【人材育成】~指示待ち部下を育てるリーダーの在り方〜自律型人財へ
「人の可能性を最大限に開くこと」と同時に、「人と組織の可能性をひらく」ことにも携わっています。今回は、組織の中で、リーダーや組織が持つ悩み「指示待ち部下」に関してです。
「次は何をしたらよいでしょうか?」
これは、自分が上司になったらよくされる質問のひとつではないでしょうか?
「部下が自分で考えて動かない」
「メンバーに手取り足取り指導しないとダメなのか……」と、
部下の「指示待ち」状態を嘆くリーダーは少なくありません。
でも、指示待ちになってしまっている部下の原因はリーダーや組織にあると考えたことはあるでしょうか?リーダーの対応や組織環境を整えるだけで、状況が好転したケースが多くみられます。今回は、リーダーに焦点を当てて問題の解決口を見ていきましょう!
■部下だけの問題じゃない
部下に、「なぜ、考えて自分でやらないの?」「もっと自分で考えて仕事をして!」と言ったことはありませんか?
上司の立場としては、部下が「指示をいつも待つのではなく、自分事として気がつき、どうなったら成果がでるかも自分で考えて、自発的に行動して欲しい」のですが、部下が、その期待に応えてくれないとの悩みから、この言葉になっています。
でも、なかなか期待通りにならないのが本音。でも、自分が部下だった時のことを覚えていますか?部下の立場では、上司は「なにを考えているかわからない」「指示が明確ではない」経験が少ないゆえ、「考えるための情報も少ない」「新入社員の時から指示通りしろと言われてきたし」「失敗したら怒られるし」など、部下も悩みを抱えています。
■リーダーの対応や仕組みを変えてみる
リーダー自身も仕事を抱え、自分もキャパシティがいっぱいの時に、「次何をすればいいですか?」と手が開くたびに、部下が聞いてきたりすることはないでしょうか。
「なぜ、やっていないの?」と聞いても「そんな指示は受けていないので」という返答。なぜ、この返答がかえってくるか考えてみると、実は、先に述べたような理由もありますが、
①いままでの仕事のやり方が”指示を待つのが当たり前”の環境になってしまっている。
②環境の中でミスが許されない環境
③コミニュケーション不足
というのが、かなり大きな要因としてあげられます。
部下に対して「どうしてやっていないの!」「自分で考えてやって」と言葉をぶつけても不満を募らせるだけ。指示待ちが当たり前になっている部下を自律型へと成長してもらうため、”こういうリーダー像なら自律型に導いていける”というのを参考にしてみてください。
①部下に小さな成功体験を与えるリーダー
部下の行動にひとつひとつに口出ししない
「指示待ち部下」の原因は、いろいろあります。なんでも指示を求めてくるのは、部下の能力やスキルが要因でなく、これまで働き始めてからの組織の環境が理由にあります。それは応じて上司が細かいことに対して、指示を出してきたからというのが要因です。
あるいは部下が何か自分の判断で仕事をしようとしたときに「上司の言うことを聞いておけ」と部下に判断をさせなかったり、本人の意志を押さえつけてきたケースも、指示待ち部下を生み出す原因になります。
なぜなら、仕事の過程や経過の細部に至るまで上司が指示をするのが当たり前になっていると、部下は考えることをやめてしまいます。仮に良い結果が出なくても「上司の指示通りに動いたんだから、良い結果が出なかったのは自分のせいではなくて上司の責任だろう」と考えるのです。
結果を評価する
部下の指示待ちグセをなくすには、上司の指示ではなく、自分で目標を達成する経験を部下に重ねてもらうしかありません。
そのために上司は求める結果やゴールを明確に示したうえで、仕事の過程に口を出さず、「結果のみ」の評価をする。ということ繰り返すのです。
そうすることで、部下は自分の行動や成果に責任を持つようになり、思考、行動も変わっていきます。その中で成果がでれば、本人の自身にもなりますし、成長も感じられ、さらにやる気にもなっていくのではないでしょうか。
