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香川県三豊市にクラフトビールのお店ができる。
「俺、香川県でブルワリー作るんだよ」
久々に東京で会った友人が、お酒の席でそう語った。
これまで見たことないようなイキイキとした目をしている彼を見て、その週の土日に香川に訪れ、立ち上げに関わることにした。
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自分がこれまで携わってきたブランディングという視点を活かしながらどのようにブルワリーの立ち上げに関わってきたか、これまであまり話すことはなかったが、改めて言葉にしながらこれからの展望も話していきたい。
関わり方①:ストーリー設計
人の心を動かすのは、常にストーリーだ。何故それが世の中に必要だと思うか、何故生まれたのか。何故そのような仕様なのか。それらのアンサーとなる共感されるストーリーを持つブランドは強い。
僕がまず行ったのは、このストーリーを可視化するところからだった。
まずは、彼に直接話を聞きながらコアとなる想いや価値観を深掘りしていく。
また、毎日SNSを更新していたため過去の全ての投稿を読みながら感情を追体験しつつ、一つのブランドスローガンに落とし込んだ。
「故郷をつくる、乾杯を。」
思えばずっと田舎が欲しかったんです。
東京で生まれ育ち49年。
満員電車に揺られながら、漠然とした不安を抱えていました。
このままでいいのかな、と。
初めて香川・三豊に降り立ったとき、
わたしはこの街に新しい自分を見た気がしました。
扉から見える、アートのような綺麗な景色。
海を眺めながら、未来を見つめる時間。
夕陽と共に飲むビール。
そんな場所に引き寄せられる、個性的な人たちとの出会い。
これまでだったら何でもない1日。
でも、この景色を見ながらだと全てが楽しい。
わたしはこの街に残りたい、
自分の新たな故郷にしたいって思ったんです。
そして、かつてのわたしと同じように
日々の喧騒の中で生きている人たちにも、
そんな体験をしてほしいと思いました。
この街の良さを知ってほしい。
そして街やそこで生きる人たちと関わってほしい。
わたしはそれを、大好きなビールをハブとして実現していきたい。
街と人を乾杯でつなげる体験づくりをしていきたいと思います。
故郷をつくる、乾杯を。
まあでも1番は、
みんなと楽しくビールが飲みたいって
ただそれだけなんですけどね。
僕自身は文脈を紡いだだけで、すべての言葉、すべての想いは、彼自身から溢れ出したもの。嘘ではない本物の気持ちだからこそブランドのコアになり得る。
(まあ、気持ちの半分以上は最後の3行に集約されているんですけどね笑)
関わり方②:体験設計
ブランドのコアが固まったら、そこを起点に、あらゆる体験に昇華させていく。ロゴなどはもちろんだが、どんな店舗にしていくか、どんな商品にしていくか、あらゆる人がブランドに接触して得られる体験すべては、ブランドスローガンの実現につながるものとして設計していく。
その設計の仕方として「ブランド体験マップ」というものを作った。これは世の中にすでにある考え方ではなく、私が独自で考えたフレームである。
一般的には「ジャーニーマップ」と呼ばれるフレームが活用されていると思うが、ターゲットが複数いる中でジャーニーマップを複数作成・運用するのはかなり手間がかかる。
よりシンプルにしていくために一枚絵に集約させることを考え「ブランド体験マップ」を作った。
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様々なインサイトを持つターゲットがいる中で、各接触ポイントでどのような体験を作るか。チームでブレストをしながら議論し、精査をしていった。
(体験作りのやり方は色々あると思うので、もし携わられている方がいましたらぜひ意見交換させてください。)
今後の展開
まずは2月のプレオープンを目指しながら準備を進めている。上記で描いた体験を実現するのは、もっと先になってしまうかもしれない。
それでも、先にその体験のイメージを膨らませることは、チームをワクワクさせるし、何かあった時の判断軸となる。
あとはこれを絵に描いた餅にしないよう、少しずつ、着実に実現していきたい。
正式オープンはもう少し先になるかもしれないけれど、また告知できる時が来たらお話しさせてください。そしてぜひ来てくれると嬉しいです。
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