【ぼくは戦争は大きらい】 読書#129
みなさん、いつもお世話になっております!
本日は、私の投稿の軸とする一つ「本」「読書」に関して書かせていただきます。
自己紹介に書いたマイルールを守りながら、私の大好きな本について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!
今回は、やなせたかしさんの自伝的一冊です。
しかも、戦争に限ったお話です。
ヘッダーは、こじかの蒙古斑さんの作品を使わせていただきました!
ありがとうございます!!
目次
基本情報
やなせたかし(著)
小学館クリエイティブ 出版
2013年12月21日 第1刷発行
全142ページ
読書所要期間1日
本書は、バリューブックスさんで購入しました!
私が本書に出会うきっかけ
本書の出会いは、明確である。
それは、コテンラジオだ!
コテンラジオで、著者のシリーズがあったのだ!
これは大変に感動した。
何度も聞き返した。
おそらく、多くのリスナーが心を動かされる「ベスト」にランクインされたのではないかという神回と言っていいと勝手に思っているw
とにかく、
「もっと著者のことを知りたい!!」
そして、
「戦争について、より理解したい」
そうした想いで本書を手に入れた。
私が思う、この本の本質
本書は、いわゆる「自伝」に分類されるのだろう。
しかしながら、本書は戦争に限った内容となっている。
著者と戦争。
著者の名作/代表作である『アンパンマン』からは、全く想像できないだろう。
しかし、著者がアンパンマンから伝えたいことは、実は本書となんら変わらないのかもしれない。
戦争体験を語ることができる方が少なくなってきた今、こうして本などの記録媒体から学ぶしかなくなってきている。
しっかりそこから本質を読み取り、そして堂々と「戦争は大きらい」と言えるように私はなりたい。
私が感じたこと
情報とその分析の重要性
本書の至る所から、著者の当時の本音が漏れ出している。
武器が古い。
戦国時代と戦法が変わらない。
海軍は海外の状況をよく学んでいるが、陸軍は・・・
訓練がまるで実践的でない/役に立たない。
「これでは、間違いなく勝つことができない」
当時、現地では口が裂けても言えないことだろうが、心の中でそう感じていたようである。
軍の偉い人たちは、
現場にいないから理解していないのか?
理解していても、あえてそこに向かったのか?
情報/現実を「大和魂」が本気でそれらを凌駕すると考えていたのか?
天皇陛下に対し、正しい情報を伝えていなかったのではないか?
正しい情報が伝わっていたならば、そういった判断を下していなかったのではだろうか?
こんなことを考えずにはいられない。
人々の命は、消耗品。
そのために女の人たちは、たくさん子どもを産む。
その分、心身ともに辛さが増す。
これでは、家畜と変わらないではないか。
家畜は、人のために命を捧げてくれている。
当時の人々もまた、お国のために強制的に命を捧げなくてはならなかった。
家畜には申し訳ないが、やはりそこはイコールでは結ぶことはできないと私は考えている。
アンパンマンが生まれた理由
本書P87で、明確に書かれていた。
戦争において、最も辛いことは何か?
死ぬことはもちろん最も辛いことなのだが、それに直結する、根本的なものと言っていいと思っている。
日本軍は、特にこの点がおざなり・無計画・場当たり的な作戦計画が非常に多かったと個人的には理解している。
著者は、戦争から生きて戻ってきた。
だからこれが最も辛いと表現している。
そこで、これを解決できる優しくて強い心と、物理的な支援が可能な体/機能を有するキャラクターを生み出した。
さて今一度、著者が表現した、「戦争において最も辛いこと」。
これは、戦争でなくても起こりうる状態ではある。
今の日本でも、これが全てなくなったとは言い切れない状況にあるだろう。
しかし、戦争中においては、兵隊さんも国内外で暮らす国民も、こうした状況に陥っていた方々が多かったのは事実。
ぜひみなさんもお考えいただき、本書で答え合わせをしていただきたい。
アメリカとの差
1点目の話と重複する部分もあるが、やはりアメリカ側の物量/資源量と生産性は、その情報があるのとないのでは、決定的に運命を分けたであろう。
そして、その情報分析を、素直に受け入れる心がなかったのだろう。
要するに、そこを直視しなかったことが、敗戦の一つの要因だったのではないかと考えられる。
敗戦後、日本へ復員する時の様子が描かれていた。
「これは負ける訳だ」
と著者が思い知らされたという描写がP115にあった。
今の私たちにとっては極めて当たり前の状況が、当時としては
「そこまで生活の水準が違うのか」
ということを目の当たりにすることで思い知らされたそうだ。
これについても、答えを書くことは控える。
ぜひ、想像していただきたいと考える。
ヒントは、「コカ・コーラ」。
コーラ自体も、飲み水すら確保できなかった、飢と闘い砂糖など最上級品には無縁だった兵隊さんたちからすれば十分過ぎるほどの衝撃だと思うが、さらにその遥か上を行っていることに愕然とした、いや、納得したと言えるのかもしれない。
むすびに(まとめ)
著者の言葉を、別な本で見たことがある。
そこには、概してこんなことが書かれていた。
これは、私が目の前に書き出して、大切にしている文章だ。
本書は、まさにこうしたことを訴えていると感じた。
◯戦争自体に、正義なんてないこと。
◯戦争を止めるために、始めないために、正義が必要であること。
◯正義を行うということは、決してキレイなことだけではないこと。
アンパンマンはまさに、この実践者だ。
そして著者も、戦時中からこれを実践してきた、当時としては極めて珍しく、極めて尊い人物だった。
以上です。
そうだ、嬉しいんだ
生きるよろこび
たとえ胸の傷がいたんでも
いけ!みんなの夢まもるため
アンパンマンマーチの一節です。
ここからも、本書に通じる強い想いが込められていると感じます。
正義とは何か?
これには必ず反対側の強い意見/反発が伴うでしょう。
例えば戦争においては、双方が正義だと思っているのですから。
それでも、貫くものが正義。
でも、そこまでして守らなければならないものなのか?
戦争に限らず、正義には様々な種類/場面があるのだろうから、この問いに対する答えはより一層複雑になる。
だからこそアンパンマンマーチでは、
なんのために生まれて
何をして生きるのか
の答えを探そうとする人間の苦しさ・もどかしさみたいなものを表現しているのではないかと感じました。
本日も、ご覧いただきありがとうございました!!