ダメージジーンズ:ダメージのあるものの方が価値を高く感じる(CASE: 35/100)
▲「ダメージジーンズ」とサステナビリティ
「高校生がバイトで稼いだお金を注ぎ込んで買ったダメージジーンズを、おばあちゃんが縫って“直して”しまった。」 − そんな笑い話ももはや聞かれないほど、世の中に浸透したダメージジーンズ。私は履いたことがないのですが、密かにダメージジーンズに感謝していることがあります。それは、破れた服を着ていても、「もしかしてファッション?」と思ってもらえる(気がする)ということです。
ダメージジーンズは、1970年代のアメリカで巻き起こったカウンターカルチャーやパンクのムーブメントの中で生まれたそうです。日本でも1990年代のビンテージファッションブームの中で流行しました。難しいことは分かりませんが、ダメージジーンズはアンダーグラウンドから生まれ、長い時間をかけて「むしろ破れている方がおしゃれ」というモノの見方を築いてくれたのです。
ファッションにおけるサステナビリティと言えば、原料をリサイクルしたり、中古の服を売買したり、修理や手入れをしながら長く着たり…といった「モノの価値を維持し、味わい尽くす」手法をまず思いつきます。一方、ダメージジーンズは、「モノに対する見方を変える」方法があることに気づかせてくれます(もちろんダメージジーンズは「長く着たい」という欲望を叶えるために生まれたものではないですが)。
「ダメージを負っている方がかっこいい」、と言えば、最近はガンプラを爆竹で焦がして、戦いの中で傷ついたガンダムを再現して楽しんでいる人がいるそうです。それから、傷ついたスーツケース。これも旅慣れている感じでカッコいいですよね。あとは、怪我を負った男子のなぜか誇らしげな顔・・・は違うかもしれません。以上、あえて傷を蓄積するサステナビリティのお話でした。
▲参照資料
▲キュレーション企画について
イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。
2022年のテーマは「サステナビリティ」です。
▲今回のキュレーション担当者
i.lab ビジネスデザイナー 島村祐輔
▲i.labについて
i.labは、東京大学i.school ディレクター陣によって2011年に創業されたイノベーショ ン創出・実現のためのイノベーション ・デザインファームです。東京大学i.school(2017年4 月 より一般社団法人i.school)が世界中のイノベーション教育機関や専門機関の知見を研究しながら独自進化させてきた理論知と、i.labが産業界で磨いてきた実践知の両輪で、企業向けにイノベーションのためのプロジェクトを企画·運営しています。
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