「読書という時代」 #推し短歌
捲る度
色彩放つ
活字達
漂う香り
紡ぐ時代を
あの最初に手に取り、初めてその物語の世界に入るあの瞬間。
本を介して自分の時代を綴っていくあの瞬間。
本は時代を表す最も精密で濃厚な世界を繰り広げている。
二度と味わえない、あの最初の一行を読んだ瞬間の感情は。
どんなに読み返しても自分のあの初見の何とも言えない感情は、
どんなに望んでも味わえない。
…まるで叶わない恋のように。
そしてその枯渇した感情を埋めるようにまた他の作家さんの活字に求める。
…本を捲る度、味わう感情をもう一度自分を真っ白にいて今一度味わいたいと願うが叶わない。
そうやって自分の感情に歴史を紡いでいく。
よく嗅覚で匂った香りで自分を強烈に過去に戻すというが、
本も然りである。
あの最初に捲った時の出会った言葉の衝撃、そしてこびりついた感情…。
いつでもその初見に出会った感情をタイムマシンなど乗らなくても最も簡単に成し遂げてしまう活字達。
推し短歌、自分の活字への推しを綴ってみた。