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経営者の頭の中を覗いてみよう

「管理者」が経営者に対して抱いている悩みを先ず紹介します。

「経営者が何を考えているのか分らない」、「経営者とのコミュニケーションが上手く行かない」、「経営者と考え方を共有できれば、もっと高いレベルで管理力を発揮できる」などです。これらの悩みが示すとおり、経営者と管理者の間には両者を隔てる壁が存在します。皆さんが活躍すればするほど、この壁を強く感じるようになり、悩みを一層深くします。

何故、壁が存在するのでしょうか。その必然性はどこにあるのでしょうか。管理者は、この壁の存在を前提として、経営者とどのように向き合えば良いのでしょうか。

この問に答えるために経営者の頭の中を先ず覗いてみましょう。
当然のことですが、彼らの頭の中核にあるものとは、「会社の目的を如何に達成するか」です。この中身についてはQ&A形式で見て行きましょう。

Q&A形式で覗く「経営者の頭の中」

Q1. 経営者にとって「会社の目的」とは何でしょう?

「持続的成長」を遂げることです。「持続的成長」とは、会社が生存条件成長条件を満たしながら運営され、永続的に発展することです。

Q2. では、会社の「生存条件」と「成長条件」とは何でしょう?

会社の生存条件とは、プラスの利益を計上することです。赤字会社は生存できません。では、成長条件とは何でしょう。実は、この条件もプラスの利益を計上することです。利益を計上できない会社は、赤字打開策やコスト削減策など後ろ向きの施策に追われ、成長への取組みが出来ません。このような会社には、良質な経営資源(優秀な人材、潤沢な資金、有益な情報など)も集まりません。
他方、利益をしっかりと計上している会社には経営資源が自ずと蓄積し、成長に向けた取組が促進されます。

会社が「持続的成長」を達成する上で「”利益”は実に尊い」のです。利益は生存条件であると同時に成長条件なのです。この点をしっかりと認識して下さい。

Q3. それでは、尊い「利益」をどのように確保すれば良いのでしょうか?

このために経営者と管理者に別々の役割があるのです。

会社では、中長期的に取組むべきビジネスモデルを先ず決定し、これに取組むとともに、その成果を踏まえて当モデルの改定や更新を行います。この良し悪しが会社の利益の大枠を決定します。この役割を担うのが経営者です。

これに対して、管理者はビジネスモデルの実際の展開を担います。期毎に配分される目標に対して、付与された経営資源を活用してPDCAを回し、期毎の「尊い利益」を実現します。

経営者は「会社目的の達成、そのための中長期的な方向付け」を担い、管理者は「期毎の目標達成、足もとの利益実現」を担います。会社は、このような2層構造で運営されることによって「持続的成長」を確保しているのです。

Q4. 2層構造になる必然性はどこにあるのでしょう?

取り扱う情報やその処理が違うため、両者を同一に扱うことができないのです。
具体的に経営者は、現ビジネスモデルがもたらす利益が、今後拡大するのか、縮小するのかに重大な関心があります。このため、経済や市場の動勢、商品・サービスのライフサイクル、競合状況といった「外部情報」のチェックが欠かせません。
例えば、人口が増加(減少)している地域では、これに呼応して売上高(→利益)の増加(減少)が見込まれます。商品・サービスが普及期にあるのか、成熟期にあるのか、つまり、ライフサイクルのステージによっても、売上高(→利益)は大きく影響を受けます。他社との競合の度合いが厳しいのか、緩やかなのかによっても同様なことが起きます。このような中で、経営者は、売上高の増勢が見込まれれば、これに対応して生産設備の拡充や拠点進出を検討します。一方、売上高の減少が見込まれれば、コスト削減策の実施やビジネスの売却や合併の推進、新ビジネスモデルの開発を検討します。経営者は専ら外部情報に着目して、ビジネスモデルを評価し、持続的成長のための方策を考えています。
一方、管理者は、現ビジネスモデルのもとで与えられた経営資源を有効活用することによって、足もとの利益を確保し実現します。つまり、与えられた経営資源という内部情報の評価とその活用が主たる役割です。

以上の通り、経営者と管理者との間には明確な役割分担があり、これが壁を作っています。このもとで、管理者は経営者とどのように向き合えば良いのでしょうか。

皆さんが自分の役割について、「チーム目標を達成できればそれで良い」と考えているのであれば、先ず発想の転換が必要です。管理者であっても、現ビジネスモデルの有効性、収益性に関心を持つ。これが経営者と向き合うための第一歩です。

管理者の皆さんは、PDCAを回す中で、「担当地域の経済・市場情報」、「競合他社情報」、「お客様の商品・サービス評価情報(ライフステージ情報)」を沢山得ています。これらの情報を経営者にしっかりと連携し、一緒になって、現ビジネスモデルの有効性・収益性について議論して下さい。これで経営と現場が繋がります。この結果、皆さんは、経営への貢献はもちろんのこと、これまでにない成長実感を味わうことになります。

ご参考:インソースの関連研修

以上、経験豊富な元メガバンク経営企画部長のエグゼクティブ・アドバイザーが語る、「経営者の頭の中を覗いてみよう」のお話でした。

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それでは本日も最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。

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