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#小説
バレンタインデー side B
朝、いつもより十五分早くセットした目覚まし時計のベルをとめる。
緊張しているせいか、いつもよりスッキリと目が覚める。ベッドの上で小さく伸びをして、枕元に置いてあるデジタル時計で日付を確認した。
今日は二月十四日。勝負の日、バレンタインデーだった。
「あら、おはよう、優香。今日は早いのね」
制服に着替えて一階のリビングに降りていくと、お母さんがまだ朝食を作っているところだった。お父
バレンタインデー side A
いつもより早めにセットした目覚ましが、静かな部屋に鳴り響いた。目を開けずにのばした右手でその音を黙らせた俺は、ゆっくりとベッドの上で起き上がった。
首を回して、凝った肩をほぐす。いつもより目覚めの良い頭で、壁にかけられたカレンダーを確認する。好きなアイドルの写真が載ったポスター型のそのカレンダーには、今日の日付に赤マルが打たれていた。二月十四日の金曜日。そう、今日はバレンタインデーだった。
料理勝負 side A
私は、ご飯にはうるさい。
元来食べることが好きで、美味しいものをもとめることが趣味。そんな話を大学の食堂でしていたら、そのとき一緒にいた仲のいい男友達がこういった。
「じゃあ、俺の自信作を食べさせてやるから、今度うちに来いよ」
私はすぐさま了承した。ちょっとやそっとのことじゃおいしいと言わない自信があった。そんな私に、おいしいと言わせるだけの自信が彼にもあったのだろう。いわばこれは、彼
Good night
夜、眠りにつくのが嫌いだった。
たった一人、自分だけの暗闇の中。
眠りにつくまで、小さな孤独をいつも感じていた。
目をつむると、静かな恐怖が自分を包んでいくようだった。
隣で衣擦れの音がして、私はうっすらと目を開ける。
そこには、無防備なあなたの寝顔があった。
同じ布団の中で、僅かに体を寄せる。手を探り当て、軽く指を絡ませた。
私の手を包み込むように、彼の手が握り返してくる。
君が