退院の朝、針の舞
退院の朝、病院特有の早起きが今日も例外ではなかった。5時に病室の電気がパッとつき、眠りから強制的に解放される。今日こそは退院できるというのに、朝から採血というトライアルが待っていた。
採血自体は日常茶飯事だが、今朝のそれは格別に痛かった。何も食べていない空腹時に、おまけに少々の脱水状態で血管を探るのは一苦労。何度か失敗された後の成功は、文字通り血の滲む努力の産物だ。
退院しての直行勤務は、正直なところ体力的にも精神的にも厳しかった。午後からの仕事は、体が思うように動かず、何とも言えない疲労感に襲われた。まだ固形物は受け付けない体には、ゼリーのみが頼りの食事。普段の食事やお酒が恋しく、一日も早い回復を心から願うばかりだ。
明日からの日常が少しでも楽になることを願いつつ、退院日の夕暮れに疲れた体を休めた。美味しい食事と心地よいお酒を楽しめる日が、1日でも早く来ますように。