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【探究モードへの挑戦】 書評#31

みなさん、いつもお世話になっております!
本日も、私の投稿の軸とする一つ「本」に関する第31弾を書かせていただきます。

自己紹介に書いたマイルールを守りながら、私の大好きな本について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!

本書は、かなりわかりやすくマイルドに書かれていますが、いわゆる学術書に分類されてもおかしくないのかぁという感じのものです。

そんな作品ですが、とても学びが多かったので書いてみたいと思います。

ちなみに、今回から基本情報にページ数と読了までの所要日数を書き始めました。今回は、結構時間がかかりましたね。。。

※書影(画像)は、版元ドットコム様から頂戴しています。ありがとうございます!


基本情報

田村学・佐藤真久(編集)
人言洞 出版
2022年9月15日 第1刷発行

全268ページ
読書所要期間8日

私が本書に出会うきっかけ

本書は、「探究」について少し学んでみようと思い読むことにしたもの。

子どもだろうが、大人がろうが、より良い人生を生きるためには重要な概念ではないかと思ったので、少し認識を深めたかった。

本書にであって、本当に良かったと思っている。

この本の本質・言いたいこと

本書の副題が
「高度化・自立化をめざす SDGs時代の人づくり」
とある。

SDGsと探究がどう結びつくのか、タイトルがとても興味深かった。
ここが本書の本質だろうと思って読み進めた。

本書では、『VUCA』がとにかくたくさん出てくる。
VUCAとは、変動性・不確実性・曖昧性・複雑性の頭文字を取っているのだが、従来のような右肩上がり・前ならえ的な状況とは明らかに異なる不安定な現代社会のあり様を表した言葉である。

不安定な時代(VUCA社会)にありながら、同時並行で持続可能な開発が目標とされる社会(SDGs時代)前向きに過ごすため・これに立ち向かうために『探究』が必要だということが本書の結論なんだと私は考えている。

その上で、『探究』とは何か?

これを考える時、無理やり端的に表現したとして、次のようなことが示されている。

「実社会で活用できる資質・能力を学習するための活動」
であり、この資質・能力には次の3つが柱として挙げられている。
・知識及び技能
・思考力、判断力、表現力など
・学びに向かう力、人間性など

『探究』=これ!
と簡単に説明してしまうと、人それぞれ解釈が異なる場合が想定される。
現にそうであると感じる場面が多いのだが、だからこそあえて端的に表現することを避けて説明を試みようとするのが本書であると感じている。

章ごとの概要やポイント

ここでは、章ごとにポイントを整理してみたいと思って読み進めていた。
ところがなんとっ!!
終章で各章の要点が整理されていることが、終章に到達した時点で判明(汗

そこで、終章でのまとめにあることと被らないよう、私の興味関心を持ったことも踏まえながら、私なりの視点で整理することを試みたい。

序章

現在の社会の状況について、主にSDGs時代としての意味合いを中心に説明している。

第1章

「探究」とは?というパート。
探究の必要性についても言及している。

第2章

学習指導要領の変遷から見える社会像と、それに対応した学びのあり方が説明される。
その上で、探究を実現させるための必要条件が提示される。

P98あたりで、「学校の専売特許」としての教育という考え方からの脱却が指摘されていることが、私にとっては斬新というか、最も納得のいく部分であった。

第3章

教育が変わっていったとき、社会はどうなっていくのか?
そもそも変わらなければならないのか?
変わるとすれば、そこに探究の力が必要なのか?

こういったことが、社会の中での学校の視点で述べられている。

本書は各章それぞれで執筆者が異なるのだが、本章は浅野大介氏。
以前に「教室DXで「未来の教室」をつくろう」という同氏の本を読んだことがあった。

私は、同氏の考え方がとても好きで、しかも文章が非常にわかりやすく、最も楽しい章だったかもしれない。
「教育=ゲーム・チェンジャー」という考え方がとても面白かった!!
また、「ダイナミックな無風状態」という考え方も興味深い!!

第4章

社会に求められる学びの姿からみる持続可能な地域づくりの展望が示されている。

P154では、ソーシャル・キャピタルを活用した地域内におけるコミュニティで行われるコミュニケーションを「学び」と捉えていることが興味深い!

私が住んでいる田舎で、田舎というスケールメリットを活かした活動ができないかと考えさせられた。

ソーシャル・キャピタルについては、#27で読んだことが活きた。
こういったつながりが生まれるのが読書の醍醐味である!

第5章

「探究とは?」
これをOECD各国と日本とで比較するパート。
冒頭も書いたが、実は各国間で共通点があるようでないような、非常に曖昧で人によって、国によって解釈が異なっている実態を掴むことができる。

最も興味深かったのは、シンガポールのTLLM(P194)。
教育課程(量)を削減し、教師(質)を増員するという斬新な発想で探究学習が展開されている!!

第6章

UNESCOにおける「学び」の姿から探究を考えるパート。
人づくりに力を注いできたUNESCOの「人づくり=探究」という考え方を学ぶことができる。

終章

序章から第6章の解説・まとめ

私が感じたこと

本書を読み、今のところの私が考える探究について書いておくこととしたい。
私は、『探究=往還』だと考えている。

実社会で必要な資質・能力を学ぶためには、
ミクロとマクロ
具体と抽象
帰納と演繹
今と昔
自国と他国
自分と他者
知識と経験知
形式知と暗黙知
など、
様々関係性の中で行ったり来たりを繰り返して思考を続ける学びの種類ではないかと考えている。

みなさんは、探究を一体どのように捉え、そして表現するだろうか。
ぜひお聞かせいただきたいところである。

むすびに

第3章のところでも触れたが、再び浅野氏の文に触れることができて私は嬉しかった。
考え方のスケールがとても大きく、かつ、緻密なのが面白い!
どちらかと言えばアドミ側かもしれないが、教える側にとっても十分配慮された内容/考え方だと思っている。


余談

松本人志さんと高倉健さんが、同じことを言っていました。
「旅行中や撮影中は、心配や不安で楽しくない。でも終わった後に振り返って、あぁ楽しかったんだなぁと思う」と。

私が仕事上関わってきたプロジェクトの一つが、概ね終了を迎えています。
その最中は苦しいことも多かったけど、今振り返ると楽しかったなぁと思います。

では、なぜ楽しかったのか?

それは、仕事を通じて私自身が探究できたからなのかもしれません。

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