②部下との協力を重視するリーダー
この接し方は女性の上司の方が得意と持論を持っていますが…
部下との接し方で「ああしろこうしろ」という細かい指示を出すのではなく、一個人として部下を尊重し関わっていきます。互いにディスカッションや、協力しあったり、自律性を促進させるように仕事に関わってもらい、経験を積んでいくようにします。
例えば、プロジェクトには多くのステップを踏んだり、社内、社外からも協力を得る必要がありますが、気づき、発見、意見、総合的な決定(意見)、協力などを積極的にリーダーと部下が共有し、協力しながら進めていくのです。
統合的、最終的な決定はリーダーが責任を取りますが、独断で決めるのでなく部下・チームの意見もしっかりと聞くのです。リーダーはグイグイ引っ張るのではなく、協力を部下に求める、そのために環境を整える役割を担います。
このようなリーダーの下で仕事をするには、部下自身も考えて行動する必要があり、自分でも考えるようになり、不必要な指示を仰いだり、指示を待って何も仕事をしなかったりする…ということも減っていくでしょう。
③成長度によって接し方を変えるリーダー
今まで”指示を出さずに部下は自分で考えて行動するように、自然に向かわせる”そんなリーダー像を見てきました。しかし、実際、指示がなければ何もできない時期が誰しもあるという状況を見てきました。その場合は行動科学者であり、起業家でもあったポール・ハーシィらが1969年に提唱した「SL理論」がとても役に立ちます。簡潔に書くとこれは、
・部下の成熟度によって、リーダーシップスタイルを変化させる。
この理論の「SL」は”Situational Leadership”を指していて、状況にあったリーダーシップを発揮させることを説いています。
例えば、まだ新人であったり、成長していない部下には、教示的なリーダーシップスタイルをとり、指示を多く出すようにします。
一方、成長が進み、自分で考えたり、ある程度自分で実行できる部下には、指示をあまり出さないで、部下へ仕事を任せるスタイルを取ります。
この理論で大切なポイントは、部下の成長の度合いを見誤らないことです。
例えば、実際は、仕事に対する成長が進んでいて、部下本人もそう認識しているにもかかわらず、上司がいつまでも部下が”出来ない。成長していない。成熟度が低い。”と判断し、そのまま変わらずに細かい指示を出し続けてしまうことで、部下はやる気がそがれ、それ以上成長しなくなってしまう。
そんなことがよくあるのです。人は自身の成長は常に求めているもの。上司は部下ひとりひとりの成長にも目を配らせることです。部下に対して偏った見方やとらえ方に陥っているなと思う節があるなら、第3者の視点を入れるのもいいでしょう。
■まとめ
指示待ちで部下が動かない。という組織は意外に聞くものですが、リーダー、上司の対応の仕方、職場の環境の変化で変わるものです。
私自身も部下であった時、上司・リーダーになった時両方を経験しましたが、部下の時には、成長に合わせて、だんだん大きな仕事や責任を任せてもらえて、うれしかったし、それに答えたいと思いました。
また、仕事への責任感もどんどん増していったものでした。
上司になってからは、プロジェクトの目標、ビジョン、情報の共有、仕事を任せていくことで問題や課題を超えていく部下を非常に頼もしく思ったものでした。
ただ、指示さえだしていればいいのは、よい組織を作っていくこと、よい仕事をしていくこと、よい人財として成長してもらうことは出来ません。
自律型の人財への成長は、組織、リーダーや管理職の方のあり方、導き方で変わってきます。これから、3か月後、半年後、1年後、どのように大きく成長してくれるか楽しみですね。
ここに書いた3つのリーダーシップの取り方をぜひ、参考にしていただきたいと思います。
※SL理論に合わせて具体的なマネジメントの方法を詳細に説明している情報源も多くありますので参考にされてみるのもいいでしょう。