趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.179 読書 東野圭吾「赤い指」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は読書 東野圭吾さんの「赤い指」についてです。
人気作家の東野さん、彼の作品はさほど読んでいませんが今まで5冊ほど、毎回上手いなと感心します。
加賀恭一郎シリーズの一作品らしいがまだ読んでいないので、”シリーズ好き”としては今度読んでみます。
今作はミステリーベスト本の中でも紹介されていたので手に取ってみました。
殺人事件の犯罪者の家族の話、犯罪を隠蔽しようともがく。
普通の犯罪の裏側を描くダークな作品と思いきや、”家族”についてしっかりと描かれていて、最後のどんでん返しと共に、読後感はなかなか良いものでした。
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物語は、主人公はごく普通のサラリーマン、妻と一人息子と年老いた母親。
妻は義母を疎み夫に不平を言う、中学生の一人息子は引きこもり、母親は認知症。
それぞれたくさんの問題があり、主人公にとっては家庭はやすらぎの場所ではない。
ある日妻から早く家に帰って欲しいと電話があり、帰宅すると自宅の庭にビニール袋の中に入った少女の死体を発見する。
一人息子が少女を連れ込み、身勝手に殺してしまった。
主人公は警察に連絡しようとすると、妻が取り乱し包丁を自分に突きつけて隠蔽しようと懇願する。
考えた末、自宅に遺体があるといけないので、変質者の犯行に見えるように近所の公園のトイレに遺棄した。
次の日には事件が発覚、捜査本部が作られ、捜査一課の若手刑事とその従兄の刑事加賀恭一郎が組んで捜査を開始した。
加賀の父親は末期癌に侵され入院をしている事情を抱えている。
ただ父親との葛藤から一度も見舞いには訪れていなかった。
若手刑事にとっても叔父であり、そんな加賀の心情がわからなかった。
二人の刑事が聞き込みを続けるうちに、主人公の家庭がいろいろな証拠から
浮かび上がる。
ついに主人公の家に刑事が聞き込みにいくる。何度も訪問して少しづつ異変を感じる。
主人公はもう隠せないと思い、ある非道な方法を思いつく。
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最初普通の殺人事件ものと思いきや、面白くどんどん引き込まれていきました。
東野さん流石です。今まで読んだ東野作品も全部面白い。
犯罪の裏側って、映画や小説の定番ですが、物語の推進力は増します。
そこに、主人公の未成年で引きこもりで暴力を振るう一人息子、認知症の母親の介護、刑事の父親の癌末期の介護など、未成年や子供のネット利用
いろいろと今現在の社会問題がとてもうまく肉付けされています。
そして最後のどんでん返しで、これが”愛”の物語に変貌していくところに、舌を巻きました。
何万件とある実際の殺人事件、新聞やテレビのニュースでは表面的な事実のみ。事件の裏側には、このように家族が隠蔽してしまう事件があるかも知れないと思ってしまいます。
幼い女の子が惨に殺されたのに、割と描写はあっさりしていて、陰鬱さがないところが良いやら悪いやら。
読後感が良い感じなのも。
今日はここまで。
「平凡な家庭など、この世に一つもない。外からだと平穏な一家に見えても
みんないろいろと抱えているもんだ」
/P.145 東野圭吾「赤い指 」より