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「よくわからない」に向けて本を読む。術とも呼べない私の読書習慣

読書の話のnoteです。

このひと月ほどはよく寝てよく働き(仕事の消化不良もあるけど)、本もまあまあ読んで夫婦で飲み会もできて月に2本ワインを空け(適量)、手帳の使い方もなんかしっくりくるようになって、全体的になんというか自分の中の思考回路が整うような感覚がありました。

でもね、リア充(死語でしょうか)ってのとはちょっと違うんです。押しつぶされない程度の不安も不満もあって、そういうのと向き合ったりうまく交わしたりしながら内省していくのも悪くないよな……という感覚が近い気がします。そして自分の理解を超えたものやわけのわからないものを前に呆然とする感覚もまた悪くない。

呆然とする読書の秋ですね

光る画面を閉じて本でも読んでみましょうか。こう自分に声がけすることがこのひと月で増えました。最近読んだ本の1つにこれがあります。

『ゼロからトースターを作ってみた トーマス・トウェイツ著(新潮文庫)

タイトル通りのことをやってみるブログが元の書籍です。鉄やプラスチックを個人が原料からつくってみる取り組み。この本を手に取ったのはおそらく前書きに書かれていたこの感覚に引っ張られてのこと。

個人の知識や能力と、専門家が作る製品の複雑さとの間にあるギャップは広がるばかりだ。

『ゼロからトースターを作ってみた結果』トーマス・ウェイツ著(新潮文庫)

別にトースターをゼロから作りたいわけでもないし、作り方を知った上で購入したいわけでもないのですが……。

好きか嫌いか。便利か不便か。コスパがいいか。わかりやすいか理解不能か。別に製品に限らずとも、今目の前にあるモノやコトに対して気付けばその程度のジャッジを下して自分の行動を決めている気がします。自分の選択で損をしたくないと思っているし、自分の中に尺度を持っていることが大事だと信じて疑わないし、そしてそれに見合うだけの価値提供を自分もしなければいけない……などなど。実生活の上では確かに大事な気がします。

けれどそいうのにささやかに反抗していたいわけです。反抗を態度に出すかどうかは別として、そういう価値観では計り知れないとき(多々ある)や非常事態のときに逃げ道がわからなくなりそうなので。いいトースターを選ぶことだけに完結していると、その中身や背景を全く知らないことが時々こわくなると言いますか。

反抗というわけではないけれど、このひと月でこの本にも影響を受けたなぁ……。『くらしのアナキズム』松村圭一郎著。手に取った本がたまたまミシマ社だったとき嬉しい!と思ってしまいます。

いずれも8月に読んだ薄い本からの出会いです。ブックディレクターの幅允孝さんが紹介されていた本たち。

https://note.com/imo_enpitsu/n/n98c8cb15377d


自分の尺度でははかりえないもの、理解を超えるもの、報われるのかわからないこと、期限なんてないもの、意味なんてそもそも無意味なこと、そもそも好きかどうかもわからないこと。そういうのに対してただただ愕然としながらも知ろうとしていたいわけです。今の自分を飛び越えて。結果がどうかはさておき。

読書ってそういうところが楽しい気がします。こういうことが書かれています、あなたのこんなところに役立ちますよ、と読む前から決められてしまうと楽しさは半減してしまいます。このあたりが「結論から言って」のweb上の記事とは趣が違うところなんだろうなぁ。結論から欲しいときもあるのだけど。

そして子育ても似ている気がします。子どものことを完全に理解してしまったらもう面白くないのかもしれません。
そうそう、子どもの「?」という顔が見たくて時々佐々木マキさんの絵本を読んであげます。意味なんて、ないから。

『ぶたのたね』シリーズなど

「好き嫌いせず食べようね」「お友だちにやさしくね」「ものを大事にね」「謙虚な心を大事にね」そんなのを覚えてもらうために本を読み聞かせしているわけではないんです。

意味なんて、ないから。

意味なんて、ないから。と言ってみたところ語呂からの連想で『自分とか、ないから。』しんめいP著・鎌田東二監修(サンクチュアリ出版)を読みたくなりました。近場の本屋さんにも平積みされています。居住地区の図書館では新着本コーナー、順調にいってふた月待ちで借りられそうです。

どこに向かっているかわからない私の読書習慣ですが、1つだけ現実でいいことがありました。
夫婦の会話が増えました。「この本読んでてさ〜」っていうのはナチュラルな会話の切り出し方としてとっても使えます。そしてアウトプットの練習=思考の整頓にもなります。
本そのものの味わい深さを感じるべくこちらの本も時々パラパラしています。これは子どもとの会話のきっかけにも使えました。

『あるかしら書店』ヨシタケシンスケ著

前に書いた読書の話もよければどうぞ。ここからひと月半ゆるゆると読書週間が続いております。

何かはわからないけれど、得体の知れない何かに感謝!

顔彩で描く、得体の知れない何か!

お読みいただきありがとうございました。

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