見出し画像

Wikipedia:混沌と秩序。相反する二者が作り出す集合知。 (CASE: 66/100)

▲「Wikipedia」とサステナビリティ

私が学生だった頃は先生や教授から、「Wikipediaに書かれていることは信頼できない」と言われていました。一般人が記事を書いて、さらにお互いの書いた内容を修正可能だからです。常識的に考えて、誰もが自由に好きなことを書けたら、正確度の高い記事が作れる気がしません。

そんなWikipediaですが、最近行われたブリタニカ百科事典との精度比較調査によると、同項目を比べるとほぼ同程度正確であるそうです。ブリタニカに比して、 英語の記事だけでも600万以上あるとてつもない数のコンテンツ作成と、その数の記事を品質管理できていることから、Wikipediaにサステナビリティのヒントがあるのではないかと考えています。

Wikipediaの記事を構成する単語、参照、画像、その他メディアは誰でも追加または編集ができます。編集が行われると、Wikipediaのトークページで、ユーザー同士が討論のような方法で、新しいコンセンサスを作り上げるプロセスが始まります。新しい編集に対し、他のユーザーが変更を確認し、変更の実行を許可するか、さらに編集を検討します。関わっているユーザーが編集を行わなくなったら、新しいコンセンサスが作成されます。過去の編集は全て保管・蓄積されていきます。そして、最も中立で正確なバージョンが記事として表示されるように作られているのです。つまり、Wikipediaは修正に関わる人が多いほど、中立で正しい記事へとアップデートされていくことになります。

また、最初からすべてのユーザーに同等の編集権限が与えられているわけではありません。Wikipediaに積極的に参加し、500以上継続的に修正に貢献していると、アドミニストレーターに立候補できます。アドミニストレーターとして信任されると、ユーザーのブロック、ページの消去、また編集ロックをかけたり、ロックされているページを編集したりできます。こうして編集者が増え、優れた編集者がアドミニストレーターに昇格し、さらに多くの記事が正確に作成、維持されている−このような仕組みで、Wikipediaというプラットフォームは、持続可能性を担保しながら今も成長・拡大しているのです。

人数が増えるほど、違った意見が出てきて収束がつかなくなると考えがちですが、Wikipediaモデルは、参加者が増えるほどより中立で正しい記事へと進化する仕組みです。多くの組織では、サステナビリティを重視することは成長・拡大を妨げると考えますが、Wikipediaを見ると、必ずしも二者択一ではなく、両立可能であることがわかります。

▲参照資料

https://www.hbs.edu/ris/Publication%20Files/15-023_e044cf50-f621-4759-a827-e9a3bf8920c0.pdf

▲キュレーション企画について

イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。

2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.labシニアエクスペリエンスデザイナー 島田怜南

▲i.labについて

i.labは、東京大学i.school ディレクター陣によって2011年に創業されたイノベーショ ン創出・実現のためのイノベーション ・デザインファームです。東京大学i.school(2017年4 月 より一般社団法人i.school)が世界中のイノベーション教育機関や専門機関の知見を研究しながら独自進化させてきた理論知と、i.labが産業界で磨いてきた実践知の両輪で、企業向けにイノベーションのためのプロジェクトを企画·運営しています。

会社名:イノベーション・ラボラトリ株式会社
代表取締役:横田 幸信
本社:東京都台東区小島2丁目14-5毛利ビル705
URL:https://ilab-inc.jp/
問合せ先:info@ilab-inc.jp (担当:井上)

Facebook:

Twitter:

Instagram: https://www.instagram.com/i.lab_inc/
note: https://note.com/ilab_official/
Newsletter:https://onl.sc/TTJ25DP


#sdgs #デザイン経営 #イノベーション #イノベーションデザイン #サステナビリティ #持続可能性 #新規事業 #パーパス #ビジョン #未来社会 #サーキュラーエコノミー #ブランド戦略 #ブランディング #ビジョン
#wikipedia #ウィキペディア