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よろしく愛して

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実りがない人生ならば、 長期展望にどんな意味があるのでしょうか。 どんな時でも、しょうがない人でありたい、 そんなしょうがない人を愛していたい。
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2020年1月の記事一覧

何もない週末

何もない週末

僕はわりに一人遊びが得意である。本を読んだり映画を観たり一人で旅に出たり、まあそんなところだ。音楽一つをとったって疲れてしまうバンドを組むよりアコースティックギターを宛てもなく鳴らす方が好きだし、ふらふらと一人で大人っぽいバーだって小料理屋だって入れるし(もちろんそれなりに身なりを整えて)、そんなところで静かに隣の人の話を聞いたり、時には目の前の人と話したりね。訳もなく感傷的な気持ちに浸ることだっ

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感情について

感情について

僕はつくづく愛に溢れた人間だと思う。ただその愛情を注ぐべき対象を持たないから注がないだけだ。

ワイン・ボトルは固くコルクで栓をされているから、周りに綺麗なワイングラスがあっても、ワインを注ぐことができない。きっと中身は、芳醇な香りを放つ上品な赤ワインだろう。ただ、ボトルそのものは黒くて透明度は低いから、その中身は外からだと良く見えない。

どんなグラスでもいいけれど、しかるべきグラスに注ぎたい。

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バイアグラは美しい物語を綴れるか

つい先日、大学時代の先輩からバイアグラをもらった。錠剤タイプではなく、舌の上に乗せるシートタイプのものである。他にどんなタイプのものがあるのかは知らない。少なくとも僕が飲んだことがあるのは、錠剤タイプのバイアグラだけだ。

以前、僕は一粒だけバイアグラを飲んだことがある。もう少しで5年前になるが、それも同じ彼に貰ったものだ。「ちゃんとした医者からちゃんとした手段で処方されたあの錠剤タイプは、当時3

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僕は選べなかった

僕は選べなかった

「選べなかった」という言い方がある。「あの時こうしていれば」という言い回しも、そのフレーズの派生形である。

大抵人がこんなフレーズを口にするのは、ミュージシャンになるという夢を捨てたもののかつての知人がステージの上で活躍している様を久しぶりに目にしたとき(大体こういうのはネットニュースやテレビの前だ)、あるいは昔付き合っていた女性が「良い夫婦の日(11月22日)」に結婚したという噂を耳にするとき

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