【ホテルローヤル】 書評#109
みなさん、いつもお世話になっております!
本日は、私の投稿の軸とする一つ「本」「読書」に関して書かせていただきます。
自己紹介に書いたマイルールを守りながら、私の大好きな本について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!
今回は、小説です!
ヘッダーは、相互フォローさせていただいているちなりさんの作品を使わせていただきました!
ありがとうございます!!
目次
基本情報
桜木 紫乃(著)
集英社 出版
2013年1月10日 第1刷発行
全192ページ
読書所要期間2日
私が本書に出会うきっかけ
思い返せば、義理の母からたくさん本を借りた中の一冊だった様な気がする。
読んだことがあったような、なかったような、記憶が曖昧なまましばらく時が過ぎていった。
ふと、中古本で100円だったか、50円だったか、この本を見つけた。
曖昧だった記憶を辿るべく、読んでみることにした。
読んでみると、”初めまして”だった。
記憶とは、本当に曖昧なものだ。
読んでいないものも、読んだと錯覚してしまう。
それとも、読んだのに読んでいないと記憶していたのだろうか。
とりあえず今回は、新鮮な、まっさらな気持ちで本書を読み終えた。
この本の概要
北海道出身の作家、桜木紫乃さんの作品。
本作で直木賞を受賞したと記憶している。
同じ道民、道産子(どさんこ)として、10年以上前ではあるが、当時報道で大きく、連日取り上げられていたことを思い出す。
最近の河﨑秋子さん(北海道別海町出身の直木賞作家)のように。
内容は、相当数”ネタバレ”としてネット上に流れていることが確認できた。
どうやら映画化もされている様である。
そんなこともつゆ知らず、私は今更ながら読んだのだと思った。
しかしながら、後悔は全くない。
むしろ、読んで良かったと心から思った。
なんだろう・・・
最近小説の類を読む量が激減しているからだろうか、なんだか懐かしい気持ちになったというか、普段書評/読書感想をあげているような本からは感じられない、なんとも言葉に表現できないが、しかし決して気持ちの悪いものではない、そんな心持ちになっている。
喜怒哀楽のちょうど中間点とでも言えようか、そんな感情である。
本作は、7編の短編小説集と言ってよい。
釧路にある廃屋「ホテルローヤル」が舞台となる、中年に差し掛かった同級生カップルの写真撮影
釧路にある寺に嫁いだ、歳の差婚の妻の異常でいて静かな日常
閉店直後の「ホテルローヤル」店主と出入り業者の最後のやり取り
両親の介護等の面倒で疲れ果てた夫婦の「ホテルローヤル」での出来事とその後
あてもなく釧路へ向かう、浮気現場を目撃した夫である教師と、両親それぞれいっぺんに家出して帰る場所のなくなった教え子
「ホテルローヤル」が営業していた頃の清掃員として働いていた初老の女性と、年下の夫の大変だがしかし穏やかな日常
「ホテルローヤル」をつくって一発逆転を狙うも、家族から冷たい対応をされ、同時に浮気相手に子どもができ、悲しくも嬉しい、荒波を生きた男の人生
時間軸も、登場人物も、生き方や家族構成、人間関係や立場もバラバラだがしかし、釧路やホテルローヤルを一つの中心軸として不思議とつながる人間模様がそこに描かれていた。
むすびに
大声を出したような、大汗をかいて動き回ったような、そんなスカッとした気持ちではない。
でもなぜかスッキリしたというか、しかし清々しいとも言い切れない、切なくもあたたかい気持ち。
良い事もあれば悪い事もある。
表もあれば裏もある。
可もなく不可もなく。
人生楽ありゃ苦もあるさ。
「万事塞翁が馬」とまで言っていいかわからない絶妙なところで、話はいつも終わりを迎える。
この余韻みたいなものが、なんとも言えない気持ちをいっそう助長するのか。
以上です。
私の人生、今のところどれも経験したことがないことばかりでした。
それでも?
だからこそ?
面白い作品でした。
桜木紫乃さんの作品は初めてでしたが、また次を読んでみたいと心から思える出会いでした。
本日も、ご覧いただきありがとうございました!!