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【ジェンダーで見る ヒットドラマ】 書評#42

みなさん、いつもお世話になっております!
本日は、私の投稿の軸とする一つ「本」「読書」に関して書かせていただきます。

自己紹介に書いたマイルールを守りながら、私の大好きな本について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!

最近は、パピーウォーカーに関するものが多くなっていますが、ちょいちょい本につても触れていきたいと思っています。

今回は、「ジェンダー」についてです!

※ヘッダーは、みんなのフォトギャラリーからstudyfanさんの作品を使用させていただいています。まさに本作にぴったりのグラフィックでしたので、即決でした。ありがとうございます!


基本情報

治部 れんげ(著/文)
光文社 出版
2021年6月30日 第1刷発行

全327ページ
読書所要期間7日

私が本書に出会うきっかけ

私には、4人の娘たちがいる。
子育てというか、子どもの育ちを間近で見守る者として、ずっと関心事である「ジェンダー」

これまで、上野千鶴子さんの本は何冊か読んできたが、娘たちのこれからの明るい将来を応援したいという一心から、きっと興味を抱いたのだと思う。

本書は、ドラマと結びついている。
どんな日本ドラマが描かれているのだろうかという楽しみも含めて、手にとってみたものである。

この本の本質・言いたいこと

これは序章で明らかになっているので引用させていただくことにしたい。

この本は、ヒットしたドラマをジェンダーの視点で見てみよう、という試みです。後に説明するように「ジェンダー」の枠組みで見ると、多くのドラマを一層、面白く見ることができます。本書では国内外、22本のドラマを取り上げ、ストーリーや登場人物の設定、セリフなどを「社会的・文化的性差=ジェンダー」の観点から検討しています。

本書冒頭(P3第1行目から)

要するに、私たちに様々な楽しみを与えてくれるドラマ。これに、ジェンダーという新しい見方(いつもと一味違う視点)を提供してくれるものである。

具体的に取り上げられているドラマは、次の通りとなっている。

【韓国】

  • 愛の不時着

  • よくおごってくれる綺麗なお姉さん

  • SKYキャッスル

  • 椿の咲く頃

  • ミスティ

  • 私の名前はキム・サムスン

【アメリカ】

  • ザ・グッド・ファイト

  • ハンドメイズ・テイル

  • ハウス・オブ・カード

  • ビッグ・リトル・ライズ

  • ホームランド

  • サバイバー

【日本】

  • 半沢直樹

  • 私の家政夫ナギサさん

  • きのうなに食べた?

  • 結婚できない男/まだ結婚できない男

  • カーネーション

【欧州/カナダ】

  • アウトブレイク

  • アンという名の少女

  • アンオーソドックス

  • コペンハーゲン

  • またの名をグレイス

あなたの大好きなドラマは、入っているだろうかw

私が感じたこと

1点目 〜各国の比較

本書では、主に韓国・アメリカ・日本、その他にヨーロッパ各国とカナダのドラマが扱われる。

各ドラマを通じて、ジェンダーに関する考え方はもちろん、各国の思考パターン(考え方やものの見方の一般的傾向)みたいなものが描かれている。

あくまでも一般的傾向であるため、全ての方々がそうではないということは著者も述べているし、私もあえて申し添えるところであるが、各国の大まかな特色があることに対して、個人的に大変に興味を引くものとなっていた。

2点目 〜教育虐待

職業柄、これまでに教育・虐待、そして人権や子どもの権利などについて関心を寄せてきたつもりであったが、この言葉は恥ずかしながら初めて目にした。

本書では、ある韓国ドラマに関するものの表現として登場する。
子どもの意思を尊重しないために生じたパターンと、親自身に意思がないために生じたパターンについて指摘がある。

ここから、親は子どもの意思を尊重しながら、信念を持って子を包み込む・支えることが大切だということを学んだ気がする。

3点目 〜「男」としての自分とは・・・

本書を読んで改めて思い直したことは、
・〇〇でないと男でない
・男なんだから〇〇

例えば、
・ここで逃げれば男でない
・男なんだから泣くな
・男は一家の大黒柱

といった考え方は、全く必要のない偏ったものだということ。

男から見る男像
女から見る男像

そもそも、これでは個人にフォーカスされていない。
個人をたった二つの象限に分類する、あまりにも極端なもの。
極論、そこには人権が存在していないと言っても過言でないかもしれないとすら思う。

私は、コロナ禍で大変だった頃、毎日ピンクのマスクをしていた時期がある。
それを指摘してくる方が少なからず存在した。
きっと、「男なのにピンク・・・」という発想だろうか。
あるいは、「男性がピンクを付けるのも良いですね!」という女性もいたが、「ピンクは女性の色」という前提をもつからこそ”男性が身につけるのも良い!”という過渡期的な、移行期的な考えの方もいらっしゃるだろう。

生物学的男性の私には、生物学的女性の妻がいて娘がいるが、ピンクは好きな方だ。某ピンク色の高級車を欲しいとさえ思った男だ。しかし、一番好きな色ではない。

これが私だ。

4点目 〜「女性のエンパワーのために男性をディスる必要はない」

こんな一文があったのだ。
私にとっては、とても印象深い言葉であった。

ジェンダー・女性学・フェミニズム。。。
こうした類の本では、往々にして男側からすればディスられていると感じる部分が確かに無いとは言えないと、個人的には感じている。

これまで女性一般が男性一般にされてきた歴史に鑑みれば、致し方ないと感じる。

ただし、そこにディスりは必要か。

これまで優遇されてきた男性一般をディスることで、女性一般のいる地位まで引き下げる、あるいは男性一般がこれ以上優遇されないよう抑制するという考え方になるだろうか。あるいは、単純な積年の恨みか。

一方で、優遇される男性一般が、優遇されない女性一般に手を差し伸べて引き上げるという考え方もまた、男性の思い上がりとなるであろう。

ならば、男性一般は女性一般に対し、どう接すれば良いのか。

それは、実践しかないと私は考える。

身近なところ、例えば家庭や職場という日々の生活から、お互いの信頼関係を強化・再構築していく必要があるのだろうと思う。

今日はちょっと茶碗を洗ってみよう!
では、おそらく強化・再構築には至らないだろう。

・お互いの状況を常に共有し、お互いがお互いをフォローし合う体制
・お互いに関係する様々な行為が、支援者ではなく主体者であるという自覚

が必要なのだ。

たぶん・・・

むすびに

本書は、取り上げられるドラマを見ていなくても楽しめる!
事実私は、半沢直樹と結婚できない男シリーズしか見ていない。

しかし、見ていなくても、
・ストーリーがある程度把握できる仕組み(核心部分のネタバレ無し)となっているし、
・そのドラマに興味がなくてもジェンダー論として見ることができる、ドラマの展開が事例として見ることができる

からとても面白い!

本書から、男と女の両方にとって「どうあるべきか」を考える良いアジェンダを提供していただいた。
娘たちにもどのように伝えていこうか・実践していこうかということを、よくよく考えさせられるものともなった。


以上です。
今回は、いつもより力が入ったというか、持論が入ってしまったというか。
比較的長くなってしまいました。

それだけ学びが多かったという証だと思っています。
良い本です。

ジェンダーという言葉自体が、そもそもから無くなる世の中になっていけば最高だなぁと思いました。

本日もご覧いただき、誠にありがとうございました!

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