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浦島太郎を巡る旅のルポルタージュ

京丹後鉄道の車内にて、ルポルタージュを書く。

京都は北、京丹後へ旅に行ってきた。


御伽噺とは、大抵何かの暗喩を孕んでいる。
現在つくっている体験小説「RingNe」のモチーフにしている金太郎も、次作のモチーフにする浦島太郎も、実在の人物とされている。

そしてその謎を辿っていくと、必ず諸説に通ずる。たとえば浦島太郎を祀る浦嶋神社の宮司さんにお話を伺っても、答えは「諸説あり」

真相は行方知らず。

浦島太郎を祀る浦島神社/京丹後にあります
浦島太郎は浦嶋子という実在の人物とされています。

ただ、その「諸説」こそが「御伽噺」が文化レベルまで波及する秘密の1つなのだと思う。

文化レベルまで広がる物語とは以下のようなものだと考える。

①多様な解釈ができること
②どこかで子どもでもわかる物語に簡易化されていること
③実際の歴史に通ずるフィクションだということ

体験小説という枠組みもそれに倣い(②がまだできていないけど)実際の歴史や今起きている出来事をベースにした、多様な解釈ができるSF御伽噺として作品を書いている。


浦島の解釈も実に幅広く、奥深い。
遡るとニギハヤヒの時代から物語は始まるらしい。

ニギハヤヒとはアマテラスとスサノオの誓約によって生まれたアメノホシミミの子。(徐福と同一人物という説もあり)

現在の天皇家とは別のもう1つの血筋がニギハヤヒより始まり、裏に隠されながらやがて浦島太郎まで血が繋がるという説を聞いたりもした。浦島太郎が皇族など上流階級だったという説は、浦島が流宮から帰ってきた後に村に廟(皇族など高貴な人にしか作られない墓)が建てられていたことなどからも、推測できるとされる。

(この解釈動画が特に面白かった)

乙姫は生命根源の月の神、豊受大神、とも。
元伊勢、籠神社の奥之院「真名井神社」では豊受大神と天照大神、日月、火
水、陰陽を併祭している原初の祭場とされる。

よさのみやと読むらしい。匏とは瓢箪で、当時の水を運ぶための道具。


天照の地を継ぐ浦島太郎と、豊受大神、両者は住む世界も違えば時間軸も異なる。

龍宮は時の流れが遅く浦島が地上に戻ると村は300年経っていたというのが御伽噺の展開だが、そのような時の流れの差を生む環境とは如何なるものか。

それはウラシマ効果と名付けられるように、光速に近い速度で動く物体との相対的な時間差もあれば、重力の差によっても時間は変化する。
それらが物理的に実現可能な空間は宇宙になる。

浦島神社付近にある浦島と乙姫を模した像。中央にあるのは時空の輪。


つまり浦島は深海ではなく宇宙に旅立ったのではないか。そこで光速で動く宇宙船(ニギハヤヒが乗ってきたとされる天磐船?)たる竜宮城に乗ることで低速時間を過ごしたのではないかという説を思いつく。

SF的発想を更に拗らせると、ニギハヤヒは流星の神ともされるわけなので、浦島はもしかしたら宇宙人の家系とか。

また、地球における生命の原初にも諸説あるが、海に沈む蛇紋岩という岩から水素とメタンが発生することから、生命はその付近で海底の熱と共に育ったのではないかという説がある。


例えば海の中の蛇紋岩にアミノ酸を乗せた流星が合わさって、生命がはじまったとも考えられる。

生命根源の月の神、豊受大神がアミノ酸、流星がニギハヤヒ、それが海辺に住む青年、水の江の島子の海に落ちて、豊受大神(乙姫)が神から亀に姿を変え(生命の始まり)、浦島に会いに行き、宇宙へ連れ出すという、生命の根源からメタファーに含まれるラブストーリーということもあるのではないかと思う。(自分の勝手な仮説です)

京丹後は数多くの古墳があり、未だ宮内庁から発掘を禁じられている禁足地も多い、数々の神話が残る里。

そこには金太郎が源頼光らと共に酒呑童子を倒しに行った大江山も近くにあるし、吉備津より当時鉄の国だった丹後のたたら製鉄職人を討伐しに行った桃太郎の話も、竹取物語のかぐや姫も裏の天皇家の人物として語られていたり、様々な御伽噺の舞台となっている。

裏の歴史の語り部がいる隠れ家Barが京丹後にあるのだが、そこで教えてもらった様々なミステリースポットを巡り、海に浮かび漂っている中で、これまで自分の手がけてきた作品の集大成、完結編として、浦島太郎は実に辻褄のあう物語だと感じた。

ここに至るまでの作品計画は14年にも及ぶ。
その構想の全貌については先日は書いた下記のnoteをぜひ眺めてほしい。


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アメミヤユウ/体験作家
「こんな未来あったらどう?」という問いをフェスティバルを使ってつくってます。サポートいただけるとまた1つ未知の体験を、未踏の体感を、つくれる時間が生まれます。あとシンプルに嬉しいです。

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