試練だった魔法の国を一番楽しんでいたのは私だった
我が家の年に一度のビッグイベント。
昨年は次男の誕生もあり、2年ぶりとなったが、家族7人で初めてのディズニーランド。
子どもたちが小さい頃は本当に大変だった。
喉渇いた、お腹空いた、トイレ行きたい、あれ乗りたい、これ欲しい……。誰かをなだめると、誰かがまた泣き出す。
私たち夫婦は、子どもたちの魔法が溶けないよう奔走するマネージャーだ。
誰かが体験できないアトラクションがあると、奥さんとスイッチで乗ったり、どちらかがパレード待ちをしたり、魔法の国で無駄な時間を過ごすことは許されない。
朝から晩まで駆け回る私の癒しは、カリブの海賊とイッツアスモールワールドだった。
特にカリブの海賊は、最初の急降下が終わると、心地よい船の揺れに身を任せ、陽気な音楽と暗闇に包まれながら、そっと瞼をとじることができる。
ここで体力を回復させて、夜のパレードまでの力を蓄えるのだ。魔法の国で過ごす時間は、自分との闘いでもあった。
今年は過去最大の人数。しかも赤ちゃん連れ。
どうなることやら。。
高1長女、中2次女、中1長男、小1三女、0歳次男と、子どもたちの年齢もバラバラでやりたい事・体験できることに違いがある為、ある程度回ったら、上の子たちは自由にさせてあげようと思っていた。
朝8時00分に入園し、美女と野獣・ベイマックスの新エリアを攻める。
0歳次男の初アトラクション。目をテンにして静かに美女と野獣のダンスを追いかけている。思わずホっと胸をなでおろす。
日ごろから刺激の多い家で本当に良かった。。
中1長男が昔から大好きだったベイマックス。思春期なんてどこにやら。ダンス踊りながらめっちゃ楽しんでる。まだまだかわいいものだ。
「次どこにいく?みんな好きな場所に行っていいよ」と伝えると……
「ガジェット行こうか?」
ガジェットとは、子ども向けのミニコースターだ。子供向けの乗り物がたくさんあるトゥーンタウンに行こうと長女が、三女に声をかけてくれた。
えっ!それでいいの?
伝える間もなく、三女が「いく!!」と長女と手をつなぎ、次女も長男も御意って感じで身体を弾ませ、私たちの前を歩いていく。
「優しい兄弟だね……」
「本当にね……」
子どもたちの成長を感じながら、奥さんと子どもたちの後ろを早足で追いかける。
トゥーンタウンを一通り満喫して、いつもなら休憩ポイントのイッツアスモールワールドへ。
子どもたちのおかげで疲れは微塵もなく、瞼を閉じている暇なんてない。
軽快なリズムに身体を揺らしながら、0歳次男を見守っていた。
ぽぉーっとした表情で、自分の身体より一回り大きく、クルクル舞い踊る子どもたちを、じぃーっと見つめている。
と思っていたら、急に次男が前のめりになった。
なに??
最近覚えたばかりの彼にできる唯一の芸。こんなところで披露してくれるのだからビックラこいた。
なんつうタイミングで成長見せてくれるねん、次男よ。こんな横顔見せられたら、涙出てくるやんけ。
イッツアスモールワールドは、まったく見られなかったけど、そのタイトル通り世界一幸せな船旅になった。
その後も家族みんなで行動を共にして、別行動はビックサンダーマウンテンだけ。
「きっと大丈夫だよ!」
「行ってみる?」
みんなで三女も連れていってくれた。
その間に奥さんはベビーセンターへ。オムツを替えたり、食事をあげたりと次男も負担なくパークをまわることができた。
そして、いつもありがたいなと思うのが、魔法の国の子ども連れに対する優しさ。ベビーセンターでは、キャストからこんなものをもらった。
動き回ったからボロボロになってしまったが、こういった気遣いがたまらない。
ビックサンダーマウンテンから戻ってきた子どもたち。途中でリタイアするんじゃないかと心配していた三女が、顔を上気させ「楽しかったぁ〜」と帰ってきた。
家族みんなで楽しみたい、家族で過ごす時間を大切にしたいという子どもたちの想いが伝わってきて、顔がクシャクシャになって、汗だかなんだかもうわからなくなった。
昔は、私にとって試練だった魔法の国。子どもたちの魔法のおかげで、今日は私が一番楽しんでいたはずだ。
数日後、三女の絵日記には、魔法の国での楽しい思い出が描かれていた。
2人だけかーーーーい!!
でも姉ちゃんに手を繋いでもらったディズニーが本当に楽しかったのだろう。
来年はどんな絵になるのだろうか。
みんな描いてくれよな。