未曾有の混乱状態でした。
スペイン含むヨーロッパ各地はロックダウンで外出禁止、旅客便が飛ばなくなり貨物輸送量が激減、さらに、日本でも緊急事態宣言により私たちは人生初の在宅勤務、そして店舗休業など…

3月に入荷予定の荷物は、何度も遅延を繰り返し4月末頃にようやく入荷することができました。
スペインの出版社、倉庫の人、フォワーダーの方々、本当に多くの人の協力があってこそできた入荷でした。感謝しかないです。

しかし、大きな会社で自社の輸送手段があるとか、お金を多く払うからとにかく早く荷物を運んでくれとか、私たちのような小さな書店はそのようなことはできないので、輸送費などの仕入れコストの高騰は大ダメージでした。

コロナ初期の混乱の中ようやく入荷した書籍たち

追い打ちをかけたアレ

この「アレ」とは何か予想がつくでしょうか?
コロナ禍が始まった2020年初頭、私たちにとって事態をさらに混乱させる出来事がありました。イギリスのEU離脱(ブレクジット)です。
実は当時利用していた輸送ルートが、「スペイン→イギリス→日本」だったんです。もちろんイギリスがEUを離脱することは知ってはいましたが、コロナの混乱の中、明確にいつだとか、具体的にどのような影響が輸送に出るかは、いざその時になってみないとわかりませんでした。
そしてブレクジット後にスペインへかけた発注の際、「もうイギリスに荷物を送ることはできない(関税の問題やら何やらで)ので、新しいルートを指示してくれ」でした。
この大混乱真っ只中に新しいルートを??と思ったのが正直な感想です。

幻のドイツ経由

新ルートといっても、スペインから出荷しやすいところ、ということでドイツ経由を選んだのですが、結果的に1回だけ仕入れて終わりました。
というのも、ドイツ経由の場合、荷物に添付する書類などの規定がとても細かく(イギリスでは求められなかったレベルで細かい)、スペインの出版社から「そこまではできない」と言われてしまい、諦めることに…

しかも、いろいろな方面からの協力を得て苦労して入荷させたその1回が、フランクフルトの空港で水濡れに遭っていて悲しい思いをしました。

2022年からの新たな不安

その後も、航空輸送手段の復活がなかなかなく、輸送コストは高止まり…となって、そろそろコロナ禍も落ち着いてきただろうか?というところでウクライナ戦争が勃発。ヨーロッパから日本へ飛ぶ最短ルートのロシア上空を飛べなくなったため、すべての輸送便が飛行ルートの変更を求められ、またまた大混乱。結果的に遠回りして飛ばなければならなくなったので、さらに輸送コストがかかり、限られた輸送ルートを巡って荷物は大渋滞。

しかもこの時期が繁忙期と重なってしまい、これまた本当にいろいろな方々の協力を得ながら、なんとか空いてるスペースに荷物を乗せてもらい入荷させることができました。

ようやく安定してきたかな

と、このような感じで自分が仕入れ担当になってから今に至るまで、本当にいろいろありました。試行錯誤しながらの時期が長かったですが、最近はようやく安定した仕入れルートを確保できたかな…と思っています。ただ、各地で起きる紛争など不安定要素も多々あり、世界情勢などの影響を直に受ける仕事だな、とも思います。

ちなみに、今でもダメージや水濡れは日常茶飯事です。空港や輸送関係のストライキに巻き込まれるのにももう慣れましたね。
箱がボロボロになっていて、紐を切った瞬間バラバラっと一枚の紙になって崩れてしまうものもよくあります(私はそのような箱を「前世が箱」と呼んでいます)。

ボッコボコで入荷した「前世が箱」

箱の外見も中身の書籍の状態についても、完璧な状態で入荷する方が珍しいのでは?と思います。

仕入れのおもしろ話

最後に、なんだか大変なことばかりを書いてしまいましたが、時には「なにこれ、笑」というような面白いこともたくさんあります。
ここではそのうちのいくつかを紹介するので、ぜひ一笑いしていってください。

■メガネのレンズが片方だけ入っていた
メガネ丸ごとではなく、レンズだけが入ってたんです。しかも片方だけ…どうやったらこんなことが起きるのか不思議です。

衝撃だったので写真を撮りました

■Pipas (ひまわりのタネ)の殻が入っていた
これスペインに行ったことのある人ならわかるかと思うのですが、向こうの人って結構ひまわりのタネ食べますよね。道に落ちている食べられた後の殻をよく目にしたことがあります。その殻がたくさん出てきました、笑 倉庫で誰かが箱の上で食べていたのでしょうか。

■一枚だけの緩衝材
本がダメージを受けないように緩衝材を入れて欲しいとお願いしたら、ダンボールと言えるかも怪しい破れた厚紙が一枚だけ入っていました、笑 これで何を守れると言うんですか?笑 というか、そもそも中身に対して箱が大きすぎませんか?!

え、これが緩衝材…?

■ほぼ世界一周した荷物
これはかなり最近ですが、スペイン→フランスの後に日本向けに送られるはずが、間違えてプエルトリコに運ばれ、プエルトリコ→アメリカ→日本というルートを辿った荷物です。すごい長旅ですよね、私がしたいくらいです。まあ、悲しいことに、中身は半分以上の書籍がダメージを受けていましたが…

おわりに

振り返ってみると、ハプニングやら面白いことやら、毎回本当にいろいろあるな、と改めて思いました。
ちなみに私の先輩が過去に仕入れを担当していた時も、相当色々なことがあったようなので、それはまた別で書きたいと思います…笑

とにかく、仕入れ担当になって実感したことは、一回の仕入れというのは、出版社の担当者、倉庫の人、空港や輸送のオペレーションをしてくれる人、日本に届いてから弊社まで運んでくれる人、と、本当に多くの人の協力を得て成り立っているということでした。

ということで、仕入れのはなしでした。スペインから1冊の本が届くまでに、どのようなことがあるかが伝わったでしょうか?
もしその本がシワや折れのない美品なら、それって結構すごいことなのかもしれません。

おまけ 仕入れで使うスペイン語

・enviar: 発送する 
▶expedir, despachar, mandar も使えます
・recoger: 集荷する
・entregar: 輸送業者に荷物を引き渡す
・el almacén: 倉庫
・la mercancía: 荷物
・el cartón: 箱
・la proforma: 見積書
・la factura: 請求書
▶ emitir una proforma / factura 見積 / 請求書を発行する
・el albarán: 納品書
・la etiqueta: 荷物に貼るラベル
・la cotización: 見積をすること
・los gastos de envío: 送料
・el / la transportista: 配送業者
・la aduana: 税関


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