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藍と暮らす

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藍に携わることで感じたことをまとめています。
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第4回本建て正藍染展「藍であたたまる」がすごかった

第4回本建て正藍染展「藍であたたまる」がすごかった

 無事にというか大盛況のうちに、第4回本建て正藍染展「藍であたたまる」が終了しました。お運びいただいた皆様、遠くから声援を送ってくださった皆様、本当にありがとうございました。この展示会の主催者メンバーなので、自画自賛みたいになりますが、言わせていただきたいです。今回は色々本当にすごかった。

出展者のアイテムがすごかった  回を重ねるごとに、出品アイテムのバリエーションが豊富になっています。今回は

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久留米絣と松枝家 福岡県立美術館

久留米絣と松枝家 福岡県立美術館

 今年は久留米絣ファンにとって充実の年ですね。
 久留米市美術館で開催された「藍のものがたり」のバトンを受けるようにして、福岡県立美術館で始まったこちらの「久留米絣と松枝家」。
 久留米絣の世界では知らぬ人のいない松枝家の皆さんの作品を、ご家族の歴史と共に体感することのできる内容となっています。これだけ大規模に松枝家を特集する展示は初の試みとのこと。松枝家のみならず、久留米絣を牽引されてきた松枝哲

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第4回 本建て正藍染展のご案内

第4回 本建て正藍染展のご案内

 藍染仲間と開催してきた本建て正藍染展が第4回目を迎えます。今回のテーマは藍染ではちょっと変わり種かもしれません。

 「あたたまる」藍染グッズを特集した展示販売会となります。全シーズン通してお使いいただけるアイテムも、もちろんあります。
 そして今回は販売アイテムだけではなく、貴重な作品をお借りして「特別展示」も行います。とても興味深い作品ですので、ぜひチェックしていただきたいです。
 今回の参

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藍のものがたり 久留米市美術館

藍のものがたり 久留米市美術館

 久留米絣の故郷で現在開催中の展覧会です。とても充実している展示が、3会期に分けて展示替えされるそうなので、繰り返し訪れたいと思っている展覧会です。と書き始めたのが8月で、今はもう9月下旬…既に最後の3期目に突入してしまっております。お知らせが遅くなってしまいました。

様々な藍染 会場内には、久留米絣はもちろん、絞り染、型染、筒描、長板中形、籠染、注染と様々な技法で染め上げられた作品が集められて

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東武宇都宮栃木市役所店 正藍染展

東武宇都宮栃木市役所店 正藍染展

 実は、9月5日(木)から東武宇都宮栃木市役所展の中央通路で正藍染展が始まっています。10日(火)まで開催中です。
 今回私はフロアに立つ日は無いのですが、既刊の藍関連書籍と藍墨「藍晶」、藍配合の化粧石鹸を出品しています。会場でのメインはもちろん正藍染の作品で、各地で正直な藍色を醸し続けている仲間たちのバリエーション豊かなアイテムが展開されています。

 会場の営業時間は午前10時から最終日以外は

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藍(タデアイ)叩き染めのポイント

藍(タデアイ)叩き染めのポイント

 タデアイを栽培したことのある人の多くが楽しまれてきた叩き染め。今回は「できるだけ葉の形と色をクリアに染めるためのポイント」をまとめてみます。
 叩き染めはシンプルな作業で大きな失敗の起こりにくい染め方だから、子どもの夏休みの自由研究に活用されているご家庭も多い印象です。キレイに仕上げて長く楽しめる作品に仕上げましょう。

よく染まる葉の選びかた 元気にピンとしている状態の葉を摘み取ることはとても

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タデアイの生葉で遊ぶなら今!

タデアイの生葉で遊ぶなら今!

