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古代ギリシャ以来の変革の時が今らしい〜『デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 :「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』〜【9月実用書チャレンジ19】

さて。
本日で9月実用書チャレンジ最後です。今日は『デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 :「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』を取り上げます。

本書は今月のチャレンジで3日に分けて読んだ『プルーストとイカ』の続編です。

人はどうやって字を読む能力を手に入れ使いこなしているのか、が書かれていたのが前著でしたが、本書ではまさに今私たちが直面しているデジタル時代の読み方についての考察が書かれている本です。

「スマホは脳にとって害だ」とデジタル絶対反対でもなく、「紙の本でなければならない」とアナログ至上主義でもなく、デジタルの情報を読む脳と紙の情報を読む脳の中でよい点、悪い点を比較検討しているところが本書の素晴らしいところだと思います。その両方をうまく使える「バイリテラシー脳」こそ、将来に必要になるものだ、と。

リテラシーとは、読み書き能力のこと。ちょうどバイリンガルが2つの言語間を自在に往き来して2つの言語で深い思考を可能とするのと同じように、デジタルでも紙でも同じように読み書き能力を持つことが、著者のいう「バイリテラシー脳」です。

現代の人間はさまざまなデジタル性の刺激にさらされています。「新奇性バイアス」という性質により、新しいものを発見するとそこに注意を向けずにはいられないのが私たち人間です。スマホの通知に注意が向くのは当然のことなのですね。そのような状況下で注意力の持続時間も明らかに短くなっているそうです。

それにデジタルの時代では記憶の使い方も変わってきています。昔なら頭で覚えていたものが、今は外部記憶として頭の外で保存する手段がいろいろあるため、通常使っている作業記憶の領域にも変化が起こり、さらに脳内で保存する長期記憶の形も変容している、というのです。

浅く、広く、断片的にデジタルで見聞きしていくことは日常の読み方においては何ら問題はないのですが、そうではない読み方、つまり紙で、しかも深い思考を要求される本を読むような読書にまでデジタルの読み方が浸透していき、総合的に読むスタイルに変化が起きているのです。

今こそ、「かなめの時」なのです。新しい形式の「コミュニケーション」「認知」「選択」に向かっている途中だと著者は言います。そのような変革の時にいる、という自覚なしにデジタルに適応していくと、深く考え内省する能力をどんどん失ってしまうのではないか、と。

確かにその通りだと私も思うのです。自分は物語が大好きで深く没入できるストーリーがあれば幸せだ、と思っている一方、どうしても活字で楽しめず、マンガを読んだり、ネットサーフィンで時を過ごしてしまうことがよくあります。マンガもネットサーフィンも悪くはないけど、もっと時間を有効に本を読んで過ごしたいのに物語でさえ読めない時がある。これは著者の言う通り、深い思考を必要とする読書にもデジタルの影響が押し寄せているということではないか、と思いました。

「本好き」など自称している場合ではありません! 実はその中身は本好きから遠く離れてしまっているのかもしれません。昨日読んだ加藤俊徳先生の本にもあるように、もっと脳をファイアリングさせなくてはいけませんね。

さあ、これで「9月実用書チャレンジ」3週間は終了です。
これで8月、9月と21x2で42日間投稿することができました。来週は本のチャレンジ投稿はお休みにして、またその後に新しいチャレンジをはじめたいと思います。お読みいただいたみなさま、ありがとうございました。

昨日のチャレンジは、コチラ↓↓↓

9月実用書チャレンジをまとめたマガジンは、コチラ↓↓↓

夏休み新書チャレンジをまとめたマガジンは、コチラ↓↓↓



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