 いい季節になりました。すごく暑いですが、タデアイの生葉で遊べるいいシーズンです。
 生葉染め・叩き染めは、日光をたっぷり浴び続けた今の季節の肉厚な葉で行うと、とても楽しめます。また、自然乾燥葉とレンジ乾燥葉を作り溜めるのも今がいいですね。

 このところ毎日タデアイを収穫して、次の本のための実験・検証・記録を続けています。今回の本では、タデアイを使った家庭で楽しめる染色と美容アイテムとしての応用

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万祝博覧会 〜海をまとう〜

万祝博覧会 〜海をまとう〜

 夏の明るい陽射しに似合いそうな、景気の良い博覧会のご案内です。パッと心が晴れるような展示の数々に触れられること、とても楽しみです。

漁師の晴れ着 万祝(まいわい) 南房総の漁村が発祥と伝えられている万祝(まいわい)。江戸時代、青森から静岡の漁村に広がった漁師の晴れ着で、藍染の地に縁起物の図案を鮮やかな型染めで染め抜かれた晴れやかな装束です。
 実は私は、つい最近この万祝を知りました。この度の千

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まぎらわしい藍 ー天然か合成かー

まぎらわしい藍 ー天然か合成かー

 関係者も愛好家もモヤモヤし続けている「藍染の品質表示がまぎらわしい件」について、あえて「どれくらいまぎらわしいことになっているのか」整理してみようと思います。割と根深いです。
 なんでまたそんなまぎらわしいところへ潜るのか。まぎらわしくないことを目指すにはどうしたらいいのかを考えるためです。重めの記事になると思います。もう書き始めている今の段階で気分が重いですが、一歩ずつというか一言ずつまいりま

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藍染めで儲けられるか?食べていけるか?3

藍染めで儲けられるか?食べていけるか?3

 毎回不完全燃焼に終わるこのタイトルで、しつこく3回目の更新です。前回の2から1年半以上経過し、その間に展開した諸々の取り組みの中で多少アップデートしたことがあるので、そこを踏まえて記録したいと思います。
 が、今までより突っ込んだ内容になるので、今回は有料マガジンに投げ込むことにします。藍染に真摯に向かい合っている人、向かい合おうとしている人に呼びかけもあります。つまり、ここにきて初めて、ちょっ

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明治期、阿波藍ギルド崩壊の意味 (2)

明治期、阿波藍ギルド崩壊の意味 (2)

 明治維新前後の大きな社会変革の中で、一大ギルドを形成していた阿波藍業界にも、輸入もののインド藍やそれに対抗しようとする国産沈殿藍製造工場設立の動きで混乱期が訪れました。
 本来なら手を携えあって輸入ものの藍染料と立ち向かいたい阿波藍ギルドと国産沈殿藍一派ですが、理想的な活動にはなかなか結び付かなかったようです。

国産沈殿藍工場と阿波藍商の対立 明治期、阿波藍ギルド崩壊の意味(1)では、大阪に沈

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忌部藍集中講座

忌部藍集中講座

 3年前から毎年夏に私たちの藍農園で開催しているクローズドの講習会です。メインは「ちょっと神経質で失敗しにくい沈殿藍の作り方実習」。作業の進行に合わせて座学もあり、阿波忌部と藍についての歴史の話、藍が発色する仕組みとタデアイの特徴についての話、その他藍染に関連するさまざまな調査結果からのトピックなどをお話ししています。

 沈殿藍が沈殿するのを待つ間に、関連する場所をいくつか見学に行くこともしてい

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正藍染展「植物の色を纏う」

正藍染展「植物の色を纏う」

 突然ですが、明日から始まるイベントのお知らせです。明日からです。←2度言う
 会場は福岡県福岡市のアクロス福岡 1階 匠ギャラリー(ギャラリー1)です。建物内にはこんな素敵なポスターが掲示されておりますので、目印になさってくださいませ。

 今回の展示は藍染だけでなく、草木染めの作品もラインナップされていて、色合わせを楽しめる内容になっています。出展しているのは、同じ師匠に藍染を教わった4名の仲

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藍を「木」としたときの「森」って…

藍を「木」としたときの「森」って…

 今日は徒然と、藍関連の調査を続ける中で感じたことを書きます。
 藍染に関連したテーマを設定してこまごまと調査を続けていますが、だんだん「藍染」という枠に付随して、もっと大きなテーマがその根底にあるのではないかという実感が深まってきました。
 つまり、「藍」というテーマを「木」に例えると、その木の生きている「森」が周辺に存在しており、その森のありようや成り立ちなどが、「藍」という「木」の存在と密接